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第102話「あなたのせいだ」

「どうして、明人君はその花音――お姉さんを、責めてしまわれたのですか……?」


 俺の言葉を聞いたシャーロットさんは責めるわけではなく、優しい声で尋ねてきた。

 どうして言い直したんだろう、という疑問はあるけれど、優しい声で言ってくれたのは俺を責めるつもりはないということを伝えようとしてくれたのだろう。

 相変わらず優しい彼女だ。


「俺、夏休み直前までは孤児院で暮らしてたんだよ」

「えっ……? でも、幼い頃からお姉さんだって……」

「幼い頃にいきなり俺の前に現れて、姉になるとか言い出したからね。とても優しい人だけどお姉さん扱いしないと拗ねちゃうような人だったんだ」

「かわいい人ですね……」


 花音さんがどういう人かを伝えると、言葉とは裏腹にシャーロットさんは少し落ち込んでしまう。

 そして、また体をくっつけてきて俺の首元に顔をスリスリとしてきた。


 なんだろう……嫉妬、なのかな……?


「えっと、シャーロットさんのほうがかわいいよ……」

「――っ!?」


 やきもちを焼いてしまったのかな、と思った俺は恥ずかしいのを我慢してシャーロットさんのことを持ち上げてみた。

 すると彼女は途端に顔を真っ赤に染め、恥ずかしそうに顔を俺の胸へと押し付けてくる。


 うん、やっぱり世界で一番かわいい女の子だと思う。


「――って、なんの話をしていたんだっけ……?」


 完全に話していた内容から外れてしまったことで、俺は何を話していたのか一瞬ど忘れしてしまった。


「明人君がお姉さんを責めてしまわれた理由ですね」

「あぁ、そうだった。実は、夏休みに入った頃に俺が住んでいた孤児院が取り壊されることになったんだよ」

「えっ……?」

「経営難だったらしいんだ。それで、孤児院の子たちの引き取り先を――って話になったんだけど、その時に俺のことを引き取ってくれたのが花音さんなんだよ」


 正確なことを言うと花音さんが父親に頼み、父親が色々と手を回したことで俺は引き取ってもらうことができた。

 本当なら里親は子供を選べないらしいのだけど、やはりその辺は大金持ちの力、ということなのだろう。

 

 正直、この時俺は花音さんの父親がどういう人かあまり知らなかった。


 元々、そんな踏み込んだ話はしてこなかったからだ。

 だけど、花音さんが幼い頃から俺に対していっぱいお金を使ってくれているのに、目を瞑っていたということでいい人だろうと勝手に思っていた。


 それがまさか、引き取る話が浮上した時にはもう俺を餌に使うことしか考えていなかったとは、思いもしなかったな。


「お姉さんは、明人君のことを凄く気に入っておられたのですね……」

「まぁ、かわいがってもらえていたとは思うよ」


 そうじゃないと、あんなに俺のためにいろいろとはしてくれないだろうからな。

 でも――。


「そんな人を、俺は傷つけてしまったんだよな……」


 十年近く俺に尽くしてくれた人に対して、どうしてあんな酷いことを言ってしまったのだろうか。

 後悔先に立たずという言葉があるが、後悔してもしきれないほどに馬鹿なことをしてしまった。


「どうして、責めることになったのでしょうか……?」

「あの時の俺は、こうなったのは全て花音さんのせいだって言っちゃったんだよ。あなたが俺を引き取るように手を回したから、こんなことになったんだって」


 俺のその言葉を聞いたシャーロットさんはとても驚いたように目を開いてしまった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れさまです。 明人と花音、二人の過去も徐々に明らかになってきましたね 次の更新も楽しみです。(^o^)
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