第28話 バジシエロ②
「少しいいかなヨハン君。奴の額に三日月の形の傷があるだろう!?あれは以前戦ったときに負傷させた傷なんだよ。先程のルーナ君の額への攻撃の際にかなり嫌がっていたように見受けられた。そこを狙っていこうではないか」
ラザフォードから聞いた情報を全員で共有する。接近戦は多少リスキーだと踏んでいたヨハンだったが、大幅に人数が減った今、大きく舵を切る必要があった。
「よし、作戦開始だ」
ラザフォードの合図と共にボルグは大砲を頭部目掛けて乱射する。
「オラオラオラー」
さらに続くようにルーナも追撃。
「ノってきたよ〜。《エーリアル2nd》」
頭部に狙いを定めて遠投。額へと直撃し、戻ってきたバトンをキャッチする。バトンの先にある大きな星は、今度はオレンジ色に発光した。
「やりぃ〜。やっぱり私って天才じゃん」
ボルグとルーナの攻撃によって態勢を崩すバジシエロ。
隙を見逃さないヨハンとラザフォードは敵の間合いに素早く入り攻撃態勢をとる。
「《無限の斬撃》」
「《無茶振り》」
両者とも手数で頭部に集中攻撃を浴びせる。
「シャアアアァァアアア!!!」
有効打は与えたものの、返って敵の怒りを買うことになってしまった。
バジシエロは地面を両手で叩きながら、冒険者たちを襲う。あまりの威力に地面がバキバキに割れていく。
「《強固な錠》」
敵の近くにいたヨハンとラザフォードに付与しサポートするエリシア。
剣でガードするがかなり吹っ飛ばされる。
「ぐはっ」
さらに、ボルグ目掛けて急加速。
「おいおい、何で俺の方に来るだよっ」
為す術がないボルグは大砲で応戦。
「大ピ〜ンチじゃん。《エーリアル3rd》」
砲弾とバトンはヒットするものの、バジシエロの勢いは止まることなく突進。
「ぐあああぁ。俺の大砲が……げふっ」
ボルグにとどめを刺そうとばかりに右手を大きく上げ、まさに降り下そうという最中だった。
「きたきた〜☆」
ルーナの持つ【運命のバトン】の星は赤色に発光していた。
「大技いっちゃうよ〜。《流れ星》」
星型の弾丸が敵の頭部を捉える。
「シャアアァァアアア」
バジシエロは反り返り転倒。エリシアとアキラはボルグの肩を抱えて避難させる。
ヨハンとラザフォードはアイコンタクトすると息を合わせて再び攻撃に転じる。
「ここで決める!《聖なる斬撃》」
「ハッハッハー、私のとっておきだ。
《覇道の一撃》」
「ギャァァァァアアアア!!!!」
のたうち回るバジシエロ。
バジシエロのうめき声が〈覇者の頂〉中に響き渡っていた。
「マジィ〜?倒したんじゃないの!?」
ルーナは余裕の表情でバトンをクルクルと回し遊んでいた。
だが突然、バジシエロの尻尾がルーナの右腕を襲う。
「キャっ」
さらに、大きな落雷がバジシエロを直撃。バジシエロの体はどんどんドス黒い体へと変異していった。
「シャアアアァァアア!!!」
「まさかな……第2ラウンド開始という状況とみて間違いなさそうだ。皆のもの怯むな!向こうも恐らく限界に近づいてきている。もうひと踏ん張りだ!」
「もぉ無理だよ〜。さっきのでルーナ、右腕折れちゃったみたい」
「残念ながら私もこれで限界。最後に3人に《多重付与》をかけておくわ」
エリシアはラザフォードとヨハン、アキラの3人に
《度重なる光》と《雷の布》を付与。
ボルグ、ルーナ、エリシアも戦線離脱を余儀なくされた。
残り6名いた人員も3人で戦いを強いられることなってしまう。




