第23話 ギルド緊急会議
俺はこのギルドに勤めて早5年。今ではギルドマスターの補佐を務めるまでになったネグラヌだ。しかしこのギルドがここまで緊張に包まれたことなどかつて無かった。
「ギルドマスター、それは本当なのですか?」
ギルドの職員が集められ、緊急会議をしている真っ只中だった。
「先日の嵐の夜、目撃者が何人かいたらしい。私もにわかには信じがたかった。だが、どうやら事実のようだ……」
こんな緊迫した様子のギルドマスターは初めて見た。
「8年前にジークらと共に迎撃することに成功こそしたが討伐することはできなかった。天空の主バジシエロ。再びまたやつが現れるとは……」
「あ、あの~。そんなにバジなんとかっていうのはヤバイんですか?」
エミリーは恐る恐る質問。
「そうだな……当時、私自身も冒険者のはしくれだった。ジークを筆頭にS級に昇格したばかりの【混沌を制するもの】と共に討伐に向かった。やつはとんでもなく強かった。辺り一面は壊滅状態、迎撃はできたものの、ジークは大怪我をして引退を余儀なくされた」
ギルドマスターのリチャードは特別緊急クエストの用紙作成と手紙の手配をエミリーに依頼。
「特別緊急クエストの発令に伴い、魔物討伐に向けた特別部隊を編成しようと思う」
「人選はどのようにお考えで?」
「S級である【混沌を制するもの】と【永遠の満足】の計8名に【結合する絆】のバルボッサ、A級パーティ
【運命の雫】のリーダーであるルーナの2名を加え計10名」
「おおー。それは心強い」
思わず声が出てしまうネグラヌ。
「さっそく、手配の準備を始めていきますね」
「うむ。宜しく頼む」
一方その頃、【永遠の満足】は加工屋に来ていた。
あれから10日が過ぎ、ようやくアキラの包丁が完成したからだった。
「おい、みんな見てみろ。ヘルドラゴンの武器と防具が並べられているぞ」
そこには〈緊急入荷!!ヘルドラゴンシリーズ〉と書かれていて、いかにもゴージャスでブルジョワな素材でできた剣と防具が展示されていた。
剣・・・・・・・・85,000G
防具・・・・・・・85,000G
セット価格・・・・150,000G
「た、高~いっ!!」
「それにしてもすごい出来栄えだな。これならアキラのヘルドラゴンの素材で作った包丁も期待大だな」
「【永遠の満足】のみんなよく来たね。アキラの包丁はもちろん仕上がっているよ」
加工屋の職人から少し大きめの木箱を手渡される。
「おめでとうアキラ」
メンバーたちに祝福されるアキラ。
「開けてもいいかな?」
「もちろん」
鉤爪で出来た刃渡りに牙を使った柄を鱗で纏い、なんとも龍々しい包丁に仕上がっていた。
「凄いっ!みんな本当にありがとう!!」
みんな照れくさそうにしていたが、アキラの喜んだ顔を見てほっこりしていた。
加工屋の職人は包丁を収納する鞘もアキラの体に合うようと作成してくれていた。
「その包丁は腰に装着できるようにしてある。その他にも短剣として魔物退治にも役立つだろう。大切に使ってくれ」
「素晴らしい包丁をありがとうございます。これからはこの包丁を使ってみんなの料理を作るよ」
その夜はヘルドラゴンの包丁を使い魚を捌く。
「なんて切れ味。凄いよこの包丁!」
肉に野菜も切って切って切りまくって、とんでもない量の晩ご飯をこしらえてしまった。
みんなが食べきるのに苦労したのは言うまでもない。
翌朝、ギルドより特別緊急クエストの手紙が【満足な家】に届いた。
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