【閑話】これまでのあらすじ・弐
おさらい編の続きです。
壮太「う~ん……」
将一「どうしたんだよ、壮太。催したのか?」
壮太「まぁ、それもあるんだけど……俺って客観的に見て、どんな感じなんだろうなって」
将一「傍から見た壮太か?」
壮太「うん」
将一「あー……まぁ、何だ? 背はまあまあ、顔も悪くない。勉強は出来るしスポーツも得意……でもまぁ、概ね普通じゃね?」
壮太「――だよなっ! 俺、変じゃないよな? 変質者にも見えないよな?!」
将一「……ああ。ぎゃ…逆に壮太から見て、俺ってどーなんだ?」
壮太「穴山か? うーん……とりあえず、高校球児だな。そして、ネトリスt……いや、坊主頭の似合うナイスガイだな」
将一「……おい。今また変な単語出しただろ? 確か前にも【ネトリスト】とか言ってたが、ありゃ何なんだ?」
壮太「うん?」
将一「うん? じゃねーから。お前が時々口走る【ネトラレリスク】とやらに関係してるんじゃねーのか?」
壮太「黙秘権を行使する」
将一「ねーよ」
壮太「チッ……仕方ないな。穴山、いいか? この世には○○リストとつく言葉が沢山ある」
将一「そーだな」
壮太「例えば、チェリスト。チェロ演奏家の事だな。他にはテロリスト、これは言わずもがな」
将一「で? ネトリストは?」
壮太「つ…つまり、ネト+リスト。~ストは何かをする者みたいな意味だろ?」
将一「解せねぇ。本当はネト+リストじゃなくて、ネトリ+ストなんじゃねーか? つまり、それって俺が――」
壮太「違う! 違うぞ、穴山。(本当は正解)ネトリではなく、ネト。ネトとはどういう意味か知ってるか?」
将一「知らねー……」
壮太「ネットワークの略さ。インターネットゲームの事を“ネトゲ”と言ったりするだろ?」
将一「……! 確かに」
壮太「だろ?」
将一「でも、俺は壮太と違ってゲーマーじゃねーからなぁ。俺がやってるのってパケモンGOOくらいのもんだぜ?」
壮太「そうじゃないんだ。いいか、穴山? ネットワークは世界中に繋がっている。つまり物理的な距離を超えてコミュニケーションを取る事が出来るツールだという事だ」
将一「??」
壮太「つまり俺が何を言いたいのかというとだな、穴山。俺とお前は果てしないネットワークの海の中においても繋がっているマブダチ。ネトとはネットワークの略であると同時に、世界……いや、次元すら超えたネバーエンディング友達の略でもあるんだ」
将一「そ…壮太……?」
壮太「な? 穴山、俺達ズッ友だろ?」(聖母のような微笑み)
将一「壮太ぁあああああああ!!」(号泣)
果林「壮太くんって、案外腹黒いですねー……」
壮太「か…果林さん!? いや、これは穴山の奴を下手に刺激する事で真のネトリストへ覚醒されたら困るので……」
果林「ふーん?」
壮太(何だこの訝しげな瞳は!? まさか……果林さんはネトリステスなのか?!)
将一「グスッ……壮太、お前の友情に応える為にも、俺はこれからネトリストを自称するぜ!」
壮太「――!!?」
■これまでのあらすじ■
夏祭りに参加した平壮太一行は、祭りのトリにして夏の風物詩、打ち上げ花火を観賞する事になった。
花火会場である河原は人が多く、大所帯の壮太達は混雑する河原を避け、角姉弟が住む家の近くにある神社の境内から花火を見る事となった。
神社へ向かうにあたり、壮太達は飲み物調達班と場所取り班、二手に分かれて行動を開始した。
飲み物調達班となった壮太と樹里亜だが、そこで壮太は学園に入学して間もない頃に助けた白ギャルが現在の黒ギャル、角樹里亜である事を知る。
壮太の中で黒ギャルは比較的安全な種族として認識されていたが、この事実により壮太は樹里亜の【ネトラレリスク偏差値】を再計算。坂梨美織、橋爪志緒には及ばないが、かなりのネトラレリスク偏差値を誇っている事へ気が付く。
果林「うわぁー……壮太くんって、かなりの拗らせ男子?」
壮太「ひ…必要な事なので!」
一方、神社に到着した場所取り班だが、道野辺芹と角樹里王はお手洗いを借りに角家へ向かった。
あまりにも帰りが遅かった為、穴山将一が芹達を探しに行った後……事件は起こった。神社には祭りで散財し、懐が寂しくなったチャラ間男集団【ネトリスターズ】が潜伏していたのだ。
ネトリスターズは神社で息を潜め、せっせと賽銭泥棒をしていたのだが、将一のいなくなった面子を見て舌なめずりをする。
今、神社の境内には美織、志緒、そして将一の恋人である砂川瑞穂の三人しかいない。しかも三人ともハイレベルな美少女だ。
ネトリスターズにとっては好機。ここで行かなければネトリストの名が泣く。危険は直ぐそこに迫っていた……。
壮太「ぜ…絶体絶命!? アナヤマン、彼女達を救えるか?!」
美織「エヘッ! 大丈夫だよ、壮太ぁ~」
壮太「美織?!」
美織「うん、美織だよ~。壮太、私の活躍……見ててね?」
志緒「活躍したのは坂梨さんではなく、私……だと思うのですが」
美織「……はぁ?」
志緒「貴女は場を引っ掻き回しただけだと思います」
美織「へぇー……そういう事言うんだ? 知らないよ? 穴山くんにあの事がバレても」
志緒「あの件の責任は貴女にあります。それに……私があのクマ男を足止めしたのですよ?」
美織「私のサポートがあれば……でしょ? 大体、いざとなったら一人で逃げる気だったくせに」
志緒「何の事でしょう。変な言い掛かりは止めてください」
壮太「つ…次に進みまーす」
ネトリスターズの中には格闘技経験者【熊門】もいた。その巨体と突然の襲撃に足を竦ませた瑞穂。彼女の元へ熊門を含む、三人のネトリストがにじり寄る。
美織が動いた。ポーチから取り出した手榴弾型催涙スプレーを素早くネトリスターズへと投擲する。
バレー部所属の美織は運動神経も抜群で、催涙スプレーは狙い通りにネトリスターズの元へと飛んでいった。
ネトリスターズの内、熊門以外のネトリストは催涙スプレーに倒れ、無効化された。しかし、逸早く美織の動きに気が付いた熊門はそれを回避し、仲間達が回復までの時間稼ぎ、そして逃亡防止の為に瑞穂を人質に取る。
そこへ現れたのが正義の味方アナヤマンこと穴山将一。付き合い始めたばかりの彼女を救うべく熊門へ立ち向かうが……奮闘虚しく惨敗。絶体絶命の危機へ陥った。
樹里王「ど…どうなっちゃうの?」
樹里亜「そういえば、アタシら……神社で何があったのか詳しくは知らないんだよねー」
美織&志緒「…………」
壮太と穴山が二人で盛り上がってた所為で、あらすじが進みませんでした。泣




