桃太郎伝説
初代とPS版しかやったことありませんが、初代は最高に好きです。ですが、まともに攻略した記憶が無く、いつも『ふ』からの二週目で遊んでました。
ブラウン管のテレビから煙が上がって画面が見えなくなるまで遊んだ思い出深いゲームです。
平穏な城での生活に飽き飽きしていた頃、突如魔物に攫われ洞窟の中に幽閉されてしまった。
目の前にはメッチャ強そうなドラゴンが一匹。とても逃げ出せる状況では無い……………………
「ねえ……? 勇者はまだなの!?」
決して臆すること無く平然とドラゴンに話し掛ける。
「……………………」
しかしドラゴンは寡黙として扉の前に佇んでいる。
「ねえってば!」
「ええい、静かにしておれ!今誰か来ておるわい!」
ドラゴンは顔をこちらに向け苛立ちながら話す。
話し掛けておいて何だけど、コイツ人語話せたんだ……。
「イケメン勇者様が来たかしら!?」
期待に胸(微量)を膨らませ、潤んだ瞳をスタンバイさせながら勇者様の救出の時を待つ。
――ガチャッ!
扉の鍵が開き、重苦しい雰囲気の扉の先には、銅の剣を装備した低レベル勇者がいた。
勇者はドラゴンを一目見るなり怯え始める。
「……すみません、間違えました」
勇者は逃げ出した!
「……おい、勇者が帰ったぞ」
「ちっ!雑魚勇者だったか……まあいいわ。ファミコンしてるから勇者様が来たら呼んでね」
手慣れた感じにカセットをフーフーして上手に差し込む。
以前、あまりの暇さに軽い気持ちで暇潰しにお願いしたら、本当に置いてくれた。それ以来ココではファミコンばかりしている。
「……囚われの身なのを忘れてないか?」
「だって暇でしょ?」
懐かしいブラウン管に映し出されるドット絵。
黒い画面の中で繰り広げられる一対一の潔い戦闘がより緊張感を高める。
「で、何やってるんだ?」
「桃〇郎伝説」
「……ドラ〇エのテイストでお送りする話なのに、何故お前はよりによって……」
「うっさいわね!私は桃〇が好きなのよ!堀〇がなんぼのもんじゃい!!」
(桃〇もドラ〇エを参考に作られたのは言わないでおこう……)
ドラゴンは目をそらしいつもの仕事へと戻った。
――ピコピコ ――ピコピコ
「はぁ!?」
「うぉっ!ビックリしたではないか。どうしたのだ!?」
「天の声間違えて記録してた……」
「……またか。きっとまた『ぺ』とか『べ』の間違いじゃろ」
「……あ、本当だ!」
「天の声は2つ記録しておきなさい。なるべく濁点とか無いやつをな」
「……アンタ、妙に詳しいわね」
「……………………」
ドラゴンは無言で視線をそらした。
「……ねぇ。アンタは誰の指示でそこに居座ってるの?」
「……竜王様だ。直属の司令だけあって給金はそこそこ良いぞ」
ドラゴンは指で輪を作り下品な笑みを浮かべた。
「お金貰って何に使うのよ!?ドラゴンのくせに」
「な!ハドソンmkⅡを買うんじゃい!!」
「ドラゴンのくせに連射機なんか買うんじゃないわよ!!自力で連射なさい!!」
「吾輩が連打したらコントローラーが壊れてしまうじゃろ!」
やいのやいの言い合う2人の壁の向こう側を、勇者達が今日も通り過ぎていく……。