初クエスト2
「これを受けることにするわ」
レミアがクエストの紙を受付嬢に渡す。
「はい……ああ。これなら新人冒険者さんも安心だと思います。頑張ってください」
笑う受付嬢に「ええ」と短く返し、レミアはきびつ返す。
「行きましょう。ケイ」
「ああ」
颯爽とギルドを出るレミアを、ケイが追う。
「なぁレミア。さっかのは何のクエストだったんだ?結局聞いてないんだけど」
ケイの質問に、レミアは淡々と答える。
「ああ、王都のハズレの街に出るスライム退治のクエストよ」
「スライム……」
「そう、この世界の最弱種……単体ならね」
「ん?どういう意味?」
「スライムは、強い相手や大きな獲物を獲ろうとする時、個体が合体して大きくなったりするのよ」
「なるほど、スライムとはいえ油断できないわけか……」
「ええ、とは言って弱いから、そんなに心配する必要はないわ」
「ふむ……あれ?そんなに弱いなら街の人が退治すればいいんじゃ?そうすればお金を払う必要もないだろうに」
「それはね、ケイ。スライムと言っても魔物は魔物、物理的に攻撃しても倒せないの、魔物を倒すには、魔力を使った攻撃じゃないと」
「なるほど、魔力か」
「ええ。その街には、魔力が使える人間が居なかったんでしょうね。魔力を使える人は、そんなに多いわけじゃないから」
「へぇ……オレは使えてラッキーなわけだ」
「そうね……それにケイはすごいわ、あれだけの魔力が出せる人間、滅多にいないから」
「結構すごいこと?」
「ええ。すごいわ」
微笑むレミアに、ケイの胸が熱くなる。
好きな相手に褒められるのは嬉しいから。
ーーああ、嬉しい、けどフード邪魔!レミアの顔がよく見えん!
喜びと怒りがケイの心に現れる。
「さて……だいぶ人の居ない所に来たわね」
「うん?」
ケイが辺りを見渡すと、二人は人気がない路地裏に居た。
「ケイ。ここからは近道をしましょう」
「近道?」
「ジッとしててね」
と、レミアがケイをお姫様抱っこで持ち上げた。
「レ、レミア?」
「ジッとしてて」
もう一度言い、レミアが地面から屋根へ跳ぶ。
そして重力魔法で自身とケイを軽くし、魔力で身体能力を高め、屋根をダッシュで走る。
「うおあぁぁぁ!速ぁああああああ!!」
「舌噛んじゃうわよ……普通に走ったり馬を使うより、こっちの方が速いから、ね」
と、風でフードが捲れ、顔の見えるレミアがケイに笑いかける。
ーー可愛い!かっこいい!好き!
ーーでもお姫様抱っこは恥ずかしいし、なんならオレがしたい!
今度はケイの心に、羞恥と喜び、そして欲望が同時に現れた。




