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異世界転生の天人族《ハイランダー》〜異世界の山奥で悠々自適なスローライフ〜  作者: SIGMA・The・REVENANT
第一章・第五話:使い魔と討伐訓練と
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使い魔達の武器を作る

 さて……あの四人の為の武器を用意するにあたって、俺はオウル達と模擬戦を行おうとしていた。


 理由は四人がそれぞれどのような戦い方をするのか確かめたかったからだ。


 こちらで用意したとしても、いざ実際に使っても使いこなせずに終わるという可能性もあったからだ。


 なので順番に一人ずつ俺と戦闘を行ってもらい、実際にその目で確かめようと思った次第である。



「あの……ヤマト様にこの爪を向けるなどしたくは無いのですが……」


「いやいや、今回はお前ら専用の武器を作る為の情報が欲しいだけだからさ。遠慮しないでかかって来てくれ」


「はぁ……ヤマト様がそう言うのでしたら……」



 オウルは未だ納得のいっていない表情だったが、いざ開始の合図が出されると直ぐに気を切りかえてその爪で襲いかかってきた。


 俺はそれを余裕で躱したが、直ぐに攻撃をしようとしてその場にオウルがいないことに気づく。


 周囲を見ても姿はなく、〝もしや〟と思い空を見上げるとそこにオウルはいた。


 都牟刈の攻撃範囲を予測してか、〝絶対に届かないだろう〟と言わんばかりにかなり高い位置で飛んでいる。


 前世では制空権を得た方が有利という考えがあったが、ここは異世界……制空権を得たからといって必ずしも有利になるとは限らないのである。


 その証拠に俺は跳躍をしオウルとの距離を詰めると、彼女は驚いた顔で直ぐにその足で俺の攻撃を防ごうとした。


 しかしまだ甘い────


 俺は防御しようと出したオウルの足を掴むと、そこから更に跳んで彼女の背後へと回った。



「────っ!」



 都牟刈(抜刀はしていない)を振り払うもオウルは間一髪で更に上へと飛びそれを避ける。


 そして落下し始めた俺の身体へと向けて急降下で突撃してきた。


 俺はそうはさせまいと都牟刈を振るうも、なんと彼女は途中でブレーキをかけ攻撃をやり過ごしたかと思うと、今度は足で俺を掴み真下へと叩きつけるようにして投げた。



(おぉっ!まさかそんな事も出来るのか!)



 驚きと興奮が入り交じった感情で俺は数回前宙をすると、難なく地面へと着地した。


 しかしそんな俺をオウルは更に追撃をしようと向かってくる。


 だが俺はあえて直ぐにはよけずにギリギリまで引き付け、そして彼女の爪が俺に届くか否かというタイミングで縮地を使いその場から消える。



「────!!?」



 驚くオウル……しかしもはや急ブレーキが出来るタイミングではなく、彼女はそのまま爪で空を切り裂いた。


 まぁ当然その場に俺はおらず、彼女は自分の攻撃の勢いにより体勢を崩してしまう。


 その隙を逃さず俺はオウルの襟を掴むと、そのまま投げ技で彼女を地面に叩きつけたのだった。



「うぅ……」



 地面に激突した衝撃で呻き声をあげるオウルに一言。



「惜しかったな?まぁ切り替えの速さや咄嗟の機転については見事だが、それでもまだ詰めが甘い。相手が次にとるであろう行動を幾つも予測しろ。そうすりゃ今みてぇに反撃をくらう事は無くなるだろ」


「はい……精進します……」



 なんだか稽古みたいになってしまったが、まぁとにかくこれで彼女の戦闘スタイルが分かった。


 予想通りオウルは主にその爪で攻撃するタイプで、武器もそれに特化したものが良いだろう。


 脛当(すねあて)を改良したやつにしておこうか?


 でもそれだと心許ないので小型の武器を持たせるのもいいかもしれない。


 さて、次はウォルフだな。


 ウォルフはその強靭な脚力ももちろん、意外にも落ちていた太い枝を武器にしてみたり、また尻尾なども活用しながら戦闘を行っていた。


 なので片手剣か双剣を使わせてみた方が良さそうだろう。


 アルクトスは素手での戦闘に徹底しており、武器など不要といった感じだった。


 篭手(こて)にしておこう。


 最後にレイヴンはこれも意外や意外……なんと木の棒を持ったかと思うと、まるで槍のように扱い攻撃を繰り出してきた。


 なんでもよく見かける槍使いの冒険者の動きを興味本位で見ていたらしい。


 しかも彼女は翼がある為、上空からの攻撃も繰り出すことが出来る。


 ふむ……レイヴンには槍だな。


 こうして四人の戦闘スタイルを確認した俺は直ぐにゴウエンの元へと向かい、四人の為の武器制作へと乗り出したのだった。


 そして後日それらが完成し、しかもゴウエンはわざわざアカネも連れて持ってきてくれたのだった。


 完成した武器をそれぞれ装備する四人……具合を確かめては満足そうな顔をしていたので気に入って貰えたようだ。


 オウルは脛当に爪を模した刃を付けたソルレットエッジというものと、二つのダガー。


 ウォルフはマチェットという武器の二刀流。


 アルクトスはクマの爪を模したガントレット。


 そしてレイヴンは日本の武将であるあの真田幸村も使っていたとされる十字槍である。


 それぞれの武器を眺めたり、かと思えば今度は勝手に模擬戦を始めては勝った負けたで騒いでいる四人。


 俺はそれをゴウエンにお代を払いながら見ていた。


 そしてゴウエン達が帰って行ったのを見送ったあと、セインとイヴを含めた六人にこう言った。



「それじゃあこれから稽古を始めるとする。今回は俺とヨミの二人で稽古をすることにしよう」



 稽古の為に移動するヨミと、その後をついて行くセインとイヴ。


 そしてその後ろをついて行こうとしていた四人を俺は引き止めた。



「待て待て、お前らどこに行くんだ?」


「どこと申されましても……稽古へと向かおうとしていたのですが?」



 などとオウルが言っていたので、俺は満面の笑みでこう返してやった。



「いやいや、お前ら四人は俺とだよ」



 その直後サーッと顔から血の気が引き、その青ざめた表情で首を横へと振り始める四人。


 セインとイヴはまだ子供なのでヨミが受け持つのは当然の事だ。


 しかしお前らは大人……子供と一緒に稽古をする大人がどこにいると言うんだ?


 大丈夫、この俺が直々に稽古をつけてやるから安心しろ。


 そう話したら四人は更に青ざめ、今すぐにでも逃げ出そうとしていた。



「なるほど……ただ正面から挑むのでは実戦感覚に欠けるという事か。いやぁ勉強になったなぁ。」


「違います!そうじゃありません!」


「それじゃあ俺が今から追いかけるから全力で逃げろよ?もし捕まったら痛い目に遭うからな〜」


「話を聞いてください!!」



 こうして四人は夕飯の時間まで俺に追いかけ回され、挙句に文字通り痛い目に遭わされたのだった。


 その際にヨミの〝何やってんだか〟という声が聞こえてきたような気もするが、聞かなかったことにする。


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