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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編小説

入社1年目、平社員のお仕事

作者: きらと

 僕は山田太郎。名前こそ平凡だが人生は楽しんでいる。

 二次元大好きでミリタリーも好き。萌えアニメと声優も大好きです。ギャルゲーと呼ばれる恋愛シミュレーションゲームはもちろ、擬人化の携帯ゲームも課金してやっている。初回特典欲しさにゲームやDVD-BOXを予約注文したりする。声優のwebラジオも欠かさず聴いているしDJCDや雑誌も買っている。

 認めよう。僕はオタクだ。そして小さい子が好きなので多分、ロリコンだ。性犯罪はしませんよ。紳士はペドを許さず愛でるものですから。

 友達にはちょっと変わっていると言われる事が多い。間違っても「軍人」とか「軍曹」なんて格好良さげなあだ名は付かない。オタクだから。

 とりあえず萌えの話は置いておくとしてミリタリー系統の趣味で学んだ事がある。

「生か死か」それが戦場の掟。言葉にすると簡単だけで意味深い。

 死神さえ逃げ出す最強の傭兵、正規軍でさえ不可能な困難な任務をこなし世界を救う。それが僕の憧れだった。そして贅沢な願いでもなければたいていの夢は叶う物かもしれない。物語のヒーローになるチャンスは意外に早かった。

 高校3年生の春、日本政府が異世界との交流を始めたと報道された時、隣国と一部有識者が騒いだだけで世間は無関心だった。魔王が暴れているわけでもなく勇者は求めていない。しかし夢のような楽園ではなく反乱や紛争、盗賊やモンスターと言った危険もある。事実、政府の忠告を無視して現地入りした報道陣が襲撃を受けて皆殺しにあった。旅行や投資には向いてない。最初の頃こそニュースで取り上げられていたが半年もすれば忘れ去られていた。僕にとっても人生に影響しないはずだった。

 ハロウィンの季節、日本政府の認可を受けて民間企業が警備員(傭兵)の募集を始めた。募集を見つけたのは完全な偶然。ミリタリー雑誌の広告面だった。

 なんで、こんな所に警備員募集と思ったが、後で知ったのはマスコミ対策と言う事で、これは完全な戦闘要員だった。

 就職面接の事業説明会では秘密を守る誓約書にサインさせられた。見せられた映像はファンタジー映画その物の異世界。異世界で警備員が何をするのかと言うと、現地邦人や国益を守るのが仕事内容で、銃とかが与えられる。

 ゲームに出て来る特殊部隊の様な派手さはないけど、戦場を体験できると理解した。

「これから名前を呼ばれた人は、装備を受領して、それぞれの小隊長の元に集まってください」

 雇用契約の確認が終わり移動した別室。装備が山のように篭で用意されていた。蜜柑の出荷に使いそうな篭に服やヘルメット、靴等が入れられていく。

 最後に渡されたのは銃。なんと昔懐かしいAR-15。M-16A1でアメリカ軍に採用されていた小銃で南ベトナム崩壊のどさくさに紛れて、日本に持ち込まれた物だという。

 中古とは言え保管状態も良好で、手に伝わる重みはサバイバルゲームで使う電動銃やガス銃ではない本物。興奮した。

 研修は銃の撃ち方と弾の交換だけ教えられ、ぶっつけ本番の魔物退治に参加させられた。ベトナム戦争の漫画だとM16A1はジャムるので弾倉から弾を抜いていた。説明が無かったが、実際に弾が詰まったらどうするんだろう?

「第3小隊、こっちです」3の数字が書かれた黄色い旗を揚げるお姉さんは僕の所属する小隊長で造形大学出の森永さん。

「第3小隊?」列に並ぼうとすると同い年位の女の子に話しかけられた。

「う、うん」

「私も。宜しくね」

 眩しい笑顔を見せられて男は単純と言うか、女性が一緒だと頑張って格好良い所を見せようという気になる。マジ天使です。

 ドラクエやFFのようなRPGだと初期の経験値稼ぎはスライムの様な弱小モンスターだけど、ここではミノタウロスと言うビックネームだった。ミノタウロスの特徴は牛の頭を持った巨漢で雌は居ない。繁殖は異種族の雌を拐ってきて産ませる。うん許せない。

「それでは、みんな安全管理に気をつけて事故防止で頑張って討伐しましょう」

 小隊長の森永さんが可愛い声を張り上げながら言った。

 森永さんの解説によると、シャーウッドの森に潜むミノタウロスを討伐しないと近隣の住民が被害を受けるという事だった。家畜や家族を奪われ殺される。放置はできないな。

 でも、それって現地軍とか警察の仕事じゃないのかと思う。今回、僕達の他に第4小隊も参加していた。向こうの小隊長は短大出で、森永さんの方が学歴があるから先任と言う事だった。なんと言う官僚主義な階級制度。

 シャーウッドの森へはトラックで移動させられた。ヘリコプターじゃないんだな。少しがっかり。実は車酔いするタイプなんだけど、揺れるトラックの荷台は不思議と平気だった。

「サバゲーが趣味なんだ?」話しかけて来るのは先程、少し話した女の子。結城さんだ。小さなロリっ子じゃないけど、ペロペロしたくなる可愛さです。

「うん」

 結城さんと雑談する僕はチラチラと視線を向けてくる周りに気付いて優越感を感じた。出会いの機会は大切だね。

 雑談と言ってもほとんど結城さんの質問に答えているだけだったが時間潰しにはなった。到着すると現地の領主も兵を出していて森を包囲していた。整列した僕たちに対して領主様は「健闘を期待している」なんて平然とした顔で言われた。自分たちの手は汚さないんだね。

 小隊長である森永さん、先輩社員の無線手、機関銃手を中心に横に散開した僕たちは森へと足を踏み入れる。各班長が先頭を進み、その後ろにいる機関銃手はM60機関銃を装備しており弾が重そうだった。

 僕の班は高卒ばかりですが、サバゲーやFPSで鍛えられた仲間たちが居て、素人にしては優秀だと自画自賛してるの人ばかりです。どこから出てくるのかな、その自信は? ま、何と言うか、せっかく知り合った結城さんと違う班に成ったのが残念です。

「待ち伏せとかされたりしてないかな……。ベトナム戦争の映画とかだとよくあるだろ……」

 80年代の有名な映画タイトルを言う桑島。僕と同い年で高校を卒業したばかりの桑島は、この警備員募集を雑誌で見つけてきてだけの事はあり重度のミリタリーオタクだった。

 僕も木の上とかも注意しないと、と答える。

「それで上ばかり見ていて、落とし穴に落ちたりしてな」

「まさか」

 そう言ってる端から悲鳴が聞こえた。

「えっ?」

「平松が落ちた!」

 元自衛官と言っていた平松さんは24歳。陸曹になれず2任期でやめたと言っていた。落とし穴に落ちるなんていったい自衛隊で何の経験を積んでいたんだろうと思った。

 それで平松さん、串刺しで死んでいる。あの死に方は嫌だな。

 森永さんは落とし穴を覗き込むと「あら、ダメですね」と言うと死亡状況を報告するためにメモし始めた。けっこう、冷静なんですね。そのクールさも素敵です。

 指揮官は部下を動揺させずやる気にさせるのが仕事だと言える。女性を容姿で差別する訳ではないが、森永さんの存在が小隊をまとめているのは事実だ。

 隣を歩くのは中村さん。戦闘服からでもわかる筋肉質な体形で、スポーツジムに通っているという。好青年で普通にイケメンです。

「元自衛官も関係ないんだな。俺はあんな死に方ご遠慮させて貰いたいね」

「そうですね」

 ファンタジーの設定で植え付けられたミノタウロスのイメージでは人里を離れて迷宮とか洞窟に暮らしていると言う物だったが、人家に近い森に生息していたのは以外だった。

「もっと人里離れた廃墟とかダンジョンに居るイメージなんだけどな」

「たまに山から下りてくる熊と同じで餌さとかの事情だろ」

 なるほどと思った。人里が近いと言う事は餌も手に入り易いが討伐される危険がある。当然、その事は承知していたようで森の中には幾つかの罠が仕掛けられていた。味方に続出する死傷者。見回せば小隊はいつの間にか半分にまで減っていた。

 敵には罠を仕掛ける頭がある。戦う前から厭戦気分だった。ベトナムのアメリカ兵もこんな気分だったのかな。そしてたどり着いた敵の巣。

「あれが敵の巣……。楽勝じゃなかったのか」

 木を組み合わせた柵、その手前に掘り下げられた空堀。柵の向こうには土が盛っており、ちょっとした砦になっていた。

 砦の規模を考えると1匹ではないようだ。攻めるのに一苦労だと素人にも分かる。

「皆、聞いて。攻撃前に小隊を再編成します。私の右側が1班、左側を2班とします」

 それぞれの班長が決められると発煙手榴弾をそれぞれが手に持って森永さんの指示を待つ。

「準備は良い? それでは始めますよ」

 投げ込まれる発煙手榴弾(スモークグレネード)。煙幕が敵の巣穴を襲った。咳き込む声と騒音が聴こえる。怖いのは敵の待ち伏せや罠で、下手に近づくと逆に此方が殺られてしまう。

 僕達は銃を構えて出てくるのを待った。

 ゲームだと勇者になる過程で試練がある。これもそれかな。

 濃厚な血の臭い。元をたどれば周りが血の海で、僕は戦うと言う事を本当の意味で知ることができた。四肢を切断されて呻き声をあげている仲間達。これが戦場か。

 暴れるミノタウロスは戦斧を鎌のように振り回し接近戦で圧倒していた。

 吐いている暇はありません。

「山田君、これ!」

「はい」

 渡されたのは使い捨てのM72LAW。あるなら最初から出しなさいよと思うのは上官に対する不敬だろうか。

 ロケット弾がミノタウロスを吹き飛ばす。

「次は?」と言う僕に森永さんは首を振って「品切れ」だと答える。

 仲間を殺られたミノタウロスはこちらに向かってきた。

「おいおまえら頑張って格好良い所を小隊長に見せろ」

 逃げ腰な僕達に先任の杉田さんがかつを入れるが動揺は収まらない。

「言われてもねぇ」

「ああ」

 頭をかくと杉田さんは声を潜めて言ってきた。

「だったら帰ってからお前ら童貞を良い所に連れていってやるよ」

「良い所ってどこですか」思わず食い付く僕らだが許してほしい。

「良い所だよ。気合い入れて戦ってこい」

 僕達は素直に戦闘に戻った。

 きっと大人な階段を登れるのだろう。風俗を経験する年齢ではなかったので心が浮き立つ。魔法少女やエルフが希望です。

 森永さんが真剣な表情で目を合わせて来た。僕は顔が熱くなるのを感じながら彼女の瞳を見つめていました。かわいいな……じゃなくて。

「な、何ですか?」

「山田君には囮をやって貰います。頑張って下さいね」

 うん、森永さんのお願いなら何でも。

 ──って囮?

「じゃ、これ」

 次に渡されたのはM60機関銃でした。別に森永さんが未来からやって来た青色狸な訳ではない。射手は負傷して呻いている。とりあえず今、周りに居る面子で射撃が上手いのは僕だから仕方ない。

 ミノタウロスの一体が巨大なハンマーを地面に降り下ろすと、土が塊となって襲いかかってきた。

「なんちゅう馬鹿力だ」

 僕は降りかかる土砂を避けて走りながら射撃位置に進んだ。兵隊が弾をたすきがけしている物を漫画とかで見かけたが僕にそこまでの体力はない。後ろを予備の弾を持って弾薬手が着いてくる。位置に着くと牛頭を照準に捉える。




 討伐は完了したが成功かと言われれば疑問だ。ミノタウロスは手強く無傷な者は居ない。

「山田君、生きてて良かったね。うちの班はほとんどやられたよ」

 座り込んだ僕の隣に結城さんがやって来て座る。結城さんは高校卒業したばかりで僕と同い年。彼女の頬には泣いた痕が着いていた。死の恐怖を味わったんだ。泣いても仕方ない。

「そっか。ま、お互い無事で何よりだ」

「命在っての物種ってやつかな」

 初めての戦いで生き残り、第一の試練はクリアしたと言えるが疲れた。爆音が聞こえて見上げると木の葉を巻き上げてヘリコプター上空を通過して行った。死傷者が多いから迎えにやって来たCH-47輸送ヘリコプターだ。

 会社に戻ると小隊長以上は集まって戦訓の研究や反省をしている。

 役職の無い僕達一般の平社員は社宅で休んでいた。寮のタコ部屋で共同生活と言う劣悪な生活環境を覚悟していたが、そんなことはない。個室でプライバシーは守られております。部屋に置かれたパソコンはTVとネットに繋がります。グラフィックボードも良い物を使っているのでMMORPGプレイ可能と言う至れり尽くせりの環境ですぜ。

 着替えてネット小説の新着を読んでいると扉がノックされた。

「はい?」

 やって来たのは結城さん。

「お邪魔します」

 適当に座ってと言うと回転椅子の背もたれを前にして腕を組ながら話しかけてきます。くんかくんかと女子の臭いを嗅いだりしません。紳士ですから。

「買い物?」

「うん。みんなで街まで行かないかな」

 敷地内の売店でたいていの物は揃いますが気分転換もしたい。そう言う事だそうです。話は聞いてましたよ。

 営繕班で現地通貨に両替をしてもらい貨幣の説明を受けた。

「銅貨1枚でパン1個が買えて5枚で定食が食べれる。後は自分等で試して来たら良い」

 現地の公用語は不思議な事に日本語が通じると言う。何てご都合主義な異世界と思ったが、さすがに文字の読み書きは出来ない。難しい事を考えるのは偉い人に任せて僕は外出を楽しむとしよう。

「昼ご飯はどうする?」

 街には現地飲食店の他に、日本からも様々な店が出店しているとガイドマップに載っていた。

「クアアイナのベーコンバーガーがおすすめだって」

「ああ、量はあるけど、安さならバーガーキングのハンバーガーで十分だよ」

 食べるものはパンで変わりはない。




 先日のミノタウロス討伐クエで経験を積んだ小隊に新しい命令が出た。ゴブリンが国境沿いに集結中と言う事で社員総出で出勤です!

 補充の社員募集もかけているけど、今回の出動に全員は間に合わない。中隊は定員割れで7割ぐらいまで回復しているそうだ。ちなみに女性が全体の3割を占めています。今は男女同権で社会進出してますからね。イスラエルの人口が限られた軍隊みたいに、傭兵でも一緒と言う事でしょうか。

 さて、新たなステージに進みゴブリンの討伐を命じられた。

 ゴブリンは手先が器用で集団戦闘を得意とする。緊張しながらミーティングに参加した。

 僕は先日の戦闘で根性を見せた事と生き残った健常者と言う事で班長に昇格。補充の部下5人を連れている。でも給料は上がってません。面倒を押し付けられただけ?

「集団戦ではいくら個人が強くても、チームワークが悪いと負けてしまう。だからチームプレイを一人一人が意識して欲しい」

 何言ってんだこいつと言う顔をする者も居れば、頷いている者も居る。僕は班長として初めての任務と言う事もあり真剣だ。

「現地の軍は応援に来てくれるんですか?」

「もちろん!」

 ヘリコプターでの移動で、乗るのは自衛隊でも使っているUH-1。編隊を組むと壮観で、気分は戦争映画の登場人物。地面との高さに恐怖を感じることは無い。

「ベトナム戦争っていつ終わったんだっけ?」

「1975年」

 やっぱりミリオタにとってベトナム戦争は、熱い魂を揺さぶる世界です。ハンバーガーヒルとかプラトーンのような名作映画が普及に一役買ったと言えます。

 装備は骨董品だが害獣駆除には十分。ということで小隊は行動を開始した。

 小高い山が見えました。王国軍第7山岳猟兵旅団第33大隊と35大隊が包囲している。

「巣穴は山中に在る。1、2班は正面から前進する間に3、4班は掩護する」

 先任に付けられた強面の井口さんが小隊長に代わって支持を伝えた。

 各班の間に王国軍の小隊が配置されている。言うなれば僕らは補強剤の様な物か。

「小隊長」

 井口さんに促され小隊長が解散の指示を出した。

 今回のクエストに先駆けてF-5戦闘機が対地支援の空爆をしてくれる。実際に空爆を見るのは初めてなので楽しみだ。あと僕達の武器に手榴弾が加わった。ミノタウロス相手で苦戦した為に支給される事になったそうで、上から会議で経費削減を言われている森永さんには気苦労が絶えないと同情した。

 僕は平社員なので仕入れ単価はよく知らない。だけど勝つ為の出費をけちって損害が増えればマイナスだとは知っている。

 ナパーム弾の爆撃で燃え上がる森の様子が空から見えた。イベントの始まり、始まり~。

 視界は良好、葉っぱの焼け落ちた木々で頭上を覆う物は少ない。とは言え森の中は敵のテリトリー。前回の教訓で、罠を警戒して進む。

「ゴブリン単体の力は弱いが数は多い。油断はするなよ」

 そう言いながら僕の額には緊張感からか汗が吹き出ていた。体が熱さを感じる。「はい班長」と班員も返事を返してくれた。

 僕の班は王国軍の小隊と小隊の間に位置しる。僕らの火力で援護するのが任務と言える。向こうの小隊長は打ち合わせの時に、足を引っ張るなと言ってきた。

 本当の事とは言え、もう少し言い方があるのに。豆腐なメンタルだと傷つきますよ。マジで。

「班長、あいつむかつきますね。戦闘始まったら射って良いですか?」

 ええ、ええ、その気持ちはわかります。

 高橋の言葉に僕も同感ですが班長の立場上同意できません。

「そう言うな。王国軍の山岳猟兵は山や森での戦闘に特化したエキスパートだ。僕らがしくじってもいざとなればカバーしてくれるらしい。まあ、だからと言って格好悪い所を見せられないけどな。僕らの行動が日本人に対する評価に繋がるからだ。ああいうのはまともに相手するなよ」

 今回の共同作戦は王国軍もかなりの兵隊を動員してるそうで、全員が友好的とはいかないし、それも仕方ない。

 群れは片っ端から爆撃されたので残りかすを僕達は掃除する。そう言う話になっている。IEDや地雷の恐れは無いけど、敵は弓で毒矢を飛ばしてきたり罠を仕掛けている場合がある。

 僕達は山の斜面を登る。1人当60発の弾が重い。これで森林限界となるほどの高所でないのが幸いだった。 

 掃討といえば大抵、包囲殲滅が基本。山岳地帯でもそれは変わらない。「PL1からPL2へ」と地図に記された線を進むだけだ。斜面の傾斜とか起伏を考えられているけど、歩きはきつい。

 ああ、足の裏が痛くて肩に喰い込むサスペンダーが痛い。長い一日が始まった。

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