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依頼の答え合わせ⑤

読み通り

唯ちゃんならお礼をさせてって言うだろうと思った

ジュース1本じゃー割に合わない

かと言って適当なお願いを考えるのも面倒

そこで行き着く結果が、デートの練習に付き合わせる


そー思ったわたしは伊月ちゃんにこー言うんだ


わたしも詳しくは知らないんだけど、唯ちゃん後輩クンになにかお願いをしたらしくて

そのお礼がデートの練習なの

心配だから、尾行しよう?

あ、楽しんでないからね?絶対だよ


――と建前はここまで


わざと鉢合わせて話しをさせよーと思ってるのなんて、分かってるんだから

おみとーしなんだから

終わったことだし、知ってても知らなくてもどーでも良い

だけど知ってた方が良いって思っての優しさだってのは分かる

だから伊月ちゃんを連れ出して来てあげたのに!


「お待たせ」


「いいえ、今着いたところです」


嘘を吐かない!

わたしたちが見つけたのが18分前で、その頃には腰を落ち着かせてたんだから20分以上待ってるのに!


「そう、それなら良かった」


「私服だと雰囲気が違いますね。似合ってますよ」


そう!そこも問題なの!

唯ちゃんはフリルの付いた服なんて持ってない

妹ちゃんに借りたんだよ

そうまでしてお洒落して、どーゆーつもり!?


「そう?ありがとう。行こう」


照れた様子はなし

よし


「はい」


あ、歩き始めた

早く行かないと…って危ない!

唯ちゃんの手を掴んで引き留めてる

ちょっと!

わたしの唯ちゃんに~~~!


「なに?」


「お礼、なんだか忘れていませんか?」


「デートの「練習」でしょう?」


「デートって言ったら」


手を持ち変える


「こうですよ」


「なっ…!」


恋人繋ぎ…!

わた、わたしの、わたしの唯ちゃんに…


「紗矢、落ち着いて。ほどいてる」


「でも手は繋いでる!」


「聞こえるから静かに」


「恥ずかしくても、今日はこれです。大丈夫ですよ、誰も僕たちのことなんて気にしていません」


確かにそーだけど!

人は自分が思ってるより他人にきょーみなんて持たれない

だけど、そーゆー問題じゃない!


「あ、見つかった」


「えっ、ほんとーだ。慌てて柱に隠れてる。かっわいー。あ、顔覗かせたよ!」


「動物園にパンダ見に来たんじゃないんだから…」


「ねぇねぇ、伊月ちゃん、死角から声かけて驚かせようよ!」


「後ろから付いて行くから好きにして」


「部長さん、誰か見られたくない人がいるな…」


あ、天野クンその場に留まらせようとしてる

やーっぱり


「ゆーいちゃん」


「わっ!」


2階に行ったと思ったのかな?

驚いてる唯ちゃんもかわいー


「ぐ、偶然だね…。紗矢、伊月」


繋いだままの手をわざとちらりとだけ見ると、慌てて離した

からかっちゃおー


「もしかして、デートかなー?いつの間に彼氏なんて出来たのー?なんで教えてくれなかったのー?」


「これはデートの練習に付き合ってあげているだけだから!」


「なにそれー」


「紗矢、それくらいにしてあげなよ」


「でも、わたしの唯ちゃんがー」


「この間のお礼。違う?」


なにそれ

伊月ちゃん知ってたんだ

知っててアレ言ったんだ

なーんだ


「アタシは顧問に「明日ハプニングがある。それだけを予告しておく。乗り越えなさい」って言われただけだったから、なにがどうなってああなったのか、詳しくは知らない」


まー変化に弱い伊月ちゃんの成長を促すなら、良い機会だったかもねー

知ってればあんな風に対応出来るんだー

それなら大会はなーんで駄目なんだろーなー

大会なんてハプニングがあるに決まってるのにー


「手間かけさせたね」


「少し早起きしたくらいです」


肩をすくめて小さく笑っただけでなにも言わない伊月ちゃんに痺れを切らした唯ちゃんが訪ねる


「…聞かないの」


「聞かない。なにも言わないってことは秘密にしたいんでしょ?」


やっぱり伊月ちゃんだなぁ


「1年のときからずっと仲良し3人組でやってきたけど、アタシは3人の中に隠し事なし!なんて気持ちの悪いことを言うつもりはない」


「伊月ちゃん、やっぱり大好き!」


「分かったから抱き付かない。だけど紗矢、アンタは唯に言うことがあるはずだよ。唯がやろうとしていることを知って乗っ取ったことくらいは分かる」


乗っ取ったなんて人聞きの悪い言い方しないでよー

わたしは唯ちゃんの計画っぽいなにかを計画にしただけだよー


「えぇー、なんでー?」


「シューズがなくなる理由なんて確かに隠された以外には考えにくい。でも紗矢は言い切って、顧問に言うようにまで言った。だから」


「分かってて作戦に乗ってくれたんだー」


「アタシは及川のこと全然気付いてなかったからなにが起きるかは分からなかった」


気付いてないのはとーぜん知ってたよー

だって伊月ちゃん部員の名前ほとんど分かんないもんねー

天野クンと一緒

きょーみがなくて必要がないから覚えない


「でも出来るだけ誰も傷付かないように唯が一生懸命考えて、紗矢が多分仕込みまでしたその計画の歯車を演じなきゃと思って」


「伊月…」


「じゃあ今日はその話しを3人でしてもらうってことで、僕は帰りますね」


天野クンもブレないねー

嫌いじゃないけど、今回は駄目だよー?


「そういうわけにはいかない。約束は約束だから」


や、そーじゃない

当事者なんだから、だよー?

唯ちゃん、しっかりしてー


「唯ちゃーん、天野くんのそれ、多分ってゆーより絶対嘘だと思うよー?」


「そうなの?」


顔にそーですって書いてある

そーゆートコは可愛いんだけどねー


「天野?」


んー?

伊月ちゃん、名前に心当たりある感じ?

学年も違うのに珍しいこともあるねー


「先輩は自己紹介がまだでしたね、2年の天野明です」


「アンタが天野明?ふーん…、聞いてると思うけど一応。アタシは畑伊月。他に聞きたいこともあるし、付き合って。アンタだって当事者なんだから」


他に聞きたいこと…かぁ

元々知ってたのに顔を忘れてたか、探そうとしなかったかってことだよねー?

そんなの大した用じゃーないじゃん

つまんないの


「…分かりました」


天野クンも人の顔と名前覚えないタイプだけど、聞いた瞬間表情が微妙に変わった

もしかして苗字に心当たりがあるのかな

唯ちゃんと天野クンの話しはほとんど聞いてた

伊月ちゃんの名前は出てなかったし、わたしは苗字を言わなかった

天野クンは今初めて伊月ちゃんの苗字を聞いたはず


でも単に面倒だって思っただけの可能性もある

全く見当がつかずに怖いなーって思ったとか

天野クン、表情の変化が小さいから分かりやすいときじゃーないと表情から読み取るのは難しいんだよねー


まーわたしには関係ないかー

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