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ウサギさん

オオカミさんの捕獲劇

作者: みず

ウサギを確実に手中にする話をずっと模索してたんですが

結局キツネ狩りと同時進行になってしまいました…


つじつまがあわなくなってきたので 限界か?っと反省しつつ 

ちょっとだけお目にかけてみようかと あげてみました。

近々さげちゃいます。 

エレーナは 婚約者として、俺の腕のなかにすっぽりと収まってる。

殿下の行動を、渋い表情で見つめながら。



「ほらみろよ。殿下が虫除けしにいくぞ。」

「…。殿下に喧嘩ふっかけたのね。よくまあ懲りないわよね。ふたりとも。」


殿下はクリスティを侯爵の娘としてきちんと正妃にするため、人前で できるだけド派手に出会い クリスティを公の場に引きずりださねばならなかった。

まずは正式に侯爵家の娘と認めさせるため 一時的に実家に戻されたクリスティに、間髪いれず、俺たちの結婚の許可をとるための謁見に同席した場で、出会い直した。だが、殿下は滅多なことで社交に現れることができない。それでも、次に会える日を、俺たちの婚約披露の場にさりげなく指定し、公式デビューをそこに合わせてくるように暗に指図した。わけなのだが。


エレーナの虫除けをしていた俺を笑ってみていたのを知っていたので、いたずらをしてやった。


殿下が招待されている俺たちの婚約披露の場でデビューを予定していたが、先に殿下が招待されていない場で、侯爵の娘として 非公式にデビューをさせた。


表向きに、ずっと侯爵家で大事に育てられ、内向的なため公に現れたことがなかった、殿下の興味もひいたという妙齢の、姉のエレーナとは違うかわいらしい美しさを備えた侯爵家の娘。 降ってわいたクリスティは当然男たちの注目の的となる。

社交界に馴れておらず、初すぎて、どんな男でも庇護欲を掻き立てられる。


そんなクリスティを男が放っておくわけがないだろ?


既にお手付きのクリスティに何かあってはならないため、監視はつけてある。

が、数あまたの男に口説かれて困るクリスティを眺めるのは可愛らしくて楽しいじゃないか。

それを見つけたときの殿下の反応もね。




俺たちは殿下の御学友というやつだった。

殿下と同じ年のエレーナとひとつ年上の俺。

エレーナは妃候補で、俺は腹心候補として、幼い頃時折、城に招かれ、大騒ぎをして遊んだ。


エレーナはその頃から負けず嫌いで気が強くて、なにをするにも張り合ってきて、よく傷だらけになって遊んでいた。


が、ある日突然、エレーナは俺達と距離をとるようになり、遠くで眺めているだけで、遊びにのってこなくなった。

先に子どもを卒業されてしまったわけだ。


当然、面白くないから意地悪をふっかけちゃ、怒らせて澄まし顔を壊すように俺のあそびが移行したわけだ。


そんな中、俺の半分血のつながらないジャイアニズムな兄は、ますます俺に張り合うようになり、俺のそばにあるものをなんでも欲しがるようになった。

何かの集まりの度に、他の女の子たちには紳士的に接するのに、エレーナに対してだけは、意地悪を繰り返していたのを見届けられ、俺の特別を俺より先に見抜いた結果、殿下の妃になる前に、エレーナが欲しいと父の伯爵にねだりはじめた。


まあ、その辺りは父はバカじゃなかった。

正式には侯爵の一人娘であったエレーナが、殿下以外の男と、殿下の婚約を待たず、こんなに若い段階で侯爵家の跡取り、婿とり以外での婚約なんぞするなど、異例すぎる。

兄は嫡男で理解のある夫人の手前、養子に出すわけにも行かず、父は取り合わなかったわけだが、あまりに俺を気にして対抗するばかりで慎重さのかけらもなく、後先考えない行動にでるため、このまま兄弟同じ場所においておくのはヨロシクナイ。っということで、俺は外に出されることになり、殿下の師の一人である、エレーナの父、侯爵のそばであれば、殿下と共に学べて便宜がいいということで、侯爵の元に預けられた。


兄から離れ、殿下と悪巧みを繰り返し、お忍びで城外にでて はめをはずしてみたりと有意義な生活を送っていたんだ。

殿下と一緒に勉学し、侯爵についてあるいて手伝ったり

侯爵家にいけば、エレーナがいて、軽口を叩きあって、すごく楽しかったんだ。


そんななか、殿下が公務にあたり、殿下の腹心のひとりとして、サポートをして働きだした頃、適齢期を迎えた殿下に相応しい奥方を。と、周りがお節介を焼き始めた。


己の縁者を!っと、推すもののなかに、最初から妃候補だったエレーナが当たり前のようにあがっていて、すごくおもしろくなかった。


このまま後宮にはいることになれば、

殿下のものとなれば、今のように話せなくなる。

愛弟子特権で、公式の場でエスコートしてきたのだが、エスコートすることも叶わなくなくなるし、こっそり抜け出して遠乗りにでかけるなど、できなくなる。

エレーナに触れることができなくなる。

全てが殿下の特権になる。

殿下もこのまま時がたてば、他のよりはましだとエレーナを選ぶであろう。


それで気づいたんだ。



俺はエレーナをてに入れたいのだと。

他の男に触られたくないことに。

エレーナを怒らせることができる唯一のものになりたいのだと。


いきなり愛を囁いてくれとなんていわないさ。

そばにいて、俺の言葉に怒っていてくれればいいのだ。


じゃあ、いま何をすべきか。


エレーナには皇太子妃になるか、侯爵の跡取りとの ムコトリになるかの二つの道しかない。

なら、後者になるようにしむけるしか、俺に打つ手はない。


殿下好みの女を用意し殿下にちらつかせ、侯爵の跡取りなるべくスキルを身に付ける。


一択だ。


いままで、顔を会わせれば、ふっかけて怒らせてきたから、今さら、本人目の前に甘いことを囁いて口説くとか、その気にさせるとか気恥ずかしいしやりきれないし、気持ちわるがれて逃げ出されるに違いない。

だから、外堀を埋めることにした。


まずはエスコートは俺に任されることが多かったため、社交場で集ってくる害虫を強かに威嚇し、必用以上に体にベタベタと触り、他のやつらにはわからないような話題を喋り続け、そして適度に怒らせて不機嫌にさせ、近寄れない空気を作った。

綺麗なエレーナに虫がたかるのは仕方がない。

が、過度な接触は許さない。



殿下に依頼された初めての長期の外交にでる前に、諦めの悪い兄貴が無茶を起こしてエレーナを奪っていかないように殿下以外立ち入れない後宮に放りむことにした。

前日の夜、エレーナの部屋に忍び込んだ。

帰国次第、絶対に出してやるから、勝手に暴れて鳥籠からでたりしないように、お前を護るために後宮にいれるのだと、伝えに。元来エレーナは行動力も実行力も備わったじゃじゃ馬なのだ。強いれば跳ね返るし噛みつくこともある。


でも、意図を全く知らされていないエレーナは予想以上に後宮に入ることを不安に思っていて、いつもの勢いもなく、しおらしかった。

殿下の正妃にも側室にもなることを望んでいない。ってことだろ?望めば至高の女性になることも可能なのに。

結局、本題に入ることなく、不安がるエレーナがただかわいくて後ろから抱きしめて昔ばなしをした。朝まで。


うとうととした、エレーナの背中にちょっとしたマーキングを残し、意図を伏せたまま、必ず後宮から出してやる。だから決して後宮を勝手に出てしまうことなく俺を待つように約束し、送り届けた。



一ヶ月後帰国直後に後宮から実家に戻されたエレーナは、侯爵の屋敷で俺の姿を見つけるなり、当然のごとく静かに怒り狂った。

そうやって、俺に怒り続けてくれればいい。


まあでも、そのあと抱きしめてもキスをしてもいやがらないし、看過しない場で婚約が勝手に持ち上がり、話がどんどん進んでいっても、なにも抵抗しようとしない。


つまり、そういうことだろ?


そうして エレーナは 婚約者として、俺の腕のなかににすっぽりと収まってる。

殿下の行動を、渋い表情で見つめながら。






殿下は友人として。上司として、婚約を祝にやってきたはずなのに、一言だけ挨拶にきて、若い男たちに囲まれて困惑するクリスティを奪還するために、行ってしまった。

それはそれは黒いオーラを背負って。


社交に気ままに出歩けないため、クリスティを後宮から外に出し社交会にだしてしまうと、殿下は自由気儘に出席が決められないから俺以上に虫除け作業が大変なのはわかっていたはずなのだ。


フロアに連れ出され、躍りながらクリスティの耳元で何かをささやいた。

かわいそうに。顔色がどんどん悪くなる。


正妃として城に迎える約束を侯爵としたため、しばらく、交際と婚約期間を待たねばならない。


たえられるのかな?

少なからず婚約するまでは、虫除けをどうするつもりなんだ?


二曲三曲とクリスティの独り占めが続き、クリスティが疲れて緊張と抵抗をといて、腕のなかに収まったところで、爆弾を抜群のタイミングで爆発させた。


フロアのどまんなかで長くて深いキス。


なんという虫除けの方法を選びやがった。


今まで女に興味がないとまで噂されてしまっていた殿下が、これほどない独占欲展開中…。



そして。この瞬間にだれも手出しできなくなった。

あんなキスを人前で!どまんなかで!あの立場で!

おそれ多くて誰も手出しなど今後できるわけがない。


もう防虫効果もばっちりだ。


フロアは静まり返り、自然に殿下とクリスティの周りに空間ができあがる。


「いやがらせ、だったのよね 」

「ああ」

「交際期間を吹っ飛ばしたわね…。あれじゃ、即、婚約まで持っていかれるわ。手助けしちゃったじゃない」


侯爵が娘を奪還しに、溜め息をつきながらやれやれ顔でフロアの真ん中へむかう。

責任はとらせてもらう。

だからチョーダイっ。みんなも見てたよね。もう僕のものですよ。ちょっかい出してくれんなよってことなんだろうな。



「俺もあれをすればよかったのかな? 」

「してたじゃない。あそこまではしなかったけど、近いことを」


なんだ、ちゃんと伝わってたのか。

俺の気持ちと意志は。


「あれは恩師の娘に群がる男を追い払っていたお目付け役の所業じゃないわ」

「そうか?」

まあ、結果、殿下と俺ぐらいしか平気でそばにい続け

られる人間はいなかったのだが。

「エレーナ、殿下の正妃になりたかったか?オマエが望めば殿下は迎え入れたと思うぞ 」

「そうかしら?… 殿下は迎え入れたとしても、遠慮されてお渡りにならないでしょうね…」

そうかな。いまは夢中になってるからともあれ、それまでは…

「いや、大事にしたと確信してるよ」

「…そうかしら」

伏し目がちだった目が下からのぞきこんで睨んでくる。

「…それで満足なの?」

「良くない。いいわけないだろ。」

ぎゅっと、だきしめる。

おまえは俺のもの。


「ゴホウビチョウダイ」

「なんの??」

「がんばったゴホウビ」

「……なにをがんばった??……」

しばらく小首をかしげたあとにおそるおそる更に質問を重ねてきた。

「…どんな?」

「……………………………………」

おとなしく腕の中におさまっていてくれていたのに、何かを察して急にもがいて逃げられる。

「私も危険!おとうさま!」

「それひどくない?」

「…酷くない!後宮に入る前にあんた私に何したとおもってるのよ!笑われたんだから!これはあんたの仕業だろって!」

だろうなー。

忍び込んだときに、マーキングしといたから。背中にキスマーク。ひとつじゃなくて…


「…ちょっとまて。

おま!なんで!!!!誰に見られたんだ!おい!」

「しらないし!もう!」


今まで二人きりになるためにしてきた儀式

怒らせちょっとした騒ぎになるぐらい煽って、居づらくなるように仕向け連れ出す。




おいで。このままだと目立つ。

婚約披露なのに また 喧嘩って言われちゃうよ。

もう主役は殿下に捕られちゃったよ。

俺たちがちょっとくらいいなくても誰も気にしない。


二人きりになるための常套句を唱えてエレーナのてを引っ張って庭に連れ出してふたりきりになろう。




「クリスティ、ずいぶんと…異性お友だちが増えましたね」

「みんな殿下とにいさまのせいですよ(*`Д´*)」

「後宮にから出たいと言うからだしたのに、即、こうなりましたか。」

「(*`エ´)」

「…」

「今日は何を企んでおいでです?」

「特に何も。でも、少々害虫駆除と防虫は済ませなくちゃいけません。囲いのなかに入れてしまうのが、ベストなんでしょうが、順を守らねばならない立場なので。

ただ、短縮はさせていただきます。

ずるずる婚約まで時間をかけるきはありません。

ま、いまはダンスを楽しんでほしいですね。

そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。さすがにすでにお手付きですと皆にしらせることはできない。」



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