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ファミコンジャンプ……?

「え~っと、今日は何をやろうかしら……」

 引き出しのファミコンソフトを漁る姫の手つきは慣れたものだ。

「ドルアーガの塔は難しすぎて飽きたし……リップルアイランドはこないだクリアした……半熟英雄は連打疲れるからやだ……ツインビー……サイドポケット…………あ!」

 姫が手にしたのは通常より大きな正方形の黒いソフト『ファミコンジャンプ』だった。


 ジャンプの世界へ入り込んだ主人公がケンシロウやゴクウといったお馴染みのキャラクター達と世界を旅するアクションゲームだ。

 お馴染みの動作で電源を入れ、プレイに勤しむ姫。しかし、本編クリアに欠かせない道中のミニゲームが地味に難しく難儀していた。

「きーーっ!!」


「……飽きた」

 速攻で投げ出す姫。


「ちょっと!何か面白いソフトは無いの!?」

 扉の前で佇むドラゴンに視線を向けると、ドラゴンは1つのソフトを差し出した。


『星をみるひと』


「私をストレスで殺す気!?」

 姫は手渡されたソフトを投げ捨てた!


「そろそろいい加減ドラ〇エかエフ〇フでもやらないか?」

 ドラゴンは引き出しから三部作を取り出し姫の目の前に置いた。


「……嫌よ。それなら桃太郎伝説をやるわ!!」

 姫はファミコンジャンプを粗っぽく引っこ抜くと、桃太郎伝説を差し込んだ。


 ――――寝太郎の村


「かんじきは罠装備よ。氷の上で滑らなくなるけど、素早さが0になるわ。奇襲をバンバン受けて死ぬから注意よ」

 吉四六(きっちょむ)から手に入れた灼熱の弓で白熊や雪女を撃ち倒す桃太郎。


「灼熱の弓はびろーん狩りまで使える神武器!!」


 少しでもお金が貯まると、桃太郎は雀のお宿へと足を運ぶ。

「おい雀!お食事券を出すんだぞ!」

 姫は脅迫まがいに雀を脅し……

 珊瑚の御札を手に入れた。


「…………今日は雀の焼き鳥かな?」

「フグなら茶釜マラソンで普通に食えば良いのでは?」

「それもそうね」



「なあ……」

「何よ」

「そろそろ、飽きてきたんじゃないか?」

「何よ急に……」

 姫がドラゴンの顔を見ると、ドラゴンは至って真面目な顔で姫を見つめていた。


「最近やたら強い勇者の噂を聞く。そろそろ帰るときが来たのかもな……」

 しんみりするドラゴン。しかし、この状況下でも勇者はお構いなしにやってくる。


「ほら、普通の勇者が来たわよ……さっさと殺しなさい」

 姫は何処か寂しそうな顔をした。


「…………」

 ドラゴンもまた寂しいそうに勇者へと立ち向かった。




 ――――バタッ!



「へ?」

 縛られたふりの姫が目を丸くした。


 なんとドラゴンが普通の顔の勇者にやられてしまったのだ!


「姫!ご無事ですか!?」

 駆け寄る勇者。あれよあれよとお姫様抱っこで連れ去られる姫。名残惜しそうな瞳はドラゴンの骸へと注がれ…………。



「姫、城までもう少しです。今日はお疲れでしょうからここらで宿を取りましょう……!」

 鼻息を荒くし、勇者は宿屋へと入り込んだ!


(もう少しって……後数歩じゃないの。結局男って皆こうなのね…………まあ、いいわ。これも姫たる定めかしら……)



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