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3 修行

 俺は一人、いつもの森の中を歩いている。


 一応、急かされてはいるのだが、こう静かなで薄暗い森を歩いていると

そんな焦ったりする感情は、生まれないのである。


 周りは木々に囲まれているが、その隙間を通り抜けて風が吹く。

気持ちいい。


 そういうわけで、少しばかり考えがまとまった。

いつからかは分からないが、魔法での実践を通して、

普段での練習、修行では身につかないような経験などを得るため。

といったところだろう。


 まったくもって余計なお世話だね。

今の俺の状況はあまりよくない。

何がというと、俺はある一系統の魔法を除いて、基本的に魔法が苦手なのだ。


「これはどうしたものかなぁ…。」


 どうにかして断る、あるいは言い逃れできないものか。

そんなことを考えているうちに、いつもの場所に近づいてきた。

どうも考え事をしていると時間はとても早く過ぎるよう、感じる。


「ん?遅いぞお!」


 そこは、俺がいつも魔法の修行つけてもらっている場所だ。

薄暗い森の中で、唯一木々が無い開けた場所。

一面さわやかな緑色の草原で、そよ風で草が波打つように揺れている。きれいだなぁ。


「寝坊までして修行にも遅れるとはどういうことだっ!」


「いや…ね。

こう爽やかな日ってのはなかなかないですよ?

こういう日は、感傷に浸りながらゆっくり歩くというのが


「何を言っているんだ。

感傷に浸れば魔法が上手くなるのか?

ゆっくり歩けば魔力が上がるのか?」


「ぁえ…ごもっともです。」


 ぐうの音も出ません。


「さっさと準備しろ。

基本からいくぞ。そこの石動かしてみろ。」


「へぇ。」


「なんだその返事は?

大丈夫か?生きてるか?」


 なんだ生きてるかって。

失礼にもほどがあるだろうが。

まぁ、少し俺の方も失礼だったのは認めよう。


 手を小石の方向に伸ばし、魔力を腕全体に集中…

しているに近しい『感覚』がめぐる。


 いい感じだ。

今日はうまくいきそうだ。






「ぜんっぜんダメだなァあお前え!!」


「んなこと言われてもぉお!」


 まぁ、そうですよね。

そんな簡単にはいかないですよね。

知ってました。確か師匠はそれをフラグとか言ってたっけ。


 すぐ横を見る。

横の方ではクレアが見事に風魔法によって小さい竜巻を生成していた。

すげぇなおい。


「クレアを見習え。」


「ごもっとも…」


 見習うよ。

目線を下に落とし、クレアに近づく。


「すげぇなお前。

どうやってそれやるんだ?」


「…」


 こちらを振り返って、しばらく無言で困った顔をした後、


「そうね。今日は魔力合成しやすいような天然の風が

吹いていることもあって、風力、風向を調整しやすいといった

要因が大きいのかもしれない。いや…それじゃ説明になっていない

かしら。もっと簡単に言うとね。そもそも風魔法はその土地や気候条件に

左右されやすくてとくにそこから生まれる異常性の魔力誤差による

過剰風速反応が


「もういい。よくわかった。」


「分かってないだろお前。」


 あれを理解できる方がおかしいでしょ。

というかクレア説明するの苦手じゃないか?

魔力ごさかんのうって、それ関係ある??


「もういいでしょ。

俺は魔法やらはクレアみたくできません。」


「はぁ…まったくお前は…」


 いくらでも落胆してください。

俺にはできないんですから。

クレアがいれば、なんとかなるよ。万事ね。


 そうこう練習している間に日が暮れてきた。

向こうの山の方に太陽が消えていって、あたりがオレンジ色に照らされる。


 ここからが俺の本領発揮。

夜の修行である。

俺は魔法が苦手だが、魔法全般が苦手ということではない。

魔法の中で唯一、得意とするものがある。


 ズバリ、『闇魔法』!!!

かっけぇえええ!!!!!


 よかったよ。本当に全部苦手じゃなくて。

もしそうだったら俺今頃、精神崩壊して引きこもっているだろうなぁ…

あぁ怖い。


 他がダメな分、俺は闇魔法を徹底的に鍛える。

これは自分の中での決心であり、同時に師匠との約束でもある。


「よおおおしいくぞぉおお!!」


 あ、ヤバい。

気が付いたら声出してた。

やっべぇ絶対変な声出した、だって師匠もクレアも変な顔してるもん

これはアレだ心配してる顔だやだもう恥ずかしい消えてなくなりたい。


続きが気になるのであれば、ブクマよろしくです!

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