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作戦のお礼①

先輩3人の反応を見る限り、先輩3人が作戦を立てたけど顧問に踊らされてたって感じかな

でも色々と見つめ直すきっかけになったし、良いかな


先輩が本当は気遣いが出来て優しいこととか?

それ以上は心の中でも恥ずかしいし、なんか悔しいから言わないけど

忘れてたこと、思い出した


あと、天野のこと


あのとき天野が待ってたのはアタシだった

でも天野は他に待ってる人がいるけど来ないって言った

嘘を吐いてるなんて微塵も思わなかった


状況を全く知らないはずなのに、いじめだとはっきり言った

シューズを隠す相手のアドバイスが妙に具体的だった

そもそも、アタシがどうしたいのかも聞かずに仕返しをするという提案をした


天野はアタシのことなんてどうでも良くて、先輩にお願いされて断れない状況になったから引き受けただけ

先輩がアタシのいないところでアタシをなんて呼んでるのかは知らない

だけど天野がアタシの下の名前を覚えてたのは、多分覚えるように言われたからだと思う


「天野」


「なに?」


「この間、ありがとうね」


「…ううん、大したことはしていないよ」


ほら、この間

なんのことか分かってない

つまり、アタシのことなんて覚えてないってこと


「あれから紛失物はなくなった?」


…え?

覚えてる?


「うん」


「良かった。作戦通り出来たんだね」


「いや…大分聞いた作戦通りではなかったよ」


先輩と立てた計画通りだったかどうかは知らないけど


「あはは…ごめん」


「こっちこそごめん」


「なにが?」


なんでもないような顔で聞いてくる

嘘を吐いてるって知ってるのに、そんな風には見えない


「部長たちが巻き込んで」


「気付いたんだ」


あとから考えればってだけ

その場では気付かなかった


「あとからだけど。踊らされたよ」


「それは違うよ。放っておくことだって出来たのに、行動した。それは先輩の優しさ。それをそんな風に言っちゃいけない」


「部長だから放っておくわけにいかなかっただけだよ。それに仮にもエースだしね」


天野がじっとアタシの目を見る

ど、どうしたら良いんだろう


「僕が話したことがあるのは2人だけ」


2人?

てっきり部長とその仲良し2人の3人組だと思ってた


「2人とも誰だからって言わなかったよ。直接的ではないけどそう言ったのは、僕に協力を依頼した理由のときだけだよ」


じゃあ誰がターゲットになってても、あんなことをやったって言うの?

っていうか部長と誰と話したんだろう

あ、それは2択か

それより、天野に協力を依頼した理由なんて言ったんだろう


端から見て好きなのバレバレって言われたことあったけど、もしかしてだから天野に?

じゃあそう言ったの?

勝手に言っちゃったの?


「なんて言われたの?」


「協力者に僕を選んだ理由のこと?」


「うん」


言われてたらどうしよう

でも勝手にそんなの、普通ないよね

だったらなんて言うの?!


「分からないなら秘密」


「…え?」


「部長さんには聞けなかったけど、もうひとりの先輩はそう言ったよ」


「それで引き受けたの?」


「まぁその前に狸爺に売られた喧嘩買っちゃったからね」


それすらも先生は先回りってこと

全員が踊らされてたってことか


「そっか」


「どうして僕なんだと思う?」


名前呼ばないってことはもう覚えてないんでしょ


「分かんないなら秘密」


「またそれ?」


「またそれ」


ニッと笑ってみせる


「アタシも聞きたいことがある。自分が答えなかったんだから、答えなくても良い。だけど質問は聞いてくれる?」


「うん」


「もうひとりの先輩って、どっち?」


俯いてしまう

だけどこれは多分考えてるだけ

分かんない、言えない

そうならそうってハッキリ言うはずだから


「なにがあったか正確には分からないから言うべきか僕には分からない」


「それなら良い」


「でもそれは「どっち?」の2人ともの…なんだろう、正義感とか優しさとか、そういうものを無駄…とは言わないけれど、傷付ける…かな。そういうことになってしまうと思う」


天野にしては歯切れの悪い言い方


「シューズを隠してない方の先輩だよ。特徴的な髪飾りをしている先輩。確か望月先輩だったかな」


じゃあ畑先輩はなにも知らずにあんなことを言ったってこと?

人間が出来てる…のかな


それに部長に聞けなかったけど望月先輩には聞けたってことは別行動ってことになるよね

望月先輩がわざわざ行動したってこと?

冗談みたいな話し


っていうか天野、望月先輩の名前覚えてる

なんで?


「ところで、6月産まれなの?」


「へっ?そ、そうだけど…」


「じゃあ誕生日プレゼント。一先ずお疲れ様。大会も頑張ってね」


「あ、ありがとう…」


名前覚えてくれてるってこと?

やばい、むっちゃ嬉しい


「開けて良い?」


「うん」


なんだろう?

細長い感じ


「あ、天野…これって…」


「この間話したときに気になったんだ。綺麗な肌だから唇が荒れていると余計目立つよ。きっとグラウンドの砂が原因だろうから、部活の前にでも塗ってみて」


「ありがとう…。あのさ、天野には藪蛇な質問に聞こえるかもだけど…」


「なに?」


首を傾げる

やっぱり知らないんだ


「好きな人っている?」


「本当に藪蛇だね。いないよ」


「うん、そうだよね」


確認のためだよ

別にこれっぽっちも期待なんてしてない


「それどういう意味?」


「えっと…ほら、女子に誕生日プレゼントなんて、好きな子が知ったら誤解するでしょ?だから一応確認。でもいたらそんなことしないかって思って。心の声が出ちゃった。ごめん」


「気を遣ってくれたんだね、ありがとう」


「ううん、アタシの方こそ色々ありがとう」


天野はお礼とか面倒だよね

でもこれで終わりなんて嫌だな…


「どうしたの?」


「あの、大会…応援、来てくれる?」


「……僕なんかの応援で良ければ」


にこりと微笑むその笑顔は、明らかに偽物だった

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