注射器と彼女
さて皆様、大変長らくお待たせいたしました。
次話です。1ヶ月ほど失踪しました。ごめんなさい。これからもこんな感じで投稿されていきます。もしよろしければ、見ていってくれると嬉しいです。
さて、時は少し戻って日が沈む前。ガサガサと音を立てるビニール袋を手にさげて、レヴェントに向かう男が1人。ビニール袋の中には達者な文字で、卵パック×1、小麦粉1kg、鈍ちゃん用の棒付きキャンディー×4と書かれている。
「全く、人使いが荒いんだよ。ヤマさんは。」
不貞腐れた顔でぶつぶつ文句を呟いている。まぁそれも仕方ない、彼はすやすや10時間睡眠中だったのを叩き起されて、おつかいに出されたからだ。
「なーにが、ちょっといいかい?だよ。おつかいに出す気満々だったじゃんか…俺がヤマさんのお願い断れないの分かってて言ってるよ。」
文句を言いつつも足を進める。
そして
日が沈む。
夜が来る。
カチリ
また彼の身体でもスイッチの音がした。
「……時間か、今日は何して遊ぶかねぇ…」
「それじゃあ、こんなのはどうかな?」
「あ?」
その声のする方に振り向こうとすると、
ちくり、首に刺された注射器から何かが流れ込んでいく。冷たい、液体。
目眩がする、気持ち悪い、辺りがよく見えない。
「てめぇ…な…に……」
何も考えられなくなった。
「安心して、ただの催眠をかけやすくするお薬だから、体には何も支障は出ないよ。頭には出るかもしれないけど。」
立ったまま意識を失いつつある彼に、彼女は1枚の写真を見せながら囁く。
「この2人があなたの大切なものを奪おうとしてるの。」
「うば…う……この二人……させな…い………」
「そういう奴らは先に消しておいた方がいいと思うのよ。」
「壊す……。あぁ、そうだ、奪われるぐらいなら先に壊してやる。」
夜空を仰ぐ、月が綺麗な夜。月光に照らされている彼の目は狂気に染まっていた。
笑い声が住宅街に響く。
正気を失っている彼の首に手を当て、彼女は言う。
「思考力を脚力にスイッチ。」
彼の足に入る力が増す。思考力が無くなった彼は“あの二人を壊すこと”しか考えられなくなる。奪われるぐらいなら、潰す。それだけ。
そこで、彼は一つ飛んだ。着地の音は静かに、電柱の上へ。
「この二人はね、浅葱と二藍。」
ちなみに、と彼女。
「その二人は商店街の方に居るわよ。」
それに、返事をせず商店街の方へ電柱から電柱へと飛び移りながら彼は向かっていった。
その場にはおつかいの品々が入ったビニール袋と笑みを浮かべる女だけが取り残された。
「日が昇るのが楽しみね。」
笑い声が響いて、彼女はその場を去った。
ものの数分で着いた。商店街はシャッター街となりつつあり、静かだ。その中で声が二つ反響している。
二人組の声。たぶんあいつら。
その声の方へ飛ぶ。
近くの電柱に飛んだ。そしたら三つ程先の電柱の下にそれらしき二人組を見つけた。足を止める。二人組をよく見る。
「見つけた。奪わせない、潰す。」
薬物中毒者が薬を欲することだけしか考えられないように、彼は思う。この二人組は潰すと。
彼が強く願う度に脚にこもる力が増していく。その脚で一回地面から飛ぶ。そしてこの強化された脚で3歩分の距離を保って降りる。
「二藍、浅葱。お前らは、俺から奪うから、潰す。」
こんばんは、の時間にスマホから失礼します。
今回は書き方が偏ったな、なんて自分でも分かります。
こんな拙く、浅い文章でもよろしければ、ブクマとかしてくれると嬉しいです。




