証明するために
「これで良し」
話が終わったすぐ、斬られたレミアの傷をケイが癒した。
「ありがとう」
「いやいや。それよりレミア。これからどうする?」
「そうね。いつまでもここに居たらまた騎士団の連中が来るかもしれないわね……ケイ、ここから離れましょう」
「ああ」
しばらく休憩した二人は、この場所を離れることにした。
「それで、どこに向かうんだ?」
ケイが訊くと、レミアは難しい顔をした。
「そうね……この国に居ても騎士団に追われるだけ……いっそ外国にでもーー……」
そこまで言ったレミアの腕を、ケイが掴んだ。
「それはダメだ。オレはアイツらに、レミアは無実だと証明する。証明して、謝らせる。だって、レミアはやっていないんだろ?」
「ケイ…ええ。もちろん」
「だったら証明しよう」
ケイがレミアの手を握る。
「ええ。分かったわ。あなたは私を信じてくれているんだものね……ありがとう、ケイ」
レミアもケイの手を握る。
そして手を繋いだまま歩き出す。
「いやいや……あ、そういえばレミア、レミアはどうやってオレの傷を治したんだ?使えないんだろ?治癒魔法ってやつ」
「ああ……それは『開花魔法』を使ったの」
「『開花魔法』?」
「そう。魔法使いの中でも限られた一部の人間だけが使える奥義みたいなやつね。私の『開花魔法』の一つ、『命渡し』……簡単に説明すると、私の命……寿命を削って、その分の生命力を他人に渡すの」
それを聞いて、ケイは足を止めた。
「ーーじゃ、オレのせいでレミアの寿命が……」
顔を固めるケイに、レミアは笑う。
「何を言っているの。あなたが私を庇ってくれた。だから私は生きている。あなたが庇ってくれていなければ死んでいた……死ぬことに比べればほんの少し寿命を削るぐらい、何でもないわ」
「でもーー……」
レミアの説明を聞いても、ケイはレミアが寿命を削ってしまったことを気にした。
そんなケイに、レミアが言う。
「……それに、嬉しかったの、私」
「え?」
「あなたが好きって言ってくれて、私、すごく嬉しかった……他人からしたらただの言葉かもしれないけれど、私には、本当に嬉しかった。だから」
ーーそう。本当に嬉しかった。お母さん以外で初めて私にその言葉をくれた人。
「だからありがとう、ケイ。私を好きになってくれて」
笑顔を見せるレミア。
ケイにはその笑顔これまでで一番輝いて見えた。
魔女と呼ばるレミア。しかしケイには、レミアが天使に思えた。
「さ、とりあえず行きましょうか。これからのことは、その後で」
「ああ」
頷き、ケイはまたレミアとともに歩き出した。




