夜がくる
みなさまどうも、今日、章編集なんてものを知りました。
つきまして、第1章もとい第1夜など、少し編集させてもらいました。
あらすじなんかにも少し追加しました。
時間は進んでその日の放課後、生徒指導室にて。
「終わっっっっったぁぁぁ!」
400字詰め原稿用紙が6枚、宙に舞う。
「反省文なんてクソくらえだよぉ!」
「そーだ!そーだ!」
「いいぞ!もっと言っちゃえ」
「誰が二度と書くかよこんなもん!浅葱もそう思うよなぁ!?」
これ後輩たちから慕われるやつの言葉か?
「そうだぁ!(肯定しなかったら殺されそう)」
少し遠くから足音が生徒指導室に近づく。その足音の主は生徒指導室のドアに手をかけ、ガチャと開ける。
「…………………聞こえてますよ。気をつけてね。」
そう一言だけ言ってまたドアを閉めた。
「……」
「今のさ…」
僕は一呼吸置いてから
「…校長だよね?」
「そう…だね」
「あれ?これ反省文追加されるやつ??」
「え、やだよ。レヴェントの奢られても絶対やだ」
「だよなぁ…」
軽く返しておいて、少しの静寂。聞こえるのは吹奏楽部の練習の音と運動部の掛け声。
そして、
こちらへ近づく足音。足音のから大人だと分かる。
「…………足音聞こえるよね…」
「うわぁ……これ追加だよ…」
もちろん、そんなの絶対に嫌だ。ならば、やることは決まっている。
「…………なぁ、浅葱」
「なんだい?」
「逃げるよっっっ!!!!」
「逆に逃げる以外ないよな!?てか、二藍のほうこそ捕まんなよ?」
「私を誰だと思ってんの?後輩が憧れる先輩1位の二藍さんだぞっ!」
彼女は自慢の腰まである長髪をなびかせながら言う。
それが捕まることとどう関係あるのか聞き出したいけど今は時間が無い。
「(ドヤ顔)」
「……そんな憧れの先輩は反省文なんて書かないと思うんですけどぉ?」
「…ぐぅの音も出ませんっっ」
「(これが馬鹿か、なんで慕われるんだか分からねぇな)」
慕われているのは一応本当のことである。後輩たちから黒髪の聖女と呼ばれている。二藍がそれを知っているか分からないけども、後輩たちには伝えておきたい。こいつはそんなやつじゃねぇ!と。ことある度に奢らせようとしてくるやつなんだよ!ってことを声を大にして言いたい。
「なに突っ立ってるの?いそいで!」
二藍がドアに手をかけた。
ドアが開けられた。出入口を塞ぐようにたっているのは担任の竜胆先生。
「「あ、やば」」
「おやおやぁ?そこのおふたりさんどーこ行くの?俺とお茶しない?」
生徒指導室に5時の鐘が鳴り響いた。
結局、校門をくぐったのは日が傾いてそろそろ日が完全に沈む少し前であたりはもう暗がりに染まりかけていた。
「竜胆の先公覚えてやがれ………右手腱鞘炎になるこれ」
「何枚追加して書いた?」
「……5枚…」
「ご愁傷さま…」
「浅葱は?」
「…3枚」
「は?おかしいって世界はなんでこんなにも浅葱に傾いてんのよ…私の分1枚書いてくれたって良かったじゃない」
誰が嫌なことを進んでやるんだよ。喉まで昇ってきた言葉をもう一度腹に戻す。
誤魔化すかわりに、空を見上げる。
空がまだ少し明るいけれど夜の雰囲気もだしているこの時間帯が1番好きだったりする。この街が昼間は見せない夜の顔を出すための準備時間。この街が魅せる夜が好きで夜は遊びに行きたくなる。今日もまた夜がくる。
ーー日が落ちた。
カチリ
その音が自分の体で鳴ったことに気づくのにそう時間はかからなかった。
「…今の聞こえたよな?」
「えぇ、もちろん」
「なぁ、二藍。鈍は言ってたよな、明日渡してやるって」
「言ってた…ね」
「じゃあ、なんで今僕たちの体からあれの音がしたんだと思う?」
それは…言いかけて止まる。いつものポーズになる。口元に手をやり腕を組む。わかりやすく、んーと唸る。
「じゃあ、私たちは今スイッチを持っているって言いたいんだよね」
「鈍が言う限りじゃ、僕たちは貰ってないはずなのに」
明らかにおかしいのは頭が少し弱い僕でもわかった。なんでこんなにも回りくどいことをしているのか、よく分からないけど知りたいことまた一つ増えたのは確かだった。
何か聞こえる。多分笑い声だと思う。
すぐに聞こえなくなった。
それからすぐに変なものに気づいた。視界の異常だと最初は思った、でも違った。
変なものーー3本先の電柱の上に人のシルエット。距離があるためよく見えないがこちらを見ているように見える。僕自身は気づいていなかったのだけど、足が止まってたみたいで、二藍がそれに気づいて足を止める。
「浅葱?どうし……………た…………の……………」
言葉と同時に僕が向いていた方を見て異常に気づく。
そのシルエットが一つ飛ぶ。少しばかり夕方を残している空が背景となって綺麗だった。
そんでもって僕たちの10m程先に降り立った。
次回予告は出来ませんが、学生だと夏休み、世間だとお盆休みなんかが目前に見えてきました。
みなさまご予定などありますか?なくてもあっても、みなさまにとって良き夏となりますように。
特にオチはありません。