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9 公園での決着

 9 公園での決着



 試験明けの夕刻……滑り台や、砂場、老朽化したブランコなどがある近所の公園に役者は揃った。

 音村鏡夜、橘新九郎、霊王院才、そして闇の女神を宿す音村鏡花。

 ようやく思い描いた絶好の状況だと、鏡夜は勝者の笑みを浮かべた。

 鏡花の特別な才覚を無力化させる……その為にあらゆる手を尽して来た。

 全てはこの状況を作り出す為にあった。数々の布石が打たれ、盤面は今の状況に至る。


「今の状況……ようやく俺が思い描いた絶好の状況にある。

 我が妹、音村鏡花の才覚を無力化させる! 霊王院才!」


 卓越した読みで鏡夜は、この状況を作り出した。そして、それに応じた隣に控える才へと目線を向ける。

 才はそれに従い、鏡花の目の前に立つ。比較的長身の才と兄譲りの小柄な鏡花。

 二人は目を合わせる。すると鏡花の両目の桃色の瞳が光り、才の顔色は強張る。


 ――精神攻撃か? それも想定の範囲内だ。奴の桃色の瞳には幾つか力が込められている。


 鏡夜は何時にもまして頭が冴えている。妹の力を無力化させる事が目前に迫っているからだ。

 鏡花が新たに得た力は精神攻撃……とんでもない力だ。

 あの能面のように表情が読めない才の顔は見る見るうちに青ざめていく。


「精神攻撃……成程な。確かに強力な力を得たようだが、それには代償が付き物だ」


 鏡夜は冷静に状況を把握し、目を配らしている。

 鏡夜の眼を以てして、あの精神攻撃には何かリスクがあるのではないかと看破した。

 そして鏡夜の読み通り、精神攻撃を乱用した鏡花は胸を押さえて苦しそうに呻く。


「鏡花……今、楽にしてやる。才! 今の内に鏡花に宿る闇の女神を祓うんだ!」


 鏡夜の指示に従い、精神攻撃から立ち直った才は再び華麗に舞う。

 それはとても幻想的であり、才の指先一つとして修練の賜物が伺える。

 鏡花の闇の力が、抜け出ていく。それは才覚のきらめきの喪失……悲しきことだ。

 闇の力がごっそりと抜け、仰向けに倒れた鏡花の桃色の瞳は通常の黒色の瞳に戻る。

 闇の力を失った鏡花は反動でそのまま疲れて眠ってしまった。


「才、新九郎……全て終わった。才覚の全てを失った鏡花はこれから地獄を見ると思う。

 でも、俺はそんな妹をこれからも大事にしていく。ありがとう」


 全て終わった後、鏡夜は二人に礼を言う。


「良いのです。鏡花様は全てを失いましたが、これからの努力次第です」


 才は丁寧にお辞儀をして述べた。


「鏡花……僕は」


 新九郎は何処か思う所があるようだ。だが、これで全てが終わった。

 妹は目が覚めたら絶望するだろう。自慢だった才覚と桃色の瞳を失ったのだから。

 そんな妹を支えていきたい、そして兄として大事にしていきたいと願った。

これで音村鏡花は普通の子に戻りました。

音村鏡花は才覚を取り上げられて絶望しますが、また再び希望を見出します。

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