第18話 ヘルドラゴン1
Sランク昇格クエスト
《イニシエの谷に住まうヘルドラゴン
1頭の討伐 報酬40000G》
ヨハンはクエストボートからクエスト用紙をはがし受付嬢に渡す。
「遂に挑戦するんですね……。私に言えることは数少ないですが、ご武運をお祈りしています」
「ああ。行ってくる」
今日の為に、アキラの〈料理術〉を検証した。
この日の為に、何度もシミュレーションした。俺たち、4人集まれば倒せない敵じゃない。必ずSランクに上り詰めてやる。
いざヘルドラゴン討伐へ。
「そういえばアキラはまだ初めてだったよな」
「うん……みんなもじゃないの?」
「そうか、アキラは知らないんだったな。俺たちは奴に2度やられている」
「え??」
さすがに驚きを隠せないアキラ。
「だが今回は勝算がある……そうだろ!?ヨハン!」
「ああ、勿論だ。じゃなきゃ挑戦しないだろ」
「それ前回も言ってなかったっけー?」
みんな嘘みたいにリラックスしている。軽いジョークで和ませてくれたのだろうか。
冒険者ってしんどくて、つらいことばかりの連続だと思っていたアキラだったが、信頼できる心強い仲間たちと出会い次第に楽しいことだと感じるようになっていた。
「この山を越えたところが〈イニシエの谷〉だ。そこに奴がいるだろう。ここで最後の晩餐といこうかアキラ」
「ドラゴン退治にちなんで、ミノタウロスの熟成肉を使ったミノ竜田揚げバーガーだよ」
アキラは皿にミノ竜田バーガーを乗せて、周りにバタフライドポテトを盛り付ける。
「みんなできたよ!召し上がれ」
食事を終えブーストを掛けたところで山を越えていく。
「ギャーーーーーーー!!!」
とてつもない威圧感でヘルドラゴンが叫び声をあげていた。
「なんかあいつ怒ってない?」
「大丈夫だ。手筈通りいこう。いくぞー!!!」
まずはエリシアが動く。ベブンズロッドが光を放つ。
「《度重なる光》」
ボルグの大砲にエンチャントする。
「くらいやがれ!《冠菊花火》」
まるで打ち上げ花火のような砲弾を遥か上空に君臨するヘルドラゴンに向かってド派手な攻撃を打ちこむ。
「ギャオオオオォォォオオ!!!」
攻撃が効いているのかいないのかは分からないが、奴の放つ圧力はビンビンと伝わってくる。
「くるぞ!!」
「ええ。《強固な錠》」
ヨハンの大剣にも付与しておく。
ヘルドラゴンはボルグ目掛けて一直線に急降下。
ここまでは予想通りの動きだ。
ヨハンは大剣でガードの姿勢に入る。
「ギギギギーーーーッ」
何て重たい攻撃だ。ヨハン越しでもとてつもない風圧が攻撃力の高さを物語っていた。
ヨハンの陰に隠れる形でボルグが大砲の溜め攻撃に備えていた。
「よし、溜まったぜ。伏せろ、ヨハン!」
溜め攻撃が綺麗に直撃する。それでもなお攻撃の手は緩めない。
「エリシア、頼む」
「任せて!《度重なる光》」
ヨハンの大剣が光輝き、静かに目を閉じる。
「《無限の斬撃》」
ヨハンのくり出す無数の斬撃がヘルドラゴンを捉える。
「ギャァァアアアアア!!」
イケる、イケるぞ。前回までは、奴の硬い鱗にずいぶん苦しめられていた。
しかし、今回の闘いでは確かな手応えを感じていた。
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