夢
「じゃ、寝るか」
「ええ」
サッパリし、お腹も満たされ、二人は眠ることにした。
「お休み、レミア」
ケイたちの借りた部屋は一人部屋なので、当然ベッドは一つしかない。
ので、ケイはベッドはレミアに譲り、イスに座って寝ようとした。
だが、イスに座ろうとしたケイの手を、レミアが掴む。
「レミア?」
「ケイ、まさかイスに座って眠る気なの?」
「だってベッドは一つしかないし……ここはレミアが使うべきだろ」
「嬉しいけどーーそれじゃケイも疲れが取れないでしょ?だから、一緒に寝ましょう」
「いっ、一緒に?」
レミアの提案に、ケイの顔が赤くなる」
「いっ、一緒と言ってもただ寝るだけよ、その、いやらしいのはダメよ!」
「あ、ああ」
こうしてあわあわしながらも、二人は一緒にベッドに入った。
すると、ケイはすぐに眠ってしまった。
スヤスヤと寝息をたてるケイを、レミアが優しく見つめる。
「あらあら……疲れていたのね……ふふ。可愛い寝顔……」
レミアが優しくケイの横顔に手をやり、撫でる。
「お休みなさい、ケイ。良い夢を」
そう呟き、レミアも眠りについた。
眠りについたケイは、夢を見ていた。
夜、山の中だろうか、一面草に覆われた場所に一人立っている。
ふと、何気なく上を見た。
するとそこには、満天の星空。
夜の闇に、星が散りばめられ、輝いている。
「そういえば……」
幼い頃、いつだったか、ケイはこの星空を見たことがある。
初めて見た満天の星空。
「ーーどうして今まで忘れていたんだろうな……こんなにも綺麗で、心満たされるのに……」
そうしてしばらく星空を見ていると、後ろから声が聴こえた。
振り返ると、そこには幼いケイと、母の姿があった。
「ねぇケイ。綺麗でしょ?星空ってすごいわよね、綺麗で、輝いていて、それに私、星空ってなんだか人の願いを叶えてくれそうな気がするの……だから私は星空が好き」
そこでケイは全てを思い出した。
この夢は過去の記憶。
幼い頃母と見た大切な記憶。
母が死に、父に勉強を強要されるようになって忘れてしまっていた記憶。
「ーー……バカだな、オレ……こんな大切な記憶、何で、どうして今まで……」
そうして、母の続きの言葉が聴こえる。
「ねぇ、ケイ。あなたもいつか、人のために輝ける、そんな人になってね」
「ーーうん」
ケイと、幼いケイがそう答えて、夢は覚めた。




