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二面性異世界交流記  作者: 羞月閉花
1/8

陽太の旅立ち

あれ?ここはどこだ?

風呂上がりに軽くストレッチをして布団に入った俺の意識が覚醒したとき立っていたのは知らない家の中だった。こんな家は見たことがない、というか寝たはずなのに知らない家のそれも中にいるというのはどういうことだろう。おそらくは夢の中なのだろうが何かの間違いで勝手に人の家に入ってしまったということないだろうか?だとしたら不法侵入ということになり非常にまずい・・・。

そんな事を考えていると目の前の扉の中から

「入ってもよいぞ」

というおじいさんの声が聞こえてきた。

ん?これは俺に言っているのだろうか?

「僕ですか?」

「そうだ。扉の前に立っているおぬしだ。」

「どなたですか?」扉の前に立っているのは俺しかいないのでおそらく俺のことなのであろうが見ず知らずの人に急に知らぬ家の中で会うというのは普通に怖い。

「心配せんでええよ。わしは悪いものではない。」

この部屋に入るのは怖いが夢であれば問題ない。一応ほほをつねってみるが痛みは感じない。万が一現実であったとしても勝手に入ったであろう家の家主であろう人間にいるのがばれているのに何も言わずに逃げるのも悪手であるような気がする。とりあえず部屋を覗いてみよう。

「失礼します。」

一応挨拶をして部屋の中に入るとそこには多くの書類に埋もれた机の上で何かを書いている老人らしき人がいた。

「そこに座りなさい。」

優しい口調でそう指示する老人の言葉に俺は目の前においてあった椅子に座った。何かを書いている老人の邪魔をするわけにもいかずとりあえず待っていると少しして老人の手が止まりくるりとこちらを向いた。

「初めましてじゃの。わしの名前はサスティル。ここの家の主じゃ。」

仙人のような長いひげを蓄えた老人はそう言ってにっこりとほほ笑んだ。

「僕は安良田陽太です。」

とりあえず名は名乗ったが状況は理解していない。

「ああ、陽太君じゃな。間違ってはおらんの。とりあえずこの状況を簡単に説明しようかの。ここはいわば現世と異界の狭間じゃ。君は一時的に現世を離れているんじゃ。」

「はぁ」

なんとも現実味が薄い話をされているのだがやはり夢なんだろうか?

「夢ではないぞ。まあ夢ではないが夢の世界のようなものじゃ。」

「えっ?」

俺の考えが読まれてる?

「そうじゃよ。わしはここで魂の管理をしているものじゃからな。他者の考えていることが多少は分かるのじゃよ。」

「へぇ」

なんとも情けない声を出してしまった。

「ここはあの世ということですか?」

「いやそういうわけではない。地球の君はまだ死んでおらんよ。寝ている状態じゃ。ここは君らの住んでいる地球がある宇宙空間の外であり、他の宇宙空間との魂の介在を行う場所じゃからの。」

なんともむつかしくて理解ができない。がとりあえずは生きているのだろう。

「突然で悪いのじゃが陽太君よ、君にはいわゆる異世界に行ってほしいのじゃ。まあ理由はいろいろとあるのじゃが簡単に言うとこちら側の都合じゃ。今地球ではかなりの速度で科学技術が発展している。それゆえ多くの発明や発見がなされ他の宇宙と差ができてしまっておるのじゃ。それを解消したいのじゃ。」

ん?異世界?俺も多少は知っている。アニメでも異世界なんちゃらとか転生なんちゃらとかやっていたしそういう感じだろうか。

「どうして僕が選ばれたのですか?」

「それはあちらの世界との相性じゃ。地球の人口は約70億人であるが先の異世界と地球の両方に適合するのは1人か2人くらいのもんじゃ。そこに陽太君が適合したのじゃ。」

「そういうものなんですか・・。異世界というのは所謂ファンタジー世界ということですか?。」

「そうじゃ、剣や魔法を使いモンスターと呼ばれる生物が存在する地球とは全く違う世界じゃの。」

「その、すいませんが僕には地球でまだやりたいことがあるのですが・・・。」

「陽太君が地球でどのような生活を送っていたかは大体知っておる。特に大きな不満もなく地球では充実した生活をしておったようじゃの。何もまったくもって完全に異世界に移るわけではないのじゃ。異世界での活動が終わればしっかりと地球に戻ってこれるようになっておる。陽太君が寝たときの時間にちゃんと戻れるよ。」

なるほど・・・べつに地球での俺が死ぬわけではないのか。

「そうじゃよ。さらに言えば、異世界に行く際には所謂チーツというのも授けられる。どうじゃ?男の子であればあこがれるのではないか?」

確かに異世界に行ってもまた地球に戻ってこられるのであれば行ってもいいような気がしないでもない。さらにチート・・・特殊能力ももらえるらしい。

「ちなみに何をすれば帰ってこられるのですか?」

「特にあれしろこれしろということはない。ができれば地球のものを多少広めてほしいのじゃ。料理でも娯楽でも科学でも何でもよい。いわば国際交流ならぬ異世界交流のようなものじゃよ。」

なるほど、異世界交流か、海外に行ったことはないが自分の知見を深めるためにも知らない土地に行くのは面白そうだ。異世界となるとなかなか遠いが・・・。

「わかりました。行きます。」

「よかったのじゃ。せっかく両世界に適合する人間が見つかったのに断られたらどうしようかと思っておったのじゃ。」

「それで僕のいく異世界の名前は何というのですか?。」

「リステじゃよ。異世界リステ。」

「リステですか。わかりました。で、どのように向かえばいいのでしょうか?。」

「心配せんでもわしが送ろう。心の準備は出来ておるか?。」

「はい大丈夫です。」

「ではいくのじゃ。」


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