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3話




 屋敷に戻って来てお昼を少し過ぎた時、外が騒がしくなった。


 ──父様が帰って来たのかな。




 部屋のドアがノックされ、返事をすると侍女が入ってくる。


「お嬢様、体調は如何(いかが)でしょうか?」


「大丈夫よ」


「旦那様が昼食後に執務室まで来るようにと」


「わかったわ。じゃあ、軽く何か持って来てくれる?」


「かしこまりました……それより、お嬢様」


「何?」


「そちらは一体……」


 侍女はそう言いながら、ソファで寛ぐイーリスとシロハナを見る。


「私の従魔よ。後で父様に報告と屋敷に置く許可をいただくわ」


「……左様ですか。お食事をお持ちします」


 そう言って侍女は退出した。あの様子だと私が嘘を吐いて外出したことに気づいたのだろう。まあ、私としては気づかれても問題ないが。



◇◇◇



 昼食を終え父様の執務室までやって来た。ちなみにイーリスとシロハナも連れている。


 コンコンコン。


「入れ」


「失礼します」


「少し待て……おい、それは何だ」


「従魔のイーリスとシロハナです」


「……兎に角、少し待て」


「はい」


 私が連れていたイーリスとシロハナのことを問いただすより、先に書類を片付けるようだ。


 クレセンティア公爵家の当主である父様、ゼルギウス・シュルテン・クレセンティア。白銀に煌めく髪と星空を切り取ったようなラピスラズリの宝石眼の超絶イケメン。


 ──今世の父は目の保養! これは推し確定では!? 国宝級の美貌じゃない?!


 ソファに座り父で癒されつつ、侍女が淹れたミルクティーを飲みながら書類が片付くのを待った。10分程して(ようや)く一区切りついたようで父様が顔を上げた。


「待たせたな。体調を崩したと聞いたが」


「ああ、それは嘘です」


「何故そんな嘘を?」


「説明が面倒だったので」


「……それで、それはなんだ」


「はい。午前中に街の外の森に行きテイムして来ました。なので屋敷に置く許可をください」


「……はぁ、いいだろう。面倒はきちんと見るんだぞ」


「もちろんです」


「本題に入る。洗礼の儀まで残り1週間だ。準備しておけ」


「あ~、わかりました。はっきり言って面倒なことこの上ないですが、仕方ないのでちゃんと準備しておきます」


「……お前、そのようにはっきりとものを言う奴だったか?」


「今までは言いたいことを言わなかっただけです。これからはこうなので慣れてください」


「……兎に角、準備を忘れるなよ」


「はい。では失礼します」



◇◇◇



 1週間後、洗礼の儀当日。

 この世界では7歳になると魔力量や魔法適性を調べるために教会で洗礼の儀を受ける。


「レイティアラ?」


「ん?」


「ぼーっとしてたみたいだけど大丈夫?」


「大丈夫よ、イシュメルお兄様」


「そっか、ならよかった」


 洗礼の儀は一般的に家族同伴で行われる。従って今この馬車には私の家族が勢揃いしている。


 ──親と一緒に来る人がほとんどらしいけど。


 私の目の前に座るのは次男のイシュメルお兄様。プラチナブロンドの髪にアウイナイトの瞳のおっとりした美少年。父様の次に推せる! その隣は私の双子の妹で次女のレティシア。金髪にプレナイトの瞳をした少女。さらにその隣は長男のジュール兄様でシルバーブロンドの髪にサファイアの瞳の少年。イシュメルお兄様程ではないが整った顔立ちをしている。ジュール兄様の前に座っているのは父様で、私と父様に挟まれているのが三男にして末っ子のリシャール。ホワイトブロンドの髪にカイヤナイトの瞳をした将来が楽しみな幼子。


 ちなみに私は月白の髪にラピスラズリの瞳をしており、瞳は父様の宝石眼程じゃないけど光の角度によっては金の粒が散らばったように見える。使用人たちからはレイティアラ様は綺麗系でレティシア様は可愛い系と言われる。


 家族仲は……なんと言うか複雑? 父様は公爵以外にも、このウーラノス帝国の帝国魔法騎士団・団長という役職に就いており屋敷を空けることが多いので関わることがあまりない。兄弟姉妹仲は少し複雑で私を含めて兄様たちもリシャールもレティシアとあまり関わらないようにしているからだ。つまり彼女は兄弟姉妹の中で孤立しているのだが彼女はそんなことを気にせず、時間があれば兄様たちの部屋に突撃していくし、虚言癖はあるしで、その行動が避けられる原因となっている。彼女以外は普通に仲が良いんだけどね。


 ──私はレティシアが嫌いだ。自分が中心じゃないと気が済まない性格らしい。彼女も私のことが嫌いみたいで私の所には来ないのが幸いかな。前回の突撃の時、ジュール兄様が遂にキレたんだよね。それ以降、兄様は口を利いてくれずリシャールはお気に入りの玩具を壊されて大泣きして以来、彼女が来ると乳母にしがみついて離れないんだとか。イシュメルお兄様は優しいから付き合ってるみたいだけど。


 ガタン。

 教会に着いたらしく馬車が止まる。

 馬車から降りると修道女に案内され教会に入る。ホールにはすでに多くの貴族たちが集まっていた。


 ──2大公爵家ともなると注目されるんだな~。しかもウチはみんな美形だからね。あの婦人も、あっちの令嬢も父様や兄様たちを見て顔を赤らめちゃってるし、令息たちも私やレティシアを見てぽーっとしてる。うえ~ヤダヤダ。こっち見んな。さっさと終われーーー!!!




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