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依頼の答え合わせ⑥

わたしがやったことを聞いた唯ちゃんはすごく申し訳なさそうで、少し呆れてて、ほんのちょーっとだけ怒ってた


「…そう。やっぱり掌で踊らされていたってこと」


「そうなるねー」


自分のこと責めてるんだろーなー

でもわたし実行者だし、なにか言っても意味ないかなー


「その話しは終わり。お礼はアタシがする。良いでしょ?唯、天野くん」


一瞬なにか考えて、天野クンを見る

えぇ、そこで天野クン?


「嘘なんだもんね」


あ、ほんとーに全くしないんだ

この関係が変わんないなら別になんでも良いけどー


「怒らないで下さい。近い未来に予定がないだけで、何十年か後に役立つかもしれません」


「あっそ」


変な慰めっぽいなにかが妙にツボる…

わざとらしくプイっと顔をそむける唯ちゃんかっっっわいーーー!!!


「唯ちゃんは、わたしとデートしよー?」


「嫌」


えっ


「あの変なお店に連れて行く気でしょ」


なぁんだ、良かったー


紗矢とはもう遊ばないから

部活で必要なとき以外話しかけて来ないで


とか言われたら、わたし…

盗撮魔になるしかないよぉ!


「変じゃないよー!」


「それってその髪飾りのお店ですか?」


「そーだよー。天野クン知ってるのー?」


男の子なのに珍しー


「知りません」


バッサリ


「じゃーなんでー?」


「満月の別名は望月ですから」


「へっ?」


そーゆーことだけ知ってるんだ!

流石秀才クンは違うねー


「大人なんてだーいっ嫌い!みたいな顔して、顧問の先生もそうですけど、随分信頼しているんだなと」


クスクス笑う天野クンを呆然と見てしまった

でもそれは、わたしだけじゃーなかった


「あ、ひとりですみません」


「いや…部長さんって呼ばれていたから名前を覚えていないものとばかり思っていたから少し意外で」


「そうですか?「自分の世界は自分の手の届く範囲」ですから」


そーゆーコト

まーらしいっちゃーらしいけど


「え?なに?」


「分かんない」


「えへへー、今のはわたしとの秘密の会話だよー。ね?天野クン?」


「まぁそうです」


机に置かれたのは見覚えのある袋


「色々気付いたご褒美です」


「この袋…!やーっぱり知ってるんじゃんかー」


「え?ああ、このお店でしたか」


「へぇー?」


じーっと見ても無反応

ほんとーに知らなかったっぽい

なにも言わないってことは、わたしが言うの?

そこは開けて下さいって言うところじゃーないの?

まー良いけどー


「開けて良い?」


「どうぞ」


「へっ」


予想外な物の出現に変な声が出ちゃった


「えっと…グランドは土埃が舞いますし、流石にアクセサリを贈る仲ではないのでこれにしたんですが…」


「わ、分かってるよー!ばーかっ!」


咄嗟に思い付く悪口がこれだけなんて、動揺してるみたいで嫌!

すっごーーーーーく嫌!


「えぇ…」


でも一応色々含めて言っとかないと、ね


「まー、ありがと…」


「はい」


初めて見る爽やか笑顔

多分ほんとーの笑顔なんだと思う

でも作り物めいてて、なんか変


「今日はあのお店行かないから、デートしよーよ」


「遊ぶのは構わないけど…」


唯ちゃんがちらっと天野クンを見ると、軽く手を振られた

これはさっさと行かないと次の話しが始まんなくて帰れないからさっさと行ってくれって意味だねー


「唯ちゃん、だいじょーぶだよ」


お店を出ても不安そーな唯ちゃんに微笑む


「なにが?」


「わたし唯ちゃんたちと会うまで、捻くれてる自分が嫌いだった。天野クンもそーなんだよ」


「似た者同士は分かるんだ」


「んー、それはちょーっと違うかなぁ。自分のことを好きって言われて嬉しい人って、どこか一部分でも自分のことが好きな人なんだよ」


忘れもしない

忘れてって言われても忘れられない

もし魔法があったとして、忘却の魔法をかけられても覚えてる

あのときのこと


「唯ちゃんに好きって言ってもらったとき嬉しかった。だから気付いたの。わたしは捻くれてる自分が嫌いなんであって、それが全てじゃなかったんだって」


「ありがとう。でもそれで、なにが大丈夫なの?」


まーまー、急かさない、急かさない


「わたしと天野クンは確かに捻くれた部分の考え方は同じ。でもね、基本的な考えは伊月ちゃんと同じなの」


ピンと来てないなー


「だから唯ちゃんが心配するようなことは起こらないよーってこと」


「なにを心配していると思っているの?」


「だってさっきも、わたしが天野クンのこと好きになっちゃうんじゃないかーって心配してたでしょー?」


そんなことくらい一瞬で分かっちゃうもんねー


「小指の先くらいは」


「だから小指の先ほどの心配もいらないよー。多分天野クンに聞きたいことも大したことじゃーないよー」


「そんな心配そーな顔しないでよー。だいじょーぶ」


会ってからしか行動しなかったってのもあるけどー


「わたしたちには絶対に全く関係ないから」


「それって伊月にとっては大事なことだけど、私たちの関係は変わらないから大丈夫って意味?」


「そーだよ?さっきも伊月ちゃん言ってたでしょー。3人の中で隠し事はなしなんて思ってないって」


「うん」


「元々の性格ではあると思うけど、触れてほしくないことがあるから余計にってゆーのがあるんじゃーないかなーって思うんだー」


わたしにだって隠したいことくらいあるからねー

きっと無自覚だけど、唯ちゃんにだってあるよ


「だから「なにも」聞いちゃ駄目だよ?」


「分かった」


「よーし!じゃー行こー!」


ついて来てくれると思ったのに、立ち止まったまま

どーしたんだろ?


「紗矢」


「なぁに?唯ちゃん」


振り向く勇気がない

嫌いだって言われたらどーしよーって思っちゃう

ほんとーはそんなことないって分かってるはずなのに

言われるのが怖いから考えちゃう


「好きだよ。卒業しても友達でいられたら、とっても嬉しい」


――――――っ


「わたしも。唯ちゃんのこと、だーいすき」


振り返って抱き付いた

唯ちゃんは、しっかり受け止めてくれた

ずっとずーーーーと、大好きだよ、友達だよ

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