教会にて
門の前まで来ると門兵らしき人と目が合ったので話かけた。
「こんにちは」
門兵のうちの一人が返事を返してきた。
「こんにちは。どうかしましたか?。」
「この街に来たのは初めてなんですが、このまま入ってもいいのでしょうか?。」
「特に問題はありませんよ。もしよろしければ案内をつけましょうか?。」
「よろしいですか?。ぜひお願いします。」
「わかりました。少しお待ちください。」
そう言って門兵らしき人は待合室のようなところへ入っていきもう一人兵士らしき人を呼んできた。
「それではこいつに案内させますのでついていってください。」
「わかりました。ありがとうございます。」
そういって門兵の人は元の場所に戻っていってしまった。
「よろしくお願いします。」
俺がそう言うと連れてこられた兵士の人はこちらを向いて
「こちらこそ。初めてこの街に来られたそうですね。歩きながら案内いたしますのでこちらへどうぞ。」
そう言って兵士は歩き始めた。俺は兵士の後を置いて行かれないようについていった。
「そういえばまだ名前を言ってなかったですね。私の名前はシュルトです。この街の兵士をしています。」
「僕の名前は安良田です。遠くというか・・リステとは違う世界から来たのですが。」
「リステとは違う世界!?うーん・・・そういえば教会の方で何やらそのような話をしていたと朝の報告でいっていたな。それならまずは街の案内もかねて教会にむかいましょう。」
「わかりました。」
そういうとシュルトさんは再び歩き始めた。道中には市場のようなものもありそれぞれ野菜のようなものから魚や肉のようなものも置いてあった。肉や魚は外に置いていて悪くなったりしないのだろうか。
「あれが教会です。」
そんな感じで街を歩いているとどうやら教会に近付いてきたようだ。目の前には地球の教会に似た形の建物が建っていた。地球にいたときには教会には入ったことはないので初めて入ることになる。
「それでは入りましょう。」
そう言ってシュルトさんは教会の中に入っていった。
「失礼しまーす。」
覗き込みながら入っていくと正面には大きなステンドグラスのようなガラスがあり教会の中に神々しく光が差し込んでいる。真ん中には通路があり両側には長椅子が置いてある。ちらほらと人が座っており、何か祈っているような人や、隣の人と小声でしゃべっているような人もいる。通路の先ではシュルトさんが教会のシスターらしき人と何か話している。シスターがこちらを向き驚いたような表情をしている。
「アラタさんこちらへどうぞ。」
シュルトさんに呼ばれたので走らないように早歩きでシュルトさんとシスターのもとへ向かう。
「こちらが異世界から来られたというアラタさんです。で、こちらがこの教会のシスターであるクルアさんです。」
「初めまして。安良田です。」
「初めまして。クルアと申します。この教会の長をしています。」
自己紹介が済んだところで早速異世界から来たことについて話してみた。
「うーん、地球というのは聞いたことがございません。しかし、今朝神託があり異世界からの訪問者が訪れるということをおっしゃられていたのです。」
「おそらくそれが僕のことだと思うのですが、ちなみに僕を案内してくれた人はサスティルさんという方だったのですが。」
「そうです。サスティル様からの神託でした。一応こちらの神断機で確認させていただいてもよろしいでしょうか。」
「何が診断出来るのでしょうか?。」
「こちらは所謂うそ発見器というもので質問に対してうそをつく、あるいはだまそうとするとわかるものになっています。」
なんと便利なものだ。うそ発見器なんて地球ではバラエティー番組くらいでしか見たことないが大丈夫なのだろうか?
「こちらは本当にうそかどうかわかるのですか?。」
「はい、こちらは制作に神様がかかわっておりしっかりと真偽を判断できるようになっております。」
ほえーすごいものがあるんだな。
「僕は特に問題ありません。」
「それではこちらへどうぞ。」
そう言ってシスターは奥の部屋に案内してくれた。シュルトさんもついてきている。部屋に入ると机の上に何やら占い師が使う水晶のようなものが置いてあった。
「ではこちらに座ってこの神断機に手をかざしてください。」
「わかりました。」
椅子に座り診断機に手をかざすとシスターがいくつか質問をしてきた。内容は異世界からの訪問者であるか?や犯罪歴はないか?などいずれも答えられないような質問ではなく素直に答えた。犯罪云々は異世界でも同じような感じなのかはわからないがそこは神様が判断しているのだろう。
「特に問題はありません。アラタ様は異世界からの訪問者であると思います。」
「はい。」
「シュルト様、一度アラタ様と2人でお話をしたいのですがよろしいでしょうか?。」
シュルトさんが確認するように俺のほうを見てきたので
「僕は構いません。」
と答えた。
「では私は部屋の外で待っています。」
といってシュルトさんは部屋から出て行ってしまった。
「お話というのは何でしょうか?。」
「突然の質問で申し訳ないのですがアラタ様は何かしらの使命を持ってこの世界に送られたのでしょうか?。」
「えーと、サスティルさんが言っていたのは地球の情報というか文化を多少リステに広めてくれればよいというふうに言っていたのですが。」
「そういうことですか・・・。であればひとまず教会に身を置いてみませんか?。」
「教会ですか?。」
「はい。アラタさまはこちらの世界に来られたばかりでこちらの世界についてほとんど知られていないのではないかと思います。それとももしかしてサスティル様にほとんどを教えていてもらったのでしょうか?。」
「いえ、そんなことはないですが。」
「さらに言えば神託によって訪問者としてこられたアラタさまに対しておもてなしをするのは教会の務めであると考えたのですが。さらに言えばサスティル様がアラタ様におっしゃられた地球の文化を広めるということにおいても広く分布する教会に属していることが利点になると思うのですが。」
「たしかに広めるためにはそうですね。拠点の決まっていない僕としては大変うれしいのですが、よろしいのですか?。」
「ええ、大丈夫ですよ。よろしければ教会の寝室もお使いください。」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えさせていただきたいと思います。」
「ええ、どうぞ。」
「それでは後程詳しいお話はお伺いします。それで、お話はいじょうですか?」
「ええ、とりあえずは大丈夫です。教会に泊まられるということでいつでもお話しできますので。」
「では、シュルトさんに話をしてきます。」
外にいたシュルトさんを呼んで俺が教会でお世話になることを話した。
「そういうことであれば教会で寝泊まりするのも良い案ではないかと思います。」
「そうですか。ではやはり教会にお世話になります。」
「教会におられるのであれば教会の子供たちに街の案内をお願いしたほうが良いかと思うのですが、よろしいですか?。」
「はい。そのほうがアラタ様と子供たちも仲良くなれると思います。」
「クルアさんが良いのであれば僕は構いませんが。」
「では私はここで失礼いたします。また何かあれば門の詰め所にお越しください。」
そういってシュルトさんは行ってしまった。
区切りが悪いような気もしますがすいません