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【閑話】これまでのあらすじ・四


果林「はぁ……」

壮太「あれっ? 溜息なんて珍しいですね、果林さん」

果林「はい。最近、勇太さんとシフトが合わなくて……」

壮太「あー……そういう。うーむ……何なら、兄貴とデートでもしたらどうです?」

果林「デート……。そういえば壮太くんって、デート慣れしてるって本当?」

壮太「はい? どこ情報ですか、それ。俺にデート経験なんてほぼ無いですよ」

果林「え~? 美織ちゃんとか芹ちゃんと偶に出掛けてるみたいだし、放課後は志緒ちゃんとも下校デートしてるって話、聞きましたよ?」

壮太「いや、それはデートと言うんですかね? 確かに美織や芹ちゃんの買い物へ付き合う事はありますが、橋爪さんに関しては偶々、下校時刻が被ってるだけじゃ……」


志緒「…………(にこり)」



■これまでのあらすじ■


 熊門との激戦を制し、坂梨美織らを救った平壮太であったが、肋骨、及び拳骨の骨折により、アルバイトに出る事が出来なくなってしまった。

 それならそうと、来たるべき転校に備え勉学に勤しむ壮太の元へ来客が訪れる。

 来客は穴山将一と、その彼女である砂川瑞穂。見舞いに来た彼らと談笑する壮太であったが、その内に将一と瑞穂の仲を取り持つ為、Wデートを企画する。

 デート先はプラネタリウムと水族館。怪我により激しい運動を禁止されている壮太でも楽しめる場所へ遊びに行く事になった。

 Wデートと称すからには壮太にもデート相手が必要である。悩んだ末に彼はその相手を橋爪志緒に頼んだ。

 壮太から見れば、志緒は可憐でおしとやかな女性。現実世界における恋愛事に興味も薄そうに見える事から、デート相手としては最適だと思えたのだ。

 その後、角姉弟が見舞いに訪れたり、相変わらずの勉学に励んだり、ゆったりとした時間を満喫していた壮太であったが、遂にWデート当日となった。


果林「可憐でおしとやか……?」

壮太「……?」

果林「ちなみに、壮太くんから見て、美織ちゃんはどんな感じです?」

壮太「美織ですか? 明るくて誰にでも優しい……良い友達だと思いますけど」

果林「友達……ですか。はぁ……」

壮太「???」


果林「私、偶に男性向けの漫画を読む事があるんだけど、ハーレム系主人公って、凄く罪作りだと思うんです。肝心なところで難聴だったり、やたら鈍感だったり」

壮太「あー……なんか分かります。俺もその手の漫画を読む事ありますが『いやいや、気付けよ!』って突っ込みたくなる事ありますもん」

果林(いやいや、気付けよ!)



 デート当日、駅前で待ち合わせをしていた壮太と将一、瑞穂カップルは電車に乗り、隣町へと移動した。

 隣町の駅前には清楚なワンピースに身を包んだ志緒が壮太達の到着を待っていた。デート先であるプラネタリウムがある街は、志緒が住む街でもあった為、彼女だけ隣町の駅で待ち合わせをする事になったのだ。

 プラネタリウムへ到着した壮太達であったが、そこで予想外の人物と遭遇する。彼らの通う学園で教鞭を取っている地学教諭、常石明菜だ。

 この地学教諭、明菜だが、彼女は少々特殊な性癖を持っており、デートの装いをした志緒を見て彼女の虜になる。明菜にとって志緒は正に自身の理想を体現した美少女であったのだ。

 一方、美織はその頃、自宅で壮太の行方を探していた。何故、自宅に居るはずの彼女が壮太の居場所を探れるのか……それは、彼のスマートフォンへGPSアプリを仕込んでいたからだ。

 アプリにより壮太の行き先を掴んだ美織は意気揚々と、隣町へ出掛けていった。


壮太「あ……れ? 何か……あれ?」

果林「…………」

壮太「何で美織が……?」


美織「ん〜? どうしたの壮太。呼んだぁ?」

壮太「ぅ……いや、何でもないぞ」

美織「エヘヘ。何でも無くても呼んで貰えて、ちょっと嬉しいかな……なんて」

壮太(俺、ちゃんとロックコード入れてたよな? ロックコードって確か美織の誕生日……んんん?!!)



 プラネタリウム観賞を楽しんだ壮太一行は、昼食を取る為に近くのファミレスへと足を運んだ。

 志緒と一緒にいたいが為、ファミレスにも無理矢理同行して来た明菜であったが、そこで壮太の様子が少しおかしい事へ気が付く。

 明菜はそんな壮太を見て、先日の退学騒ぎで彼が心を痛めているのでは……と、心配になったが、事実は異なる。

 壮太の悩みは専らネトラレリスクについてだ。

 平壮太という人物は優秀な学業成績も然ることながら、スポーツも得意。容姿もそれなりに整っているにも関わらず、恋愛事に関しては異常なまでに臆病で鈍感だ。

 他人の気持ちを敏感に察する事の出来る好人物でありながら、いざ自分自身に関わる出来事になると非常に鈍感となる。

 その理由は中学生の頃に受けた角膜移植手術に関係している。移植手術後に植え付けられた記憶により、壮太は恋愛経験がないにも関わらず“最愛の人が寝取られた記憶”を有する稀有な存在となった。

 その記憶により壮太は変わった。将来起こり得るネトラレリスクを回避する為に自分を鍛え上げた。しかし、同時に彼は純情を失い、永遠の愛を信じられなくなった。

 寝取られた記憶、そのトラウマにより、稀に見るハイスペック男子であるにも関わらず、著しく自己評価の低い存在となった壮太は、他人の気持ちを察する事は得意だが、自分に対する好意だけは感じ取れないという歪さ、不整合さを持つに至った。


果林「何と言うか……色々と残念ですねー」

壮太「…………」(白目)

次でおさらい回は終わりになります。

その後は、お泊り編→芹ママとの邂逅→芹ちゃん救出編→最終章へと続きます。

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