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19話




「あー、アレか」


「状況はどうなってるの? 上手くいきそう?」


「親父は前向きに検討するって言ってた。向こうからしても他国と取引できるのは嬉しいみたいだ。ウチの国も本格的に外交を始めるみたいだから、母国の味を他国の人間にも味わってもらえるのなら、ぜひ取引したいって言ってたぞ。味噌と醤油、あとコメの仕入れは多分大丈夫だ」


「そう。ならよかった」


 カムロンに頼んだのは味噌と醤油、そしてコメの仕入れ。次のインスタント商品はインスタントの味噌汁を予定している。東大陸のさらに東の海にある孤島、雅ノ国(みやびのくに)。通称・東国。前世でいうところの日本のような国である。


 カムロンのフルネームは桐生(きりゅう)・カムロン・志希(しき)。彼はその東国の出身で、東国から行商に来ていたところをスカウトしたのだ。彼の容姿はこちらでは忌避されている父親譲りの黒髪にリムネ王国出身の母親譲りのヴァイオレットモルガナイトの瞳をしている。そして、彼の父親が東国で外務大臣のような職に就いているらしいので、現在東国との取引を進めてもらっているのだ。


「正式に取引が成立したら1度東国へ行ってみたいね」


「そん時は俺が案内するぜ」


「楽しみにしてる。じゃあ、次はアシェル」


「アタシの方もオーダーメイドの予約がかなり入ったわ。しばらくはこっちに集中することになるわね」


「その辺は特に問題はないでしょう。店の方も今日見た限りじゃ、従業員だけでもきちんと対応できてたから大丈夫だと思う。これなら私が店に出るのは1週間くらいでいいかもね」


「そうですね。本来レイラ様は店には出ないとのことだったのに……申し訳ありません」


「気にしないで」


 この男はユフェリ・ロメール。青紫の髪にアレキサンドライトの瞳をした優男。ロメール男爵家の三男である。彼の父、ロメール男爵はもともとは平民で金貸しをやっていたのが爵位を買い男爵になったのだ。しかし5年前に病気で亡くなってしまい、気の弱い長男が跡を継いだのだが彼は当主に向いていなかったうえ、長男が跡を継いでから次男が家の金を使い込み、終いには借金まで作ってしまった。借金は自分の名前でしていたので男爵家がとばっちりを受けることはなかったが、次男は借金を返せず強制労働で鉱山行きとなり男爵家も資金繰りが上手くいかなくなって途方に暮れていた。そこにに私が取引を持ち掛けた。


 ロメール男爵家の三男は人を使うのが上手い、という噂を聞いたことがあり調べてみたらそれは噂ではなく事実であった為、商会にスカウトするために取引を申し出た。男爵家に援助金の紅貸1枚、つまり1億ディネロをあげるからユフェリを私にくれと。私の言い方が悪かったらしくアシェルにお小言をもらったが、なんとか取引は成立した。


 ──まあ、あれだよね。金やるから弟をくれなんて言われたら、金で弟を買いたいって言ってるようなもんだよね。あと、貴族的な意味で言うと求婚を意味することになったりするんだよね。言葉が足りないってよく言われるけど、気をつけなきゃね。


「レイラは通信用魔道具も作りたいんだったわよね?」


「そう。今ある通信用水晶って持ち運ぶにしても邪魔になるでしょ? しかも、通信用水晶は基本的には貴族とか大商会とかが持つ物じゃない? 個人で連絡を取り合うには手紙しかないから時間がかかるし。だから個人でも持てる小型の通信用魔道具を作りたいんだよね」


 通信用水晶は兎に角お高いのだ。貴族は持っていると言ったが、所謂(いわゆる)貧乏貴族は持っていないし基本的に伯爵家以上じゃないと持っていない。だから基本的な連絡手段は手紙になるのだが、如何せん時間がかかるし途中で紛失してしまう恐れもある。だから小型の通信用魔道具、前世でのスマホみたいなのがあるとありがたいのだ。


 私は商会のことは基本的にアシェルに任せっきりになるし、店にはほとんど顔を出さないけれど連絡手段はほしい。ちょっとした時に連絡が取れるように。


 念話という手もあるが、これは双方が念話のスキルを持っていないと一方通行になってしまうので用件を伝えるだけなら使えるが、やり取りをするには向かない。


「どれくらいの種類を作るか決めてるの?」


「今考えているのは小型水晶と装身具型と携帯型かな」


「携帯型?」


「持ち運びやすいように長方形の薄い板みたいな形のやつを考えてる。装身具型は耳飾り、腕輪、首飾り、指輪、ブローチとかかな」


「ホントお嬢はよく考えつくな」


「それも天啓かしら」


「まあね」


 前世のことは話していない。ただ、前世の知識は天啓ということにしてある。


「あ、それとハンドクリームも作りたいし香水の種類も増やしたいんだよね」


「「「ハンドクリーム?」」」


「手荒れを防ぐためのクリーム。屋敷の下女たちが手荒れが酷いって嘆いててさ。ほら、下女って洗濯とかの水を使う仕事が多いし、厨房で皿洗いしてる人とかも手荒れに悩んでると思うんだよね」


「確かにそうですね」


 手が荒れたら軟膏を塗るのがこの世界での常識だけど、仕事中に塗ってもすぐに洗い流されてしまう。だから仕事終わりに塗るのだがそれだと治るらないのだそう。だからハンドクリーム!

 香水は基本的に薔薇の香りのものしかないのだ。だけど私は薔薇の香りはあまり好きではない。同じ考えの者は多く居ると思っている。




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