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14 炎の中で

「助ける…あなたが…?」


「そう言ってんだろうが。

今から回復魔法使うからじっとしてろ。」


「え、、ちょっと…あなた魔法が使えるの?」


 きたーー!

もしかして魔法が使えないの、きみ!?

里の人間おろか普通の人間は魔法使えなかったりする!?

俺特殊能力者だったんですか!?ていう展開来いよ!


「何で先言わないの?」


 このクソガキ早く失せろ、みたいな目で見られた。

信じられないわこいつ…みたいな。


 やっぱ助けんのやめよっかなぁ。


「あぁーそりゃな。

こっちだって余裕あるわけじゃないんだ。

お前らが苦労する魔物を、俺ひとりで圧倒することができると思うか?」


「それは…無理ね。」


 いや無理って決めつけないでくれよ。

素だから余計傷つく。

もう少し俺のことを評価してくれてもいいんだぞ??


 だが無理と言われれば実際そうで、困る。


 実は俺が常用している魔法、闇魔法は、

師匠から外の人間には絶対に見せないようにと言われている。

理由はいくら尋ねても教えてくれなかったことから

何か、師匠でも言えない理由があるのだと推測できる。


 つまるところ、闇魔法なしでの救出、この森からの脱出。


 簡単なことではない。


「回復魔法が使えるなら、さっさとこの足直しなさいよ。」


「そんな簡単なもんじゃねぇよ…。」


 もう少し感動されてありがとうっとか抱きつかれるのを

期待していた。


「とりあえず、足さえ直りゃいいんだろ?」


「魔物が襲ってきたら対応できるの?」


「え、無理。」


「はあ?」


 信じられないこいつ、頭おかしいの!?

と目で訴えかけるのを今すぐやめろ。


 無理なもんは無理なのだ。

詠唱してる間は基本無防備。

もし戦闘するなら、すぐ近くに時間を稼いでくれる仲間が

必要になるだろう。


「あのさ…守ってくんね?」


「守る???」


「いや、知ってる?

魔法使いって基本近接ゴミなんだよ?

守ってもらわなくちゃ詠唱できねぇよ。」


 喋りながら魔法書を取り出し、

詠唱のページを開く。


「知らないわよ…

でも今あなたを守ることなんてできないわよ…」


「手は動かせるんだろ?」


「え…しびれてるんですけど…」


 えぇ…なにそれ。

俺の決意と英断を返せよ。

そこはいい感じに動かして動かせてなんぼだろ?

どうして現実はいつもこう手厳しいのだ。


「使えねぇなぁお前。」


「いやっあなたこそ使えないからっ!!」


「カサ…」


 え…カサ?

何か後ろの方から聞こえた気がしまっす。


「やだなぁ…カサッだなんて…冗談やめてよ…。」


「えぇ? そんなぁ俺じゃなくてお前だろお?

   冗談言うなよ?」


 俺がゆっくりと振り替えると、

紅い…目…が1.2.3.4.…


 ごめんなさいって言えば許してくれるかな?

それとも足を舐めればいいかな??


 ふざけんな。

どうにかしないと。

あいつらをつまり近づかせなきゃいいわけだろ?


「おいそのランプよこせ…」


 すぐ横で聞こえるように話す。

もちろん魔物には意味が理解できないだろうが、

挑発されたと一気に襲われる可能性がある。


「あるけど…どうするの?  ちょ…」


「貸せ。」


 彼女からランプをぶんどる…受けとると、

ふたをとって中身を俺たちの周りにばらまく。


 許してくれランプくん!

こうするしかないんだ!!


「何すんの!?明かりは大切でしょう!?」


「意味わからんこと言うな!

命と明かり、どっちが大切だ!?」


 それから慎重に手を伸ばし、液体に指を近づける。


 そうだ。近づかれなければいい。

俺が彼女を完治させるまで。


「ファイア」


 ただ地面に火をつけるよりかは、

はるかに勢いのある火がついた。


 何かに役立つと思って練習していた火をおこす魔法だ。

まぁ師匠はなんたらフレイムとか言って、火の玉を大量に降らせていたけどな。

あんなことはできん。


 これで魔物は侵入してこない、となれば…


「汝の命はここに、すべての命はここに。

生きとし生けるものが互いに傷つけ合うのならば、

それが生命というもの、そのものの性であろう。…」


 言っているうちに分かる。

これあれだ。くっそ長いやつだ。


 彼女におっせえ…みたいな目で見られてないだろうか。

心配になり振り向くと。


「あなたすごいわね!!

やっぱり本物の魔法使いなんだ!!」


 すっごいキラキラした目で見てくれています。

ありがとうっ 俺は今、泣きそうだっ!!


「互いを赦し、認め、そして癒し合えるよう…」


 魔法書の刻印の枠から、透き通るような黄色い光が

照らされる。


 まぶしっなんだこれ。

暗いのに目が慣れていたからキツイ…。


「危ない!上よ!!」


 …え?

やばい、対応できない。

まさか、あの高さの火を飛び越えてきたのか!?

そんなむちゃくちゃなっ!


 死ぬ?


「避けて!!!」


 鋭い声が聞こえてそれを脳が認識した瞬間、

体は反射的に、動いた。


「…!?」


 詠唱中なので何しやがる!?とは言えないが、

彼女は俺めがけて持っていたナイフをぶん投げたのだ。


「ドザッ!」


 後ろで何かが落ちる音が聞こえる。


 そういうことか、動かせるじゃねぇか。

おかげでこっちも助かったよ!


「すべての癒しはここに、

そしてあなたの体を癒すは我が心の光、フリエスロート。」


 刻印が一番の光を放った。 


「どうだ!?  足は、動くか…?」


 これでやっぱダメだとかになったら、

俺もやっぱダメになる。

とんでもなく魔力を持っていかれた…

どんだけ搾り取られるんだよ。かわいそう、俺。



 だが、彼女は確かめる様子もなくすっと立ち上がって、



「この通りよ、ありがとう。」



 今日初めての笑みを見せてくれた。


「そりゃ、よかった。」

ゴージ、ダツジ…

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