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今年最初の休日


目が、覚めた。


カーテンから光りがさしはじめている。


(、、、朝、か。今日は休み、、だったな。)


周りを見ると、そこはいつものベッドの上だった。

一緒に寝たはずの子供達と妻の姿はない。


時計に目をやると「7:30」の表示。

どうやらいつもより一時間以上寝れたようだ。

(もっと寝ていたかったな。

休みの日でも癖で体が起きちゃうんだな。。)


「うぇぇ。もうちょっと寝よう。」

我ながら情けない声を出しながら、二度寝に入る準備をする。


休日は素晴らしい。


二度寝は最高だ。


眠りに入りそうなところで、ドアが開き子供達が部屋に入ってくる気配がした。


「そらくんは足の方ね!」

おてんばな娘の声がベッドで寝ている俺の横から聞こえる。


「おっけぇ。ゆきちゃん!」

足元からはもっとやんちゃな息子の声だ。


「「けんしんはりゅう、スーパーダイブ!」」

そして二人の息のあった必殺技の掛け声(?)が聞こえた。


(、、、これは、、やばい、、)

頭ではそう考えたが、今にも眠ろうとしている体はまったく動かなかった。


(、、いや、もしかしたら俺の寝顔を見に来ただけかm)

脳と体が別のところにあるような感覚の中、のんきにそんなことを考えていると、お腹と足元にシャレにならない重量のボディプレスが降ってきた。


「うぇぇ。起きますよ。。」


ゆっくりと目を開けて見回すと、娘が俺のお腹の上でゴロゴロしているのが見えた。

が、息子がいない。


どうやら、勢い余ってベッドの反対側に頭から落っこちたようだ。


、、大丈夫だろうか?


しばらく動かないので心配になったが、、大丈夫なようだ。

起き上がって鼻をほじり、こちらを見ながらニヤニヤしだした。


「お父さんおはよう。」

悪びれる様子もなく、俺の上でニコニコしている娘をちょっとくすぐりながら体から降ろした。


「もう起きるから真由(まゆ)ちゃんのところへ行ってなさい。」

と、伝えると子供達は嬉しそに部屋を出て行った。


ドアは開けっ放しだ。


「やれやれ、、あれ、携帯はどこ置いたっけ?」

立ち上がり、いつもは枕元に置いてあるはずの携帯電話を探したが、そこにはなかった。


「仕方ないな」

俺は意識を集中させる。

自分の携帯電話を見つけるためだ。


部屋の空間に意識を張り巡らせると、一箇所からなんとなく電波が出ている感覚があった。


布団の下だ。


「なんでこんなところに?」

独り言を言いながら布団をめくり、携帯を拾って、トイレへのそのそ歩き出した。



俺には不思議な力がある。

といっても大した力ではない。


機械の電気が流れていると、なんとなく分かる。と、いうような力だ。


具体的には、

今のように見当たらない携帯電話を探したり、

隣の家が今どの部屋でテレビを見ているか分かったり、

電話が鳴る前に気づいて受話器の前に行ける。。ぐらいの力だ。


この力のことを、家族や友人に話したこともあったが、、いづれも、

「へぇー」「、、すごいんじゃん?」「じゃあ今から携帯隠すから見つけてみてよ」

といった程度の反応であり、携帯を探すゲームが始まって終わるだけだった。


なかには、

「電磁波が見えるのは統合失調症の症状だぞ!」

と、病院に連れていかれたりしたこともあり、、

最近は誰にも言っていない。


ちなみに病院では、先生に鼻で笑われたたけで異常なしと言われた。



(家電より猫のいる場所が分かるといいのに。)

そんなことを考えながら、トイレを済ませ、台所に顔を出すと妻がいた。


「おはよう真由ちゃん。」

「あ、おはよう。」

台所では妻の真由子が朝食の盛り付けをしていた。

なんだか忙しそうだ。


「悪いんだけど、もう仕事に出るから、子供達ご飯食べさせて保育園に送ってね。夕飯はお弁当買って帰るからね。」

真由は続けざまにそう言うと、カバンを持って玄関の方へ行ってしまった。


「、、おっけぇ!」

妻の遠ざかる背中にそう答えるしかない。


「いってらっしゃーい」


子供達と一緒に、妻を見送ってから、3人で朝食を食べる。


テレビをつけると、朝のニュースでは、[日本のどこかに隕石が落ちた]というような話題がやっていた。

隕石というのは、けっこう頻繁に落ちてるらしい。

(そんなことより、お正月らしい話題はないのか、、あ、正月はもう終わったのか。)


朝から少し涙ぐみながら朝食を済ませ、

その後、

子供達を三人乗りの自転車に載せて保育園に向かった。


途中、「お母さんとじゃないと保育園行かない!」と、ダダをこねた子供達に今度の土日にアイスを買うという約束をさせられるトラブルに見舞われながらも保育園に到着し、子供達を先生に預けた。




「うぃぃ。やっと休みか。。」

俺はまっすぐ家には帰らず、近くの公園のベンチで缶コーヒーを飲みながら独り言をこぼした。


年末年始と忙しなく働き、今年に入り一週間とちょっと過ぎた今日が久しぶりの休日だったのだ。


俺の名前はニ(ふたひら)苳也(とうや)

30歳の会社員だ。

趣味はプラモを作ることとゲームをすることぐらい。

特技は、近くの道場に通って格闘技をやっていたことと、電波を感じる能力ぐらいだ。

家族は、

年上の妻「真由子(まゆこ)」と、

保育園に通っている五歳の娘「(ゆき)」、

そして、同じ保育園に通っている三歳の息子「(そら)」の4人家族だ。

妻とは共働きで、妻は土日休みだか、俺の仕事が不定休なため、たまに俺の休みが平日のときは、今日のように子供達を保育園に送り迎えしている。


(初詣でも行こうかな。

そんで帰ったら俺、昨日買ったゲームやるんだ。)


朝の一仕事を終え、そんなことをぼんやり考えていると、どこからかか細いが必死に呼びかける声が聞こえてきた。



「誰か、、助けて、、!」


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