沙羅曼蛇
朝からドラゴンが居ない
「アイツ仕事サボって何やってるのかしら?」
性欲旺盛な朝勇者が来ても大丈夫な様に、ベッドの上に犬のぬいぐるみを置いてベッドの下へと潜り込む。念の為、犬の足の付け根にあるタグに『ひめ』と書いておいた。
きっと脳筋勇者なら騙されるだろう……。
――――ガチャ
(誰か来たわ!)
私がベッドの下から様子を覗うと、入ってきたのはドラゴンだった。
しかも、ドラゴンはおもむろに手にしていた箱から緑色のファミコンソフトを取り出し、ファミコンへセットしてゲームの電源を入れた。
「こらー!!」
私が大声でベッドの下から出て来ると、ドラゴンは驚き振り向いた。
「!! 何だ居たのか……」
「!? 何だとは何よ!!私が居ないとアンタ困るでしょう!!」
私が取り乱し気味に興奮しているが、ドラゴンは気にせずゲームを開始した。
「!? 何そのソフト! 透けて中の基板が見えてるじゃない!格好良いわね!」
「吾輩もそう思ったのだ。しかもコナミのシューティングゲームだぞ?買うしかあるまいに」
「よし!早速2人プレイでやるわよ!」
「初見での吾輩の実力に驚くが良い……」
――――アボーン
――――アボーン
――――アボーン
「ねぇ……アンタ一面でGAMEOVERよ?あまりの下手さに逆に驚いたわ」
「このようにかせぐのだ」
「使い道間違ってるわよ……」
姫の操る赤い機体は、オプションからレーザーを繰り出し岩を砕いていく。
「一面毎に縦横切り替わるのね」
「ふふ、素晴らしいだろう? と、言うわけで残機をよこせ」
「あっ!!私の残機で復活したわね!?」
しかし、優々と復活を果たしたドラゴンの青い機体は一瞬にして敵の体当たりでやられてしまった。
「……な、泣いてなどおらん」
「まだ何も言ってないわよ」
「それにしても、グラフィックとサウンドが素晴らしいわね」
「じゃろ!?じゃろ!?買ってきて正解だろ!?」
二人は飽きることなく沙羅曼蛇に明け暮れた――――