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魔女の恋人  作者: さくら あきと
20/90

初クエスト2


「これを受けることにするわ」


 レミアがクエストの紙を受付嬢に渡す。


「はい……ああ。これなら新人冒険者さんも安心だと思います。頑張ってください」


 笑う受付嬢に「ええ」と短く返し、レミアはきびつ返す。


「行きましょう。ケイ」


「ああ」


 颯爽とギルドを出るレミアを、ケイが追う。


「なぁレミア。さっかのは何のクエストだったんだ?結局聞いてないんだけど」


 ケイの質問に、レミアは淡々と答える。


「ああ、王都のハズレの街に出るスライム退治のクエストよ」


「スライム……」


「そう、この世界の最弱種……単体ならね」


「ん?どういう意味?」


「スライムは、強い相手や大きな獲物を獲ろうとする時、個体が合体して大きくなったりするのよ」


「なるほど、スライムとはいえ油断できないわけか……」


「ええ、とは言って弱いから、そんなに心配する必要はないわ」


「ふむ……あれ?そんなに弱いなら街の人が退治すればいいんじゃ?そうすればお金を払う必要もないだろうに」


「それはね、ケイ。スライムと言っても魔物は魔物、物理的に攻撃しても倒せないの、魔物を倒すには、魔力を使った攻撃じゃないと」


「なるほど、魔力か」


「ええ。その街には、魔力が使える人間が居なかったんでしょうね。魔力を使える人は、そんなに多いわけじゃないから」


「へぇ……オレは使えてラッキーなわけだ」


「そうね……それにケイはすごいわ、あれだけの魔力が出せる人間、滅多にいないから」


「結構すごいこと?」


「ええ。すごいわ」


 微笑むレミアに、ケイの胸が熱くなる。


 好きな相手に褒められるのは嬉しいから。


 ーーああ、嬉しい、けどフード邪魔!レミアの顔がよく見えん!


 喜びと怒りがケイの心に現れる。


「さて……だいぶ人の居ない所に来たわね」


「うん?」


 ケイが辺りを見渡すと、二人は人気がない路地裏に居た。


「ケイ。ここからは近道をしましょう」


「近道?」


「ジッとしててね」

  

 と、レミアがケイをお姫様抱っこで持ち上げた。


「レ、レミア?」


「ジッとしてて」


 もう一度言い、レミアが地面から屋根へ跳ぶ。


 そして重力魔法で自身とケイを軽くし、魔力で身体能力を高め、屋根をダッシュで走る。


「うおあぁぁぁ!速ぁああああああ!!」


「舌噛んじゃうわよ……普通に走ったり馬を使うより、こっちの方が速いから、ね」


 と、風でフードが捲れ、顔の見えるレミアがケイに笑いかける。


 ーー可愛い!かっこいい!好き!


 ーーでもお姫様抱っこは恥ずかしいし、なんならオレがしたい!


 今度はケイの心に、羞恥と喜び、そして欲望が同時に現れた。












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