冒険者ギルド
「こんにちは。」
そう言ってクルアさんは冒険者ギルドに入っていった。俺もクルアさんと子供たちに続いて冒険者ギルドに入った。
「お邪魔します。」
中に入ると目の前には受付カウンターのようなものがありそこにはギルドの職員と思わしき人が数人立っていた。
「ヨウタさんこちらに来てください。」
クルアさんが俺を呼んでカウンターのうちの一つに向かった。
「シスターお久しぶりです。今日はどのようなご用件でしょうか?」
「お久しぶりです。今日はこの度教会で迎えた異世界からの訪問者の方をお連れしたのです。」
「初めまして。安良田陽太と申します。この度教会でお世話になることになりました。冒険者に興味があったのでクルアさんに連れてきてもらったのです。」
「なるほど。では冒険者になりたいということでしょうか?」
「できればなってみたいのですが、何か特別な資格などは必要なのでしょか?」
「いえ、特に必要なものはありません。ただし登録する際には冒険者ギルドの方で特技やレベルなどを調べさせてもらいますがよろしいですか?」
「はい構いません。」
チートはおそらく俺の固有のものだと思うのだが調べられるのだろうか?
「ではこちらにお願いします。」
そう言って職員の人は部屋に案内してくれた。部屋にはこれまた水晶のようなものがあった。
「これは調査器というもので触れることでその人の特定の情報を見ることができます。具体的にはレベル、特技、さらに犯罪歴があればそれも表示されます。使うためにはギルド職員の許可が必要になります。」
そう言って職員の人は水晶に向かって手をかざした。
「これで使用できますので手で触れてください。」
「わかりました。」
俺が水晶に触れると特に何も起こったようには見えなかったが、職員の人は何かを見るようにして空中を目で追っている。
「ありがとうございます。もう放してもらって大丈夫ですよ。」
そう言われたので俺は水晶から手を離した。
「アラタ様はレベルが10、特技が火魔法、光魔法、収納、料理でお間違いないでしょうか。」
一応メニューで確認してみるが間違いはなかった。どうやらチートは表示されないようだ。
「はい。間違いありません。」
「では特に問題はないようですので冒険者になることは可能です。」
「ではお願いします。」
「はい。かしこまりました。それとアラタ様は光魔法を持っておられます。こちらの魔法は主に回復魔法を扱うことができ、教会では重宝されると聞いております。シスターに放されるとお喜びになると思います。」
「そうなんですか・・・。教えていただきありがとうございます。」
戻ったら話してみよう。
カウンターのあった場所に戻るとクルアさんと子供たちが迎えてくれた。
「ヨウタ兄ちゃんぼうけんしゃになれるのか?」
「うん、なれそうだよ。」
冒険者にあこがれのあるアルクがそう聞いてきて慣れそうだと答えるとすげーなといって喜んでいた。
「アラタ様こちらへどうぞ。」
先ほどの職員の人に呼ばれたのでカウンターに向かうといくつかの書類があった。説明を聞くと冒険者としての基本的なことや冒険者として守らなくてはいけないことなどが書いてある書類であるということだ。さらに万が一何かあったときに連絡するための連絡人を最低1人は決めて書いておく書類などを渡された。それらの書類を読み了承したうえでサインをして再びこのギルドまで持ってきてほしいということだった。連絡人にはクルアさんがなってくれるそうなのであとは書類をよんでサインをすればよいらしい。
ギルドから出るとすっかり太陽は高くなっていた。
「では教会に戻りましょう。」
クルアさんがそう言って俺たちは教会に向かった。教会に帰ると昼食を用意しみんなで食べた。昼食の途中でクルアさんに光魔法のことを話すとともに一応俺が持っている特技を教えた。仮にも連絡人になってもらうのだから知らせておいたほうが良いかと思ったのだ。クルアさんは俺が光魔法を持っているというと喜んでくれた。どうやらこの教会には常駐の光魔法使いはいないらしく必要な時には他の街の人にお願いしているそうなのだ。ただ俺はまだ魔法が使えないということを言うと
「私が教えてあげましょう。」
と言ってくれた。
昼からはクルアさんは教会で仕事をするそうだ。子供たちは勉強をしたり教会についている畑の世話をするらしい。とりあえず俺は子供たちに勉強を教えるとともに一緒に畑仕事をするということになった。
「では、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
クルアさんはそう言って教会に向かった。