第9話 ヨハン視点
俺の名はヨハン。【永遠の満足】のリーダーをやっている。
公にはしていないがスキル〈剣聖〉であっという間にソロで
B級冒険者にまで登りつめた。
A級クエストはさすがにソロでは厳しいと判断し、今の仲間であるボルグとセシリアをスカウトしパーティを結成した。
「ヨハン、お前とパーティを組めて最高だ。A級パーティにいてるだけで、周りのやつらは俺にひれ伏す」
B級以下はかなりの数の冒険者が所属しているがA級以上となるとかなり少なくなる。
A級は俺たちを含めても7組。
最高ランクのS級に至っては【混沌を制すもの】のただ1組だけだ。
何やらギルド内の冒険者が騒いでいた。
「おい!カオスのやつら、S級クエストのドラゴンをまた討伐したらしいぞ」
「さすがS級パーティ。痺れるぜ」
【永遠の満足】も過去に2度S級昇格クエスト〈ヘルドラゴンの討伐〉に挑んだがいずれもリタイアに終わった。
(俺はこんなところでくすぶってていい奴じゃない…)
「ヨハン、見てあれ。アレクのバカが何かしようとしているわよ」
そこにはギルドの掲示板にAランクパーティ【結合する絆】のメンバー募集の貼り紙が貼られていた。
「それにしても、ふざけた募集要項だな。あそこには確かバルボッサがいたはずだ。奴は恐ろしく強いが所詮1人だけのパーティ。他の2人は名前すら覚えてないな」
「面白そうだから、私冷やかしに応募してみようかしら」
(暇な奴め……)
そんなある日【結合する絆】がA級からB級に降格したとギルド内で話題になっていた。
顔の知れた受付嬢に話を聞くと、アキラという奴が脱退してからパーティのまとまりがバラバラになりクエストをよくリタイアするようになったとか。
「それがですねヨハンさん。性別は違うんですけど最近アキラっていう同じ名前の冒険者が【ラッキークローバー】っていうパーティに加入して、それからはもの凄い勢いでクエストをこなしてるんですよ。今日も昇格クエストを受注してB級に昇格したんですよ。超面白くないですか?」
「へー……それはなかなか興味深いね」
俺はいつの間にか、アキラという冒険者に強い興味を抱いていた。そいつは偶然なのか必然なのか。もしかしたら、くすぶっているこの現状を変えてくれる奴なのかもしれないと。
「おい、ヨハン。今日も飲みに行こうぜ!セシリアも行くだろ?」
(考えすぎかな)
「ああ、今行く」
(あれは【結合する絆】のバルボッサと……もう1人は誰だ?)
「悪い、ボルグ。セシリアと先に飲んどいてくれ。懐かしい顔がいた」
しばらく近くの席で聞き耳をたてていると、アレクが合流しなかなか面白い話をしていた。
(こいつがあのアキラか……。試す価値はありそうだな)
「おやおや!?これはこれは……」
(試してやる。お前が何者なのか……。そして、俺の仲間として相応しいかどうかをな)
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