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捏造の王国

捏造の王国 その35 我こそはサバイバーなり!支持率回復のためなら何でもやっちゃうトンデモ総理

作者: 天城冴

ウィルス対策が後手後手にまわり回復ほどとおいニホン国。内閣支持率爆下げに悩む総理のトンデモアイデアに仰天するガース長官は

4月も終わりに近づき、通常ならば年に最大の行楽シーズン直前でニホン国中が浮かれまくっているはずが、今年はギスギス、イライラな雰囲気が列島中に漂っていた。

それもこれも

「緊急事態宣言を出すのが、遅すぎたのはわかっているんだ。国際大運動大会だの、キンペー主席訪問だの、インバウド中国観光客だのに配慮しすぎ、2月末か3月半ばに出して検査しまくっていればこんなことには。くうう」

と、嘆くのは、おバカな側近の声に右往左往して場当たり政策を出しまくって支持率を下げたアベノ内閣長官であるガース長官。野党レイワンだの共産ニッポンだのが、声をからして主張してきた政策に反対し続けていたものの、結局のところ肺炎ウィルスの猛威に負け、あちこち修正してなんとかジコウ党独自の政策にして発表。しかし優れた野党原案より見劣りしまくってネットでは顰蹙の嵐。マスコミを操作して野党の政策を隠そうとも、このSNS時代、知っている人は知っている。

「アベノ総理もこのごろ、私より他の奴等の言うことを聞くようになったからな。あいつら学歴はいいけど、なんというか全体をみれないというか、これなら中卒扱いにされるレイワンのヤマダノタロウ代表の方がマシではないか。まあ共産ニッポンのシイノは東大だし、コイケダは医者だからまだ納得できるが、ヤマダノより下とは。やはりニホンの学歴はあてにならんのか」

と自らも中堅大学夜間卒であることを忘れ、学歴偏重をなげく。

「まあ総理自体学歴コンプレックスの塊とはいえ、怪しげな政策を乱発しなくても。学校休業にしろ、国民現金支給にしろ、役立たないどころカビ、虫混入の危ない布マスク配布にしろ、他国だの他党の政策のパクリか、太っちょ官僚の怪しげなアドバイスだし。しかも、そのことだけしか見てないから全体との整合性がまったくとれていないのだ…」

ため息をつくガース長官。

そう、アベノ総理の打ち出している政策はまるっきり整合性がとれていないのだ。それもそのはず他国だの他党だのの打ち出した人気のある政策を真似して、小出しに発表するだけなので、他の事象との関連性はまるで無視している。

3-4月にはニホン国では学年度切り替え、卒業、入学、入社で列島全体の大移動がはじまるというニホン特有の事情を考慮せず、中途半端な時期に休校要請をした⦅3月中春休みしろよと、巷の声⦆

今年は入社、入学を5月の連休後にしてほしいと企業、大学、小中校に要請すればよかったのに後手後手にまわる⦅一か月間自宅待機休業にすればよかったのに、とのネットの発言⦆

休業補償はします、財源は歳費削りますといえばよかったのだ⦅個人も法人も営業、企業活動自粛しても安心になれば、素直に休むよ、金が入ってこないと家賃どころか食えないから、店を開けて、仕事しないといけないの、との事業者の嘆き⦆

その間は非常食と水、生活必需品を2-4週間分、先に配っておくから、地震などの災害訓練だと思って我慢してくれと頼めばよかったのだ⦅どうせ、ニホン国は台風、地震、噴火、津波と災害が多い。自宅避難の訓練だといえば国民も納得したのに、とリベラル系有識者のため息⦆

金ばかり使って無駄どころか病気になりそうな布マスクをわざわざ配達させて、郵便局員さんがかえって感染したじゃない。そんなことするくらいなら隣国製品だろうが、使える防護服やマスクを買って、こっちにまわせ。不眠不休で過酷な現場に危険手当出せっての⦅医療従事者の憤り⦆

ガース長官の頭に走馬灯のように、ここ一か月の狂乱の騒ぎと不吉な白昼夢(捏造の王国その34を、ご参照ください)が巡る。

「ああ、今年こそ桜舞い散るなかで茶を楽しむとか、5月の早咲きの薔薇園でアフタヌーンティーをホットケーキと一緒にいただくとか優雅なことをしたかったのに」

閣僚自ら外出自粛要請を破ってしまったら、国民に示しが付かない。とはいえサンカイ幹事長は高齢者が数十人集まった密室会合で講演会を行うし、総理夫人アキエコは花見に団体旅行。どちらも週刊誌やらにすっぱ抜かれ大顰蹙を買っている。さらに虐待や性被害の被害少女の施設に、この時期は遠慮してほしい来るなら5人以下でという職員の要請も聞かず、大人数で視察に押しかけ写真は撮るは、少女の体に触るわのセクハラを行った元レスラーのジコウ議員まででた。大手メディアは黙ったもののゲンダイ日報やらイワカミメディアなどに取り上げられネット上で大炎上である。

「くそ、常識はずれの奴等め、なんだってあんなことを。私が一生懸命自粛やっているのに。いや、後ろ盾がない私は文句もいえないのだ。もし総理につれなくされたら、サンカイ氏に近づくしかないかもしれん」

どっちについてもロクなことにはならないかもしれないが、とため息をつくガース長官。

その時、扉が開いた。

「が、ガース長官、大変です!そ、総理が」

「な、なんだね、ニシニシムラ副長官」

「そ、そのう、自ら肺炎ウィルスに罹って、復活をとげるんだと!」

「ええええええ!」

前振りが長すぎて今回は独白だけかと安心しきっていたのもつかの間、作者とアベノ総理に翻弄されるガース長官であった。


「そ、総理。新型肺炎ウィルスに罹りたいって、ほ、本気ですか!」

アベノ総理のあまりにもおバカというか支離滅裂な要望に驚きすぎて呂律が回らないガース長官。対するアベノ総理は落ち着いた口調で

「うん、そうすれば僕がすごいことの証明になるだろう。支持率も回復するし。だいたいジョンジョン首相は死にかけたのに治って、すごい人気じゃないか。メルメル首相もあっという間に支持率回復したしさ。僕だって、このウィルスに罹って生き残ったんだっていえば、きっと皆認めてくれるよ」

「そ、そんな英国のジョントン首相は死にかけたんですよ!」

「でも、見事回復したし。ドイツのメルメル首相も復帰したし」

「メルメル首相はもともと検査結果が陰性で経過観察で、罹患したわけじゃありません!かかったらどうなるか、わかっておられるのですか!」

「軽症だったら熱がでてインフルエンザみたいになるだけだろう。ヨツウラ・ハリちゃんとかそういってたし」

医者でも疫学の専門家でもない自称学者、しかも自分が引き立てて表舞台にたっただけの査読論文ゼロ似非学者の言うことを真に受けてしまうアベノ総理にガース長官は頭を抱えた。

「軽症ですむならばですが、下手すれば呼吸器困難でひどい苦しみ方で死ぬんですよ!」

「で、でもエクモとかあるんだろう」

「それをつかっても死ぬ人は死ぬんです!国内外で著名人が次々亡くなっているいるのを、ご存じでしょう!」

そう、超有名芸人が人工呼吸器を使った最高治療を受けたにもかかわらず、亡くなったのはつい先月。もともと呼吸器系に持病があったためとは言われているが、彼の死はニホン全国に大きな衝撃を与えた。

この新型肺炎ウィルス、男性が死にやすい、持病がある、特に高血圧、糖尿病、心疾患の患者は死亡率が高い、喫煙者は年齢かかわらず重症化して死亡しやすいという。これらの特徴は他のウィルス性疾患にもあてはまるというが、今回のウィルスは感染力が強く、無症状感染者が多くいる可能性があるということで特に恐れられている

厚労省の職員やら内閣府の職員、議員の秘書、家族にも感染者がでたように、どこに潜んでいるのかわからないのだ。肺炎ウィルスは忖度などしないのだ。

そのうえ、アベノ総理には持病があるのだ。高血圧などではないとはいえ、高齢者一歩手前の上、外食頻繁で野菜などのビタミン、ミネラル不足が懸念されるという、かなり重症化しそうな身体。もし、感染したら…

(重症化して最高治療でも治せなかったら大事件だ。ニホンのトップが駄目になったと知れたら、国内外の評価は地に落ちるどころかマイナスだ。医療体制がダメダメなのがばれまくって、アメリカはじめ諸国が自国民を守るためといって、ニホンに介入してくるのは間違いない。しかも、アトウダ副総理だのキシダダだのが後継者争いをして内紛を起こしかねん、一致団結して内外の脅威に闘おうなどとはしないだろう。いやヤマダノだのシイノだのは呼びかけるかもしれんが、ジコウ党の重鎮どもは無視するだろう。若手は危機感を感じて願えるかもしれんが)

自分もいっそ野党側につきたいと思わず考えてしまうガース長官。

(いや、いくらなんでも、それは。とにかく、総理の考えをやめさせなくては!)

「総理、そのような危険なことをなさらなくても、支持率回復は、できます」

「え、お金配っても駄目みたいだよ。マスクも配ったのに」

マスクは実用性ゼロどころかマイナスだし、金は配るのに時間がかかりすぎるから批判されているのがまるでわかっていないアベノ総理。ガース長官はなんとか、よい知恵はないかと頭を絞る。

「ええと、とりあえず住民票などから現金書留で一律生活費15万支給して、家のない人には空き家提供や観光客がいなくて困っている宿泊施設に滞在してもらうとか、中小企業とかには家賃や水道光熱費などの休んでも払わなければならない固定費の補助金を出すとか」

(ああ、野党とかリベラルの奴等がいってるのの二番煎じになりそうだ、し、しかし)

なかなかいい案が思い浮かばず、どう総理を止めようか悩むガース長官であった。


検査と補償と隔離と早期治療に専念した各国は徐々に回復しているようですが、どこぞの国では出口どころかドンドンすさんでいるようです。英国首相は死の淵から蘇って社会保障や公共の福祉の重要性に気が付いたようですが、どこぞの国ではいつ重要なことに気が付くんでしょうか。

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