ブリーフィング
基地に着いた時に残っていたのは最初の三分の二だった。大損害だと言っていい。
駐機場の所々に空いている場所がある。
キリタはまだだろうか、と考える。爆撃機のどれかに載っていたはずだ。
なんとなくだが、墜ちたな、という予感。
余り周りに気を配る余裕はなかったし、気を配ったところで何にもならないのだから仕方がない。
一番悲惨なのは燈京迎撃機型だろう。航続距離が短く、武装を余り詰めなかった。残っているのは数機だ。
だがこの後に恐らく爆撃任務がある。そうでなければ爆撃機隊まで移動させる必要がない。
大規模で、しかもかなり遠い。恐らく、東か、やや北。
パイロットの数もだいぶ減ってきた。機体も少しずつだが減ってきている。
ミカゴタラはもうすぐ仕掛けてくる。そういう噂は少し前から流れてきていた。タラマニアから軍が来る、という話もあったらしいが、今は聞かない。
レポートの提出は後になった。この鳳流になってから3か月ほど経っただろうか。
アウトラインを撫でる。冷たい感触が伝わってくる。
主翼を回って尾部まで回った。エンジンはほんの少しかぶっている感じがあった。
オイルがコンクリートに染みを作っている。
スピンナ。
カム・ヘッド。
捻じ曲がった流線状のプロぺラ。
オレンジ色の帯。
青灰色の塗装。鈍く光を攪拌している。
黒く塗装した部分。前考えた双三角形。わざわざ塗装していたのだろうかと思う。
向こうから整備士が駆け寄ってくる。
右手が反応しかける。振り向いて対向。
無愛想な顔の整備士が少し息を乱して言う。
「オペレーション・ルームに集合です」
「分かった」
それだけ返して司令棟に向かう。
ブリーフィングは簡単だった。出撃は明後日。予想より北。
暗くした部屋の中で、見慣れない参謀が低い声で話した。
暗号などを交換し、コードを確認した。
帰還時の手順なども説明される。だが交戦まで位置を確認し、其処から南西に向かって飛ぶ、という事と、海岸線をこえたら誘導電波が届く、という事だけだ。
二日後が待ち遠しい。




