第147話「幼女の失敗」
『――らーめん?』
昔ながらのラーメン屋さんにてラーメンが運ばれてくると、エマちゃんはかわいらしく小首を傾げる。
頼んだのは中華そばなのだけど、ピンッときていないようだ。
俺は予め大盛にしており、お子様用の器へとラーメンを移す。
いいぐらいの量になると、エマちゃんに差し出した。
『熱いから、ゆっくり食べるんだよ?』
『んっ……! ありがと……!』
エマちゃんは嬉しそうにフォークを手に取ると、すぐに麺を掬いあげる。
そして――そのまま、口に含んだ。
『あちゅっ……!』
いっさい冷まさずに口に含んだエマちゃんは、慌てて麺を口から出してしまう。
熱いことは伝えたはずなのだが、気にしていなかったようだ。
というか、多分早く食べてみたかったんだろう。
『水で冷やして……!』
俺はエマちゃんに水が入ったコップを渡す。
それにより、エマちゃんは舌を出して水の中に浸けることで、舌を冷やし始めた。
幼いのに、こういうことは本能でどうやったらいいのかわかるようだ。
『エマは、食い意地を張ってますからね……』
涙目で舌を冷やす幼い妹を心配そうに見つめながら、シャーロットさんはボソッと呟く。
確かにこの子は食べるのが大好きなので、彼女が言いたいこともわかる。
『ある程度冷ましてから渡したほうが、よかったかもしれませんね』
花音さんは慈愛に満ちた目をしながら、仕方なさそうに笑っていた。
幼い子がする失敗を微笑ましく思っているのだろう。
それはさておき、冷ます行為は麺が伸びてしまうので、難しいものだ。
『あちゅかった……』
舌を冷やし終えたエマちゃんは、涙目で俺に舌を見せてくる。
火傷した、と言いたいのだろう。
『次はフーフーして食べようね?』
『んっ……』
エマちゃんは舌を火傷して少し萎えているようだった。
しかし、ラーメンを食べ直すと――
『んっ、おいしい……!』
――凄くご機嫌となり、どうやらラーメンはエマちゃんの好物に追加されたようだった。
ついに本日(2024/12/25)
『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』
7巻の発売日が来ました…!!
そして、クリスマスはシャーロットさんの誕生日でもあり、
7巻作中内の日付と同じでもあります!
奇跡的にいろいろと重なっていますが、
内容も過去最高に自信がありますので、
是非是非よろしくお願いします(≧◇≦)
これからも是非、楽しんで頂けますと幸いです♪