第20話 S級ライセンス
ヘルドラゴンの亡骸が横たわる。
「本当に俺たち倒しちまったんだな」
「ていうかボルグ。あなただけ何でそんなにボロボロなのよ?臭そうだから、近よらないでちょうだい」
確かに4人の中でも一際ボロボロなのがボルグだった。
「酷くねーか!?アキラからも何とか言ってやってくれ」
「まあまあ、ボルグも頑張ってたから」
ようやく立ち上がるヨハン。
「ギルドに帰ろう」
冒険者ギルドに帰還しいつものように受付に向かう。
「お帰りなさい……よくご無事に御帰還されました。あぁ……結構やられたみたいですね。……命ある限りまたいつでも挑戦できます。どうかお気を落とさずに。また頑張ればいいじゃないですか」
顔見知りの受付嬢エミリーは早とちりしているのだろう。彼女の頭の中ではすでにクエストが失敗したことになっている。
「いや、エミリー。クエストクリアの報告をしに来たのだが」
クスクスっと笑みを浮かべる。
「また~。ヨハンさんはそうやってまたすぐ私をからかっているんですね。まだそんな冗談が言える元気があって安心しましたよ」
2人のやり取りを横で見ていたアキラはなぜだか無性にイライラときてしまった。
スキルで収納していたヘルドラゴンの頭部をカウンターにボンっと置く。
「これで信じてもらえますか??」
最初こそ笑顔だった受付嬢のエミリーも次第に真っ青になっていく。
「ギギギ、ギルドマスターァァアアアア!!」
エミリーがもの凄い慌てっぷりで、スタッフオンリーと書かれている部屋に消えていった。
暫くしてエミリーが戻ってきた。
「こ、こっちです。本当なんですよ」
「これはこれは【永遠の満足】の皆様。ご挨拶が遅れました。当ギルドのギルドマスターをしているリチャードと申します」
なかなか表に出てこないギルドマスターが直々に挨拶。どうやら少しばかり大事になってしまったようだ。
「ふむふむ。あのヘルドラゴンを討伐……お見事です。これにて【永遠の満足】のSランク昇格を認めましょう」
4人は冒険者ライセンスをリチャードに返却。
「こちらが新しいライセンスになります。それと少しばかりですがSランク昇格の御祝儀200000Gも一緒にお渡しします」
みんな初めて見るS級ライセンスにテンションが上がらずにはいられない。
「おい、ここのSのとこら辺キラキラしててすげーぞ」
「あんたはもうちょっとマシな感想ないのかしら」
「エミリー君。後は君に任せても大丈夫かな?」
「はい、もちろん」
嵐のように来て去っていってしまったギルドマスター。エミリーからヘルドラゴンの報酬40000Gを受け取る。
「び、びっくりして心臓が止まるかと思いましたよ~。それにしても凄いですね。現S級は1組だけでしたのでこちらとしては心強いばかりです。お祝いにヨハンさん、食事でもどうですか?」
「あ、あの~私たちもいるんですけど」
「あ、あなたはアキラさん!!少しは私に感謝して下さいよね」
ちょっと言っている意味が分からなかったが、無事S級に昇格できて良かった。
「いつまでもヘルドラゴンを持ってても仕方ない。加工屋に行こうか。俺の大剣も使い物にならなくなったしな」
「ヨハン、俺はハウスに先に戻るぜ。服もボロボロだしな」
「悪いけど私もシャワー浴びたいからパスするわ」
ボルグとエリシアは【満足な家】に戻り、ヨハンとアキラは加工屋に向かった。
読んでいただきありがとうございます。
気持ち的には第1章が終わったという感じです。
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