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ep10 代替制度~優紀と修~

優紀と修の考えが共有され始めていくこの回

物語の雰囲気も恋愛物へ

登場人物。

有田 優紀 ありた ゆうき  高校1年生 実験の被験者

斎藤 修  さいとう しゅう 62歳   優紀に指示を出すお金持ちのバディ

園田 由美 そのだ ゆみ   高校1年生 修が心を寄せる少女、吹奏楽部

宇野 理沙 うの りさ    高校1年生 優紀に気がある少女、由美の友達、吹奏楽部

佐藤 春乃 さとう はるの  高校1年生 由美の友達のショートカットの女の子、吹奏楽部

纐纈 健人 こうけつ けんと 高校1年生 優紀と中学からの友達、野球部

小原 輪  こはら りん   高校1年生 優紀の友達、帰宅部

大槻 信之 おおつき のぶゆき高校1年生 理沙の事が好き、優紀の友達、帰宅部

今日は12月21日の日曜日。

「最悪とはどういう意味だ?」

優紀は焦る。呟いた言葉がバディに聞こえてしまったようだ。

「ごめんなさい。」

しかし、若干不服なのでそのままお願いをする。

「でも、空いてる日にアルバイトまでいれたら、僕の休む日がないです。」

ほとんど会話らしい会話をした事のないバディの返事を待ちながらすごすごと店の影に行く優紀。

「そうは言ってもなぁ、もし付き合う事になったらどうする?」

「デート代も男が出すとしたら結構かかるんだぞ。」

バディの言っている事はもっともだと思う。

そのデート代が好きな子に使われるなら我慢できるかもしれない。

けれど、自分の身体を酷使して好きじゃない相手とデートをしてアルバイト代を失っていくのは苦痛でしかない。

初めて文句を言ってしまった勢いからか優紀は前から思っていた疑問を聞いてみる事にした。

「それに何で園田さんなんですか?他に可愛い子いるじゃないですか。」

「宇野さんとか朝河さんとか…。」

言ってから自分の好みの女の子をバディに話してしまった事に気づく。

「何で由美の事が好きかって?そんなの優紀には関係ないだろう。」

俺の身体を使って恋愛しといて、関係ないってどういう事だよと怒りが沸いてくる。

「そうは言っても多少は自分のタイプじゃないとどうも気乗りがしなくて。」

お金で買われてる以上我慢してきたが本音が出てしまう。

「優紀、契約の事。忘れたのか?」

バディからの忠告のような声。

優紀はしまったと思い、再び「すいません。」と言うしかない。


修は悩む。

そもそもこの実験は少子高齢化対策として、高校生の恋愛を応援しようというもののはずだ。

しかし、現状はどうだろうか。

高校3年間、修が操作する優紀と由美は付き合う事ができるかもしれない。

けれどその後はどうだろうか、今の優紀の意見を聞く限り別れそうな気がしてならない。

それでも修にはこの高校生活の期間だけでも優紀を通して青春する権利はあるのだ。

その後の事など関係ないと思っていたが、そうもいくまいという気が起きてきた。

理沙に、朝河?といったか、クラスメイトの名簿にいた気はする。

優紀と相談してお互いが納得する形で進めれるようにするか、それとも今まで通り自分主導の元でいくか、今後の高校生活の大きな分岐点になる問題だ。


「あのぉ、今日はもう帰ってもいいでしょうか?」

考え込むバディに優紀は恐る恐る伺う。

「ああ、いいぞ。」

怒らせてしまったかもと心配だったが、直ぐに機嫌を戻してくれたようだ。

「あ、そういえば一つお願いしたいんですが」

歩きながら尋ねる。

「メッセージってバディの方に転送してもいいですか?そうしたらやり取りがスムーズにいくかもしれないですし。」

まぁ、そのくらいだったら問題ないし、今までやらなかったのが不思議だったかもしれない。

修も了承をする。

「じゃぁ、あとでアドレス送って下さい、転送かけるんで。」


修は優紀に自分のメッセージのアドレスを送る。

「届きました。家ついたら設定しときます。」

そう言う優紀の声。

朝河かどんな子だったかな、修は名簿一覧で確かめる事にする。

まぁ、今風の可愛らしい子という感じだが話した事もないせいか、いまいち感心が持てない。

クリスマスイブには由美を誘っている、大前提この日には由美に何らかのアクションをしなければいけないだろう。

しかし、このまま恋人関係になっても修の独りよがりの高校生活ゲームになりかねない。

じゃぁ、間を取って理沙か。

理沙とは確かに仲は深くなっていた。けれど少し前に信之がデートに誘うと言っていたばかりだ。あれからどうなったんだ?

喜んで話をしにこなかったって事は失敗したって事だろうか。

とりあえずはそれを確認しよう。


優紀が家に帰って少し待つと転送設定の連絡が来た。

だが、転送はできるにしてもこちらから知らない連絡先に送る事ができない。

優紀にアドレス帳を送らせる方法はあるが結局は優紀の携帯から発信しないとアドレス違いで不自然に思われるだろう。

仕方なく修は指示をする。

メッセージで信之に宇野さんをデートに誘うのは上手くいったか確認してみてくれ。

1時間後くらいには転送されたメールが修に届いた。

「残念。その日は予定があるからって断られたよ。」

と、連絡がきた。

いっその事、信之と理沙の関係が上手くいくようだったら諦めがつくと思ったが、そうはいかなかった。

優紀から「どんまい。」と返しとくように指示をして再び考える。

例えば、今から理沙にアプローチをするとしてもどうする。由美とデートしてから理沙に告白なんてしたらそれこそ周りからの目が冷ややかなものになるだろう。

そして由美が悲しむのも目に見えている。

しかし、由美とのデートをわざと失敗して落ち込んでいるふりをしながら理沙の懐に忍び込むという手段もあるのか。

いやいや、そもそもは誰の事が好きで、今後どうしていきたいのかが大事だ。

62歳の修は高校生の恋愛をその夜悩み続けた。

優紀と修の関係が変わり始める話となりました。

バディ主導のままで進めていいのか悩む修、今後どうなっていくのか注目です!

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