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異世界転生の天人族《ハイランダー》〜異世界の山奥で悠々自適なスローライフ〜  作者: SIGMA・The・REVENANT
第一章・第六話:皇獅獣討伐へ、そして予想外の客
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決着、そして招かれざる客

 再び山の中────


 俺は一人、休憩をしていた皇獅獣の前に姿を現した。


 というのも俺は囮として注意を引きつける役を自ら買って出て、その間にヨミ達にはそれぞれの場所に待機してもらっている。


 俺に気づき威嚇をし始める皇獅獣……十分に休息を取れたのかやる気満々のようだった。


 俺は懐から例の爆弾を取り出すと、奴に向けて全力で投げつける。


 予想通り皇獅獣はそれを跳ね除けようと左前脚を振り払うが、その直後に爆弾が破裂────奴の周囲を轟音と激臭が包む。



『グォォッ?!』



 鼓膜を突き破るような音と吐き気を催すほどの臭いに皇獅獣はその場にのたうち回り、なんとかそこから逃げ出そうとヨロヨロと歩き始める。


 俺も数秒間はキツかったが、直ぐに回復すると奴を追いかけ始める。


 奴は迎撃を考えたようだが、先ずはこの場から離れるのが先だと思ったらしく、俺から逃げるように移動し続ける。


 俺も付かず離れずの距離を保ちながら奴を追いかけ、そしてある程度進んだところで笛を鳴らした。


 その直後に木の上から奇襲をかけるオウルとレイヴン……二人は的確に奴の両目を狙い、そして奴の目はほぼ同時に潰された。


 耳、鼻、そして目を潰された事により奴は俺達を察知する事が出来なくなり、暴れ始めては無差別に攻撃を放った。


 しかし目も見えていないのでその攻撃は俺達には当たらず、代わりに岩や木を破壊していた。


 だがその隙をついてアルクトスが奴の尻尾を掴み力任せに振り回す。


 そしてある程度振り回したところで思いっきり地面に叩きつけた。


 間髪入れずにイヴの強化魔法を受けたセインがトドメを刺そうとするが、皇獅獣もそうはさせまいとその爪をセインへと振り抜く。


 しかしそれに気づいたレイヴンがすかさずセインを掴みその場から飛び去る。



「ありがとうございますレイヴンさん!」


「例には及ばぬで御座るよ。それにしてもなかなかしぶといで御座るな」


「大丈夫です!ほら────」



 レイヴンがセインを連れて飛び去り、アルクトスもまたその場から離れる。


 数秒もがいてようやく立ち上がった皇獅獣に俺は渾身の魔法をお見舞した。



「これでもくらっとけ!〝雷霆霹靂(ケラウノス)〟!」



 けたたましい雷鳴と、それが直撃したことにより響き渡る轟音……雷霆霹靂を受けた皇獅獣は身体からブスブスと煙をあげていたが、もうろくに動く事は出来ないだろう。


 それを察した俺達は静かにそれぞれの武器を構えた。



「行くぞお前ら」



 〝おう!〟という言葉と共に俺達は一斉に皇獅獣へと飛びかかった。


 奴の反撃があったものの、変わるがわる繰り出される俺達の攻撃に、遂に奴は為す術なくその場に崩れ落ちていった。


 〝ドシン!〟という衝撃と共に地に伏す皇獅獣……それはこの戦いが終わったことを告げる合図となっていた。


 もう動くことの無い皇獅獣の遺体を前に緊張の糸が切れたのかその場に座り込む。


 他の奴らも同様で、中には息を切らせている者までいた。



(終わった……)



 そう思った時、ふと俺の背に重さを感じ、見れば後ろにいたヨミが俺に背を預けながらスヤスヤと寝息を立てていた。


 非常に気を張り詰めていたのだろう……疲れ果ててしまったヨミは眠りについてしまっていたようだった。


 俺は静かに動き彼女へと身体を向けると、あぐらをかいていたその膝にそっとヨミの頭を下ろす。


 するとヨミはそれに気づいたのか、眠ったまま体勢を変えて寝やすい姿勢となる。


 俺はそんな彼女の頭を撫で、苦笑しながらそっとこう声をかけたのだった。



「お疲れさん」



 それを微笑ましそうに見ているオウル達……気がつけばセインとイヴもオウルに膝枕をして貰いながら眠りについていた。


 それを見て〝シ〜っ〟と口元で人差し指を立てて合図をしてくるオウル。


 先程まで激闘を繰り広げていたとは思えない程、微笑ましい一時……しかしその一時はレイヴンの声によって終わりを迎えた。



「御館様……何者かがこちらに向かってきているで御座る。複数人のようで御座るよ」


「────!」



 参ったな……今はヨミ、セイン、イヴは寝ており、オウル達も起きているとはいえ満身創痍。


 かろうじて俺は動けるが、ヨミに膝枕をしていて身動きが取れない。


 もしもの時はオウル達に任せて、俺一人で相手しようと思っていたが、どうやらそれは杞憂に終わりそうである。


 というのも姿を現した奴らは全員、鎧に身を包んだ者達だったからである。


 その中で戦闘を歩いていた男が皇獅獣を見てこう訊ねてきた。



「これは君達が倒したのかね?」


「そうだが……誰だお前らは?」



 肯定した上でそう訊ね返す俺に、男はふっと微笑んでこう名乗ったのだった。



「私の名はエドワーズ・スプリングス……ルノワール王国軍所属で今回、この付近で目撃された皇獅獣討伐を命じられた討伐隊隊長だ」


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