表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/93

間男は家にあり

 帰宅すると、時刻は19時を回っていた。


 晩ご飯を食べ、お風呂に入る前に少しだけ自室で筋トレをする。

 

 体が資本とはよく聞く言葉だが、俺も正にそう思う。

 武道でも健全な精神は健全な肉体に宿るという言葉があり、肉体と精神は切っても切り離せない関係にあるのだ。故に、肉体もきちんと鍛えなければならない。


 法治国家の国民たる俺達の人権は、政府により保障されているとはいえ、極限状況で頼れるものは法でもなければ、行政機関でもないのだ。

 自分と、愛する人を守る手段が己の肉体のみ! ……という状況に陥る可能性とて無いとは言い切れない。


 何より、体が貧弱であるという事はそれだけでネトラレリスクを上昇させる。

 もし、間男(ネトリスト)がターゲティングした女の子にひ弱な彼氏がいたところで、彼らにとって彼氏は何の障害にもならないはずだ。

 間男達は嬉々として寝取りを開始(ネトリング・スタート)するだろう。

 だが、逆に狙った女の子の彼氏がムキムキマッチョメンだったら……間男達も流石に躊躇するのではないだろうか。

 さらに、そのマッチョメンが社会的に強い立場の人間なら尚、ネトラレリスクは低下する。 



 故に俺は腹筋をしながら、こう願掛ける。


「健全な肉体にNTRなし! 健全な精神にNTRなし!」


 そう掛け声を上げながら腹筋をしていると、背後に人の気配を感じた。

 俺が体を起こして振り返ると、そこには兄の勇太(ゆうた)が立っていた。


「おい、壮太。風呂の順番だぞ……っていうか、お前の独り言、やたらキメェな」


「了解、ネトリs……兄貴」


 ふぅ……危ない、危ない。また不意に思っている事を口走るところだったぜ。


 怪訝そうに眉を顰めた後、何も言わずに踵を返した兄貴の広い背中を見ながら思う。

 兄貴……兄かぁ。彼女や妻が兄に寝取られるパターンも多いんだよなぁ。

 もし、俺が美織と付き合うとかってなった場合、おそらく兄貴は来る……きっと、来る。(確信)


(ただなぁ……。俺の方が()()()んだよな~)


 この前、覗いた(意図的にではない)シャワー中の兄貴の裸体を思い出し、俺はほくそ笑む。


 兄貴は今、地元の大学に通う学生で、大学ではレスリング部に所属している。

 兄貴は昔から体格が良く、185cmもある高身長に、ムキムキ筋肉質ボディを誇っている。

 まさに寝取り界のエース。超新星ネトリスト現る!って感じの男だ。見た目は……だが。


 体格で圧倒的に劣る俺は、それでも体の一部だけは兄貴に勝ってる。

 ナニが……とは、言わないが、まぁナニがだ。うん。察して下さい。


 もし、兄貴の方がデカかったら?……俺は最終手段を行使せねばなるまい。

 将来起こり得る兄貴の凶行に備えて、今の内から兄貴が自室で密かに行う恥ずかしいアレや、風呂場でマッスルポーズを決めて一人でニヤけている写真を盗撮して、寝取り防止用の脅しネタを用意せねばなるまい。さらにはクローゼットに隠しているギャルゲーのキャラが兄貴の初恋の相手である事も暴露してやる。


 ちなみにだが、どうやら日本人の平均は12.5cmらしい。兄貴はほぼ平均サイズ。

 それに対して俺は平常時でも14cm位はある。なんと……なんと有難い事か。(号泣)


 粗末なモノでは無く、そこそこ立派なモノを与えて下さった神には感謝の祈りを捧げねばなるまい。

 俺のように平凡な容姿の男の下半身が粗末だったら……もう確実に絶望(ネトラレエンド)確定だった。


 何の神様に祈ればいいのか分からなかったので、とりあえず俺はダビデ像に祈りを捧げた。

ダビデ「え……?私に祈るのか??」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あ〜 ダビデさんはなかなかのブツをお持ちですからねw
[良い点] 確かに、自分自身がムキムキになれば、ムキムキの黒人にも寝取られないかも 着眼点が面白すぎる…
[一言] 「どうやら日本人の平均は12.5cmらしい」 悲しいお知らせが。 美容整形外科である所謂、上野クリニック等の病院が出している数値と、コンドームメーカーが出している数値には大きな開きがあり…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ