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2 朝食

 濡れたままというのはさすがに気分が悪すぎる。

とりあえず外に出て、干してある服を取り着替える。


 布で必死に水分をとったつもりだが、

髪は乾かなかった。


「ただでさえ、寝癖がひどいのにびちょびちょとか地獄じゃないか。」

 

 ぶつぶつこぼしながら台所へと向かって歩きだした。




「おむ、、おいしい。

やっぱりギアの作るものは何でもおいしいなぁ!」


「…………」


「そりゃあ、よかったです。」


 本当によかったよ。

今日はほんの少しばかり、いつもの料理にアレンジを加えたからね。おほめに預かり光栄です。


 こっちの食べるときだけハイテンションなのは、

一応、俺が魔法を教わっている人である。

俺の誇るべき?師匠だ。

名前はマギアスというらしいが、「師匠」と呼んでいる。


 そんでもってこの無言でもくもくと食っているのが、

妹弟子のクレア。

いろいろと厄介なことがあって、俺の次に師匠の弟子になった。


 なんだこいつ。

あれだけ朝食を早く作れって言うから顔も洗わないで作ってやったのに、礼のひとつないのか。

まぁ水あびた時点で洗ったことにはなるのか。

そうじゃねぇよ。


 ちなみに俺の名前ギア。

師匠にもらった名なんだが、当の本人はそれ以来、あまりギアと呼ばないし、クレアにいたってはあまり話さない。

名前とは。 


「おいしいかい?クレアさん?」


 こうなったら、こいつにもおいしいと言わせたいものだ。

聞こえるように、やさしーく声をかける。


「………」


 ただ、ひたすらに食っているだけ。

少しの動作も確認できない。

どんだけ腹減ってんだよ。


「おい、お前ら。」


 師匠が声をかける。

するとクレアが食べるのを一時停止して、


「はい。」


「ちょっと待て。

なんで師匠には返事して俺は無視するんだよ。」


「まぁまぁ…いつものことだろ?」


 いつものことだが悲しいわ。

いつものことにしちゃいけないだろ。


 すると師匠がさらにハイテンションな空気をまとう。


「それより!

今からお前らに告知があるんだ!」


「はい?」


「なんすか?」


「お前たちも大分立派に成長してくれた。

私もとても嬉しいよ……」


 この人はいきなり何を言っているんだろうか。


「そこでだ、お前らにもそろそろこれを…」


 そう言って奥の机に手を伸ばし、

山積みになっている紙の束をあさる。


 しかし、何だ?

そんなあらたまって。


「まさか、卒業ですか?!」


「え」


 クレアが若干反応した。

珍しい。


「ちがーーう。

卒業させるほど成長はしていない。

お前はダメダメだ!!」


 あ、そうすか。

傷ついてないよ。ぜんぜん。まったく。 


「お前らにはな、

いくつかの仕事をこなしてもらうつもりだ。

ここに記載してあるようなことを修行の合間にやってもらう。」


 そう言っていくつかの紙を見せつけた。


 なになに、えーと…

なくしものを、探す…?

家をつぬるための材料探し?

天命竜の??討伐??ばっかじゃねぇの??


「まぁいわゆる、魔法⭐実践編だ。」


「待ってくださいよ。

そんなのめんど…あ、いや。

時間がないんじゃありませんか?!

ただでさえ…その…俺魔法苦手なのに?」


 自虐もいいところである。


「うるさいやつだな。

それはお前のせいだろ?

クレアはどうだ?」


「そういうことなら、私はやります。」


「よおし!

2対1で賛成だな。

それではいつもこ修行やるから、

さっさといつもの場所に来いよー。」


 元気よーく食堂を出る師匠。

元気そうでなにより…


「あぁもう、…」


 事態の展開に着いていけない。

完全に俺ひとり、おいてけぼり。


「それじゃあ私、先行くから。

早く着いてきてね。」


 いつの間に食べ終わったのか。

そう言い捨てて、消えるクレア。



 俺を思いやってくれる人はドコ?


 まぁいいや…

とりあえず今は何も考えず、さっさと食べよう。

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