第十四問。。。。。。。。。オモカフェ
人には
誰しも、皆
決して思いだしたくもない過去
というものがあるだろう
だが、何かふとしたきっかけで、その苦々しい過去を
自ら
掘り起こしてしまう事がある
思いだしたくもない過去というものは
絶対に思いだしたくないと思いながらも
決して記憶から
完全に消し去る事は、非常に難しい代物である
だが今
その、思いだしたくもない過去から、決して逃げ出さずに、真っ向から、向き合って行こう
というコンセプトのカフェが出来た
利用には
まず、スマホから
数日前に、事前予約をする必要とある
予約の際には
そのトラウマを抱えるようになってしまった
時期
シチュエーション
原因
経過
などを、事細かに入力してゆく
これをする事により
またも、思いだしたくもない過去を
思いだしてしまい
そこから、カフェ利用の当日まで
実に
ハラハラドキドキ
そして、嫌な気持ちを引き摺りつつ
そして、なぜか
どこかしら、微かな
そして、仄かな
期待感すら、いだきつつ
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そして、迎えた当日
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いらっしゃいませ
ようこそ、とう
思いだしたくもない過去カフェへ
スタッフ一同
あなた様が
今一度
思いだしたくもない過去と
きちんと、向き合って頂けるよう
首を長くして
お待ち申し上げておりました
では、こちらへ
まず、そのトラウマになってしまった日に着ていた、こちらの服に着替えて頂きます
そして、こちらが
思いだしたくもない過去の、シチュエーションが、忠実に再現された
あなた様だけの、お部屋でございます
部屋の中には
思いだしたくもない過去を、彩る
思いだしたくもない品々が
所狭しと、並んでいます
季節
そして、時間設定も
すべて
その時のまま
途中
スタッフが
その時のシチュエーションのまま
お飲み物を持って
現れますが
どうか
心
毛羽立たせる事なく
とても
穏やかな気持ちで
その、お飲み物を召し上がり
心、落ち着かせください
そして
おもむろに
ゆっくりと
一体、なぜ
それが、起こってしまったのかという事を考えながら
有意義なお時間を
お過ごし下さい
思いだしたくもない
あの時の
カゼと、空気の匂いを感じながら
思いだしたくもない
数々の品々に
ひとつひとつ、触れながら
その
ひとつひとつを、撫でてゆき
ひとつひとつを、めでてゆく
ひとつを手に取っては
ひとつの想いを掘り起こし
しばし、そのトラウマに浸っては
その、ひとつをまた
元の場所に、戻してゆく
とても、とても
ながぁぁぁぁぁぁぁぁーーーい、時間を掛け
ひとつひとつの品々を
めで終わり
やがて、夕陽が沈む頃
部屋の壁に、手をやりながら
カーテンを開きつつ
今一度
その、思いだしたくもない過去が
一体、自分にとって、なんだったのかを
深く深く、考える
深く深く、考えて
そこから、また
少しの時間が流れたであろう
スタッフが、やって来て
お客様
そろそろお時間となりますので
最後に
こちらの風船を、お口にくわえて頂き
本日、味わって頂いた
思いだしたくもない過去、に
深く深く、想いを馳せながら
精一杯のチカラで
この、風船をふくらませ下さい
私わ
言われるがまま
大きく
大きく
深呼吸をし
風船を
精一杯のチカラで
ふくらませた
それは
大きく、大きく
も う、パンパンである
スタッフは、言う
今、ふくらませ頂いた、この風船は
お客様が、今この場で
お客様自身のチカラで
割ってしまう事も、可能です
また、割らずに
当店で、永遠に、お預かりする事も可能です
お客様わ
どうなさいますか
お客様わ
どちらを
選択なさいますか
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