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父様視点・後




「ふむ……。レティシアは看破の瞳を持っているのか?」


「今は持っていないようです。10歳になるまではわかりませんが、私や兄様たちが看破の瞳を持っていることも知らないでしょうね。それで、どうするつもりですか?」


「……叔母上に頼もうと思う」


 ──そう。叔母上に頼むのが1番いいだろう。


「大叔母様ですか……それはいいですね。大叔母様でしたら、アレの泣き落としも効きませんし。場所は大叔母様たちが暮らしている領地の別邸ですか?」


「ああ。あの娘は贅沢が好きみたいだからな。別邸での暮らしは堪えるだろう」


「アレには耐えられないでしょうね。別邸は僻地にありますから。期間はどうしますか? 短期間だとあまり意味がないと思いますが」


「とりあえずは、ジュールが学園に入学するまでだ。それまでに叔母上に認められなければレティシアが学園に入学するまで延長する」


「短くて5年、長くて9年ですか。ふふ……アレがどうなるのか楽しみですね」


 ──実の妹をアレと呼ぶか……。名を呼ぶのも嫌だということだろう。

 そんな事を思いながら、楽しそうにするレイティアラを見る。


「楽しそうですね。少しは可哀想とか思わないんですか?」


 私と同じことを思っただろうエノックが問う。


「エノック。今回の件はアレの自業自得よ。アレの非常識な行動や虚言の被害を最も被っているのは紛れもなく私たち兄弟姉妹なのよ? とは言え、私は嫌われているから実際にはあまり被害はないけれど。大叔母様に託して少しでも良くなるのならそれに越したことはないわ」


 これにはエノックも言葉を詰まらせる。


「そうですが……」


「それにね?」


 すっと目を細めたレイティアラに見られたエノックは、思わずと言った感じで背筋を伸ばす。そんな彼を見てレイティアラは冷ややかに笑う。


「先に喧嘩を売ってきたのはアレなのよ? 私は懐に入れた相手には寛容だけど、敵には容赦しないの。実の妹だろうと関係ない。アレに対する今の評価はドン底なのよ。ただ血の繋がった人間。それ以上でも以下でもない。それに比べ、兄様たちやリシャールは別よ。ジュール兄様は、口は悪いし素っ気ないところもあるけど、意外にも私たちのことをよく見てる。イシュメルお兄様は押しに弱いところがあるけれど、ここぞという時は頼りになるのよ。何より優しい。リシャールは存在自体が尊い。ここまでくれば、兄様たちとアレのどちらを取るかなんて考えるまでもないでしょう?」


「お嬢様は旦那様に似てますね」


「そう? 親子なんだから似ていても可笑しくないでしょう?」


 確かにエノックの言う通り私の考え方に似ている。私も例え家族であっても敵なら絶対に容赦しないからな。兎も角、時間も遅いので会話の内容を他言しないように口止めし、レイティアラを部屋に帰えした。




 翌日、朝一番で通信用水晶を使って叔母上に連絡する。


「朝早くから申し訳ありません」


「構わないわ。どうしたの?」


「実は……」


 昨夜のことを簡単に叔母上に説明した。


「……話はわかったわ。あの()はいつか問題を起こすと思っていたけれど、まさか幼い弟を傷つけるようなことを言うなんて……」


「レティシアは何を考えているんじゃ!? リシャールがどれだけ傷ついたことか……」


 どうやら叔母上との会話を叔父上も聞いていたらしい。叔母上は嘆き、叔父上は激怒していた。


「再教育するのは構わないけれど、レティシアだけでいいの? レイティアラは大丈夫なの?」


「レイティアラは問題ありません。礼儀作法は文句なしに優秀で、座学はすでに教えることがないと家庭教師からの報告がありました」


「まあ! レイティアラは優秀なのね、よかったわ」


「それと2人の洗礼の儀の結果ですが……レイティアラは水晶が割れる程の膨大な魔力量を持つうえ、全属性に適性がありました」


「なんですって?!」「なんじゃと!?」


「それに関しては本人ときちんと話し合いましたのでご心配なく。レティシアは平均より少ない魔力量で風と地の適性持ちでした」


「わかったわ。レティシアは普通なのね」


「ええ。それでは、よろしくお願いします」


 ──レティシアのことはこれでいいだろう。もう叔母上に任せるしかない。


 それからレイティアラが領地へ戻るまでの間、これからのことを話し合った。魔力量に関しては、魔力制御を覚えることと魔力制御魔道具を着けることで話がついた。魔法に関しては魔法基礎学はすでに終えている為、これからは独学でというレイティアラの意思を尊重することにした。

 そうこうしてるうちに、子供たちが領地へ戻る日がやって来る。一言二言言葉を交わし、子供たちが乗る馬車を見送った。


 そう言えば、ここ数日子供たちが愛称で呼び合うようになっていた。


 ──今度、私も愛称で呼んでもいいか聞いてみるか。今回のようなことがなければ話すこともなかったが、これからはもう少し関わっていくとしよう。今まで避けられていると思っていたが、ただ時間が合わなかっただけのようだし、とりあえず手紙でも書いてみるか。これからはもう少し家族の時間を取るか。




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