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異世界転生の天人族《ハイランダー》〜異世界の山奥で悠々自適なスローライフ〜  作者: SIGMA・The・REVENANT
第一章・第三話:賑やかな日常
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神金の使い道について

 岩突獣との戦いの翌朝、俺とヨミは奴の死体がある場所へと赴いていた。


 ヨミについては昨日、完全治癒をかけたので今の体調は万全である。


 なので二人で来てみたのだが、驚くことに岩突獣は綺麗に骨だけの状態になっていた。



「昨日のうちに肉食の動物達が食べてったのね」



 岩突獣の肉を食べてみたかった気持ちはあるが、昨日は保存の為の魔法を施していなかったので、そのままだったとしても腐敗し始めていただろう。


 ならば動物達の腹を満たす為の糧になった方が良いのだと思うようにした。


 しかし岩突獣の身体を覆っていた岩はそのままで、何故かヨミが諸手を挙げて喜んでいた。



「ただの岩なのに、なんでそんなに嬉しそうなんだよ?」



 〝えぇ……〟という顔をされた。


 聞けば昨日、ヨミはあの時にこの魔獣の事について言っていたらしく、それを聞いてなかったことを責められた。


 それで改めて聞くとコイツはただの岩突獣ではなく、その希少種である神金突獣(ミスリルノート)なのだという。


 普通は鉱山でも稀にしか採掘されない神金が、今目の前にたらふくあるのは奇跡としか言いようがないのだとか。


 ちなみに神金はこの世界では最も硬い鉱石らしく、それで作られた武器は最低でも超級(スペシャル)レベルらしい。



(ふむ……コイツを使えば更なる武器の強化が望めるか……。)



 しかし俺の都牟刈は天照大神から貰ったものなので、おいそれと手を出したくはない。


 なのでヨミの剣を見ていたら、彼女はそれに気づき隠すようにして剣を抱きかかえる。



「まさか私の剣を改造しようとか思ってないわよね?」



 鋭いな……。


 しかしヨミの剣をよく見るとなかなか見事な装飾が施されており、かなりの業物と見受けられる。



「なかなか良い剣だな?」



 思わずポツリとそう漏らすと、途端に彼女は目を輝かせながら自身の剣を紹介し始めた。



「良く分かるわね!この剣は〝星剣エトワール〟といって、隕石から採れた鉄で作られたものなの!でも私はこの星の装飾が素敵で、本当に素敵な装飾なの!」


「お、おぅ……」



 あまりの熱意に思わず引いてしまう。


 しかしそれほどまでに気に入っているのなら改造……コホン、強化はしない方が良いだろう。


 しかし困ったな……これではせっかくの神金も宝の持ち腐れだ。



「けれどせっかくの神金をここに放置しておくのももったいないし、家に置きっぱなしにするのもそれはそれでもったいないわね」



 ヨミも同じ事を考えていたことに驚く。


 何から何まで気が合うなとも思った。



「「売る(か)?」」



 同時に同じ言葉が出てきた。


 俺とヨミは顔を見合せ、そして小さく笑ってしまう。


 だが売るという選択肢はアリなのかもしれない。


 使わずに置いておくよりも、使ってくれる所に売った方が、この神金にとっても良い事である。



「町に鍛治屋はあったか?」


「あるわ。流れの冒険者がナイフを買ったり、武器でなくても町の人達が鍬や斧、包丁とかを買ったり修理してもらったりするから」


「ならそこに売るとしようか」


「賛成ね。鍛治屋の親方さんも喜ぶわ、きっと」



 とは言っても流石にこんな重いものをヨミ一人に持っていかせる訳にはいかない。


 いくら万全になったとはいえ、まだ無理はさせたくなかった。


 なので今回は俺も同行することになった。


 つまり初めて町に降りるという訳だ。


 そうなるとセインとイヴはどうしよう。



「二人はお留守番でいいんじゃないかしら?ウォルフもアルクトスもいるから大丈夫でしょう?」


「それもそうだな」



 という訳で俺はヨミと町へ出かける前に二人に留守番を頼み、ウォルフとアルクトスに二人を見守るよう頼んだ。


 何故かアルクトスは一緒に来たがっていたが、流石に熊が町に降りたら混乱を招くだろう。


 そう説得するとアルクトスは渋々了承したのだった。


 流石に町に降りても騒がれない熊は〝テ○ド〟か〝くまのプ○さん〟しかおるまいて。


 こうして俺とヨミは神金を持って町へと向かうのだった。


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