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プロローグ
「ねえチナミ、『写真を撮ると魂が抜かれる』っていう迷信があるじゃない?」
「あるけど、それがどうかしたの?」
「ふと考えてみたのよ。その迷信が伝わってるのはなんでかな、って」
「またサエちゃんは唐突に妙なことを……でも、考えたことなかったけど確かに気になるかも。それで?」
「……やっぱりさ、それって実際にあったことなんじゃないかな? そうじゃなきゃ、こんな突飛な迷信なんて、誰も思いつかないよ」
「つまり、写真撮られて死んじゃった人がいるってこと?」
「うん。例えば、死ななくても死の一歩手前まで行っちゃったとか」
「例えば……そこで昔死んだ人に会えるとか」
「そうそう。もしくは……ここではないどこかの別世界、パラレルワールドが見えちゃったりとか、ね」
「ははは、さすがにその話は大げさだよ」
「でも、心霊写真なんかは実在するじゃない。それに、この可能性がゼロだと証明できる人は、誰もいないでしょ? だから、もしかするともしかするかもしれないってこと」
「…………」
「なーんて、ね」