離陸
鳳流モデル0,4に乗り込む。この仮想敵機はウェーヴ庚だ。プロネットは愛称+モデルa,aで表されるが、タラニアマは愛称+十干で表される。今はそれぞれ鳳流モデル3とウェーヴ壬が最新型だ。ウェーヴは主翼を短くして高速性を追求したのに対して鳳流は旋回性を重視した。同じ機体構成でも大分変わっている。鳳流は下向カナードにテーパーガル翼、斜めの双垂直尾翼が主翼の折れ目にあって主脚がぴったりと合って空気抵抗を減らしている。このため低速性能と旋回性がいい。搭裁量が少し少ないが実用レベルだ。ウェーヴはきつい後退翼にエックス字状に取り付けられたカナードとV字型の垂直尾翼が特徴だ。どれも後退角が強く薄い。ダイブ性能は世界一だ。
鳳流は制空戦闘機向けでウェーヴは迎撃機向きだ。戦闘機としては鳳流が強くスペックのみ見ればウェーヴが強い。
フラップダウン
「後方!」
「よし!」
キリタが返す。
エンジンスタータを起動させる。
機体下面の穴にスタータが差し込まれていればスイッチとスロットルとチョークで始動する。
前線基地でも装着さえしてくれればパイロットが始動出来るようにしたのだ。
「点火!」
がたがたといやな振動の後始動する
すばやく機器をチェック。
手を高く上げ、前方に振り下ろす。爆音で声が聞こえにくくなるのでここからは手かアイコンタクトだ。
キリタが機体右前方に走り出て紐を引っ張る。同時に紐につながれていた車輪止めが外れる。
ここら辺は長年の経験でやってるとしか思えない。下手をすればパンクする。
少ない人手で最大限の飛行機を飛ばすのは人口の少ないプロネットならではだ。
鳳流も同時期に開発された凰流より整備性が高い。凰流は迎撃戦闘機として活躍していたが今は引退した。鳳流で十分だからだ。
誘導路に付いた
『ガルヘ、自由離陸を許可する。』
滑走路に入る。
『離陸する』
そしてそのまま軸線をあわせスロットルを叩き込んだ。
フッと体が重くなり、振動が少なくなった。空気をつかんだ証拠だ。
そのまま操縦桿を僅かに前後させ浮き上がる。
フラップを上げ、脚を上げた。
そのまま水平飛行
高度をとらない。
前方に谷
その中に入り込んでいく。
緩やかに曲がる
フルスロットルのまま
遼機が高度を取っている。
谷の中心を流れる川が前方に滝となって現れる。
カナード下方開放、フラップを上に跳ね上げる。
垂直尾翼のラダーも一気に外側へ開く。
速度を代償に放り上げるようなスナップアップ。
すべての動きを解除する。
訓練空域に向かう