紅茶とお話と真実を。
みなさまこんばんは。前回より日数が空いてしまって申し訳ないです。主が体調崩してました。既に回復したのでまた週一のペースで上げれたらと思います。
「全部、全部を聞かせてくれ。」
「わかった。んじゃ…」
「待った。」
「へ?なんだい?アサギ。」
ちらりとスコーンを頬張っている二藍に目をやる、「絶対やらないからな」と言わんばかりにこちらを睨みつける。
「お腹すいたんだけど…なんか食べない?」
2人は浅葱を連れてレヴェントのイートインスペースへと案内する。スタッフルームから出たことなんてもちろんないので少し嬉しくなった。
案内された席にはバスケットに綺麗に盛られたバゲット。ジャム瓶に詰められてる真っ赤な宝石みたいな自家製イチゴジャム。見ただけでかぶりつきたくなるセットで待っていた。
3人が席に着くとキッチンスペースからティーセットを持った山吹がテーブルへとやってくる。
「お客様本日はアールグレイを淹れさせてもらいますね、ミルクティーにしますか?それともストレートで?」
と少しおどけて笑ってみせた。
「アタシはストレートで。」
「僕もストレートでお願いします。」
「私はミルクで。」
「分かりました少々お待ちを。」
その間にでも、とバゲットを勧められる。促されるままに真っ赤なジャムをバゲットに切らずに盛る。贅沢としか言いようがない。こんなことをしている間にも二藍はバゲットの3分の1がなくなっている。
「つまらせんなよ。」
頷いているけどもスピードは落ちない。お腹減りすぎやせんか…。
山吹さんの淹れる所作は素早く、無駄がない。慣れた手つきである。
「お待たせしました。」
コト、と置かれたティーカップに注がれる淡いオレンジ色のアールグレイ。ふわりと湯気が立つとアールグレイの深い香りが鼻を刺激する。
肺いっぱいに詰め込んで、口をつける。
「っっっはぁ〜これよこれぇ…染み渡るぅ…。」
「酒じゃねぇよなコレ…。」
「そうですけど…浅葱さんにとってはお酒に近いものなんでしょうね。」
「浅葱は酒狂ならぬ紅茶狂だものね。」
ミルクティーを優雅に進める二藍であった。
バゲットの中身が空っぽになって2杯目を飲み干した浅葱は満足そうに膨れたお腹をさする。
「それじゃ…教えて貰ってもいいか?」
こほんと咳払いをして姿勢を正す鈍。
「スイッチが何かというとごく1部の人間だけが手に入れることが出来る能力で、体に影響を与えるものだ。体に埋め込まれてるスイッチだと考えてくれるとイメージ付くかもしれん。その能力は至って単純で『切り替え』『交換』『開閉』などなど、まぁスイッチって単語から連想できる能力が使えると考えてくれればいい。そして、自分で起動出来ない。ここまでで質問は?」
「えと…じゃ、1つ目。スイッチってことは押したり、レバーみたいなの倒さないと基本的に動かないよね?僕たちの体のどこにあるの?」
「…!言わなかったのにアサギはよく気づいたな。いい事を聞いたね。スイッチを持つ人の体の一部に触れればスイッチははいる。ただし、発動するには言葉がいる。」
「「言葉??」」
「そう、言葉。起動させるための呪文みたいなものさ、体に触れたまま『○○を○○にスイッチ』といった感じに言えばいい。『開閉』を使いたかったらまた言葉を変えればいい。」
「それがいわゆるスイッチの発動条件か…それで自分で起動出来ないって?」
「それはな、スイッチを持つものは2人で1組。スイッチにも一応相性みたいなものがあってね、アサギとフタアイはもちろんだけど相性がいい。んで、例えばアサギがスイッチを使いたかったら、フタアイとアサギが触れてる状態で、アサギかフタアイが唱える。それでやっとスイッチが入る。」
「2人1組の能力……。1人で使うことは絶対に出来ないのか?」
「それは……」
「そこら辺にしときなさい鈍ちゃん。」
「……山吹さん…っ分かりました。アサギ、フタアイ。アタシ達はもう教えられんからね。これ以上は自分たちでね。」
「「は????」」
「自分達で確認してねってことだよ?アサギもフタアイもよく分かるでしょ?」
「分かるけどさ…」
「分かるけどねぇ…」
互いの顔を見つめるしかない浅葱と二藍だった。
読んでくださりありがとうございます。完全に私事なのですが、先日読んでいるよって報告と感想を伝えてくれた方がいました。なんだかとても嬉しくなって、読まれているんだって再確認出来ました。
いつもはファイルに閉じ込められたままの小説たちが誰かに読んでもらえるのは本当に嬉しいです。
これからもどうぞよろしくお願いします。