洞窟の美少女
白銀の輝く長髪に、綺麗なピンク色の瞳の美少女。
街を歩いていれば、誰しもが目で追ってしまうだろう。それ程の美少女。
ケイは彼女から目が離せなくなっていた。
彼女の姿に、瞳に、吸い込まれてしまいそうだった。
彼女に会えたのは運命だ。直感でそう思った。
頭の中にあった色んなことが吹き飛び、頭の中には今居る美少女のことだけになる。
それ程までに、彼女は美しいと思う。
しかしそんな美少女は何故か傷だらけで岩に寄りかかっていた。
美少女はケイを見て口を開く。
「来てくれてありがとう。さっそくなのだけれど、傷を癒やしてくれるかしら」
言われ、ハッとする。
そうだ、目を奪われている場合じゃない。
「癒すーーそうだよな、でもオレには治すなんてできないから救急車ーー……」
ケイは急いでスマホを見た。が、圏外だった。
ーーそうだった。ここは異世界だった。
ケイはまだ現実に頭が追いついていない。
「ど、どうしよう、どうしたら……」
「?何をしているの。私は『治癒ができる人間』と言う条件を出して貴方を召喚したんだから貴方はできるわよ早くーーうっ……」
「あっと」
倒れかけた美少女を、急いで支える。
美少女は簡単にそう言ってくれたが、ここが異世界で魔法なんてモノがあったとしてもケイはそんなの使えない。
と、まさにそう思った時、ケイの右手が輝き出した。
「おお!?」
そしてみるみるうちに美少女の傷が癒えていく。
「……ありがとう。助かるわ……」
「……いえいえ」
ーーいや、できるんかい、オレ!
ーー使えて嬉しいけどさ。
ーー異世界×魔法か……ホントラノベの世界だな。
輝く右手を見て、ケイはつくづくそう思った。