初めての通話
彼女と知り合ったキッカケは実はソーシャルゲーム。
今回はそのゲームについてのエピソードだ。
先に言っておくと、凰太はまぁまぁのゲーマーだ。
◯登場人物
凰太
39歳
さーちゃん
?歳
彼女と知り合ったキッカケ。その時やっていたソーシャルゲームの他チームのリーダーが彼女だった。
そのゲームは、複数人数のチームになっていて、チーム内でのやり取りはチャットでする仕様だ。自分の基地を強くしたり、兵隊を強くしたり、相手チームに攻められる時に上手く守れるように防衛施設の配置を考えたりする、かなり自由度の高いゲームだった。
個人個人がゲームスキルが高ければ問題ないのだが、どうしてもやり込み具合も様々だったり、ライトユーザーになると、そもそもゲームのやり方を知らないユーザーもいる。
「今から攻めるから、見といてね〜。行くよー」
相手陣地を攻撃する時に、同チームのプレイヤーはそれをライブで眺めることができる。見ながらチャットで応援を飛ばしたり、そういう仕様だ。
「その配置は甘いから、チャットに強めの配置貼り付けるから参考にして作ってねー」
とか、チームのみんなを教育だったり、引っ張っていくこともする。まぁ、そんなこともしながら、色々なユーザーと知り合っていくわけなんだが、たまに変なやつもチームにいたりする。具体的に言うと協調性のないプレイヤーだ。
そして、そういうヤツは急にどこかに行方不明になる。んで、その迷惑ユーザーが逃げた先のチームに…実は彼女がいたというオチである。あ、もちろんこの時点では彼女ではない。
迷惑ユーザーが逃げた先に、僕は一応リーダーとして、注意をしに訪問したわけだ。
「すみません、少しの間お世話になります」
あ、ちなみに僕のゲーム内のユーザー名は「ブラックジョーカー」だ。
「いらっしゃい、ゆっくりしてってね〜」
僕がその他チームに訪問した時に出迎えてくれたのが、彼女…ユーザー名は「さーちゃん」だった。
そして結局、逃げていった迷惑ユーザーは、すぐにどこかへまた逃亡していった。僕が訪問した理由はなくなってしまったわけだ。でも、いきなり戻ってしまうのも申し訳ないこともあり、そのチームの皆さんに来訪理由を伝える。
「実は…これこれこういう理由でして。遊びにきたわけではないんですよ。ホントすみません」
「うん、いいよ〜。せっかくだしゆっくりしてってね」
「あ…は、はい…」
という感じで、僕はそのままそのチームでしばらくお世話になることになってしまった。
ほんとに、たまたま来訪したチームだったんだけど、なんだか意外と居心地が良くて、普通にゆっくりしていた。
「めちゃくちゃ上手いじゃん!ステキ!」
そうなのだ。僕はお世辞に弱い。まぁこれはお世辞ではなかったみたいなんだけど。
でも、一応なのだが、このゲーム歴はかなりだったので、そこそこの腕前ではあった。ゲームが上手くても偉くもなんともないんだけど、そのゲーム内では多少チヤホヤされるということはあった。
まぁ、そんなこんなで僕はそのチームで数ヶ月の間お世話になる。なんというか、まぁまぁのゲーマーだった僕は、ほぼほぼゲームの世界の住人であった。
こうやってゲームの話しかしていない時点で、もうゲーマーだよな、完全に。ちなみにゲーム用のブログも書いていたぞ。
そんなゲーム三昧の毎日の俺に、転機が訪れる。
「ジョーカーくんの、声聞いてみたい」
え。声って。
「さーちゃん、電話ってこと?」
「うん」
この時は、まだあまり気づいてなかったんだが、さーちゃんはまぁまぁ思ったことを全部口にするタイプだった。
「え、別にいいけど…」
まぁまぁ、この頃にはゲーム内では仲良くなっていたので、普通にリアルの生活みたいな感じで、チャット内に書いていたりはしていた。ただ、直接話すというのは、もの凄く抵抗があった。簡単に言うとビビリなのである。
なんというか…ゲームの世界が、現実に出てきてしまうような怖さがあったのかもしれない。
まぁでも…たまたまスマホに入れていた、ほとんど使っていないような写真共有アプリの通話機能というのがあったので、それを利用して、初めてゲーム内の人と通話というのをすることになった。
「もしもし…?さーちゃん?」
「ジョーカーくん?」
一目惚れという言葉をご存知だろうか。
ひと目見た時から、恋をしてしまうという現象である。
俺は自分でもバカだと思う。現実でもなんでもない、ただのゲームの中の友達。
ただの友達であるさーちゃんの声を聞いた瞬間に、俺は恋に落ちてしまったのだ。
彼女「さーちゃん」と知り合い、ゲームを楽しむ凰太。
日々のゲームが凰太の楽しみだった。
さーちゃんの誘いで通話をした凰太は、さーちゃんの声に「ひと聞き惚れ」をしてしまう。




