表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

第一話 神崎レオ

『レオ!』


高いソプラノの声が俺の名前を呼んだ_

俺は緑色の原っぱの上で上半身だけ起き上がらせていた_

後ろを向くと俺の名前を呼んだと思われる女の子が手を振っていた_


見覚えがあるのに思い出せない_

知っているのに俺にはその子の顔が見えない_

視界に残像が映りこんでぐにゃりと歪む_

待ってくれ俺は、_

俺はその子の顔が見えないのに笑ってるような気がした_









気が付くと俺は倒れこんでいた_

耳には穏やかな声とギイギイと椅子が揺れる音_

頭にひどく残る頭痛に苛立ちが感じた_

ここはどこだ?_


「ここは?…」


頭痛をこらえて辺りを見回す_

真っ白な世界_

影さえも白色に塗りつぶされるような白しか存在しない空間_

身に覚えのない場所_

人はいないのだろうか?_



「起きましたか?」



突然、自分以外の声が響いた_

慌てて後ろを振り向けば、白いログチェアに座る優男_

その男は俺に穏やかな笑みを向けた_

何処か謎めいた男_

乾いた唇を開き、問う_



「……ここは、どこなんだ?」


「ここは…大切な『何かを』失った者がくる…空虚な空間です」



この男が何を言っているのか分からなかった_

話している事は分かる_

だけど…現実的にあり得ない_

ぐるぐると頭の中で彼の言葉が回る_



「混乱するのも分かります。ですが、じきに嫌でも分かります」


「?」



彼の顔が真剣なものに変わった_

なんだ、と思う前に足元にあった床がなくなる_



「!?」



浮遊感があり、そう俺は落ちていた_

自分の顔が青ざめていくのが嫌でもわかった_



「ちょっ!」



優男は落ちていく俺に相変わらずの柔らかな笑みを向ける_

何だって言うんだ―?

真っ白な空間から一変、真っ黒な_

長い長い浮遊感に吐き気と目眩を覚えた_

ただでさえ頭の中が混乱しているのに更に頭の中がごちゃ混ぜにされる_


そして地面に体が叩きつけられる_


そして次に目がおかしくなったのか、と疑問が浮かんでくる_

目に写る全ての情景が白、黒、白、黒_

起き上がって、辺りを見回す_

地面は砂漠のような砂、これは白_

空は太陽がない空、これは黒_


ここはどこだ、


無機質でただひたすら無の場所_

白い砂漠の地面を踏む_

地面の感触はやはり砂を踏んだような感触だった_

爪先に何かがあたり、飛ぶ_

砂に埋もれたそれを取り上げる_


「携帯…?」


白い砂を払う_

四角い液晶画面には暗い光が灯っていた_

旧型の黒いボディの携帯_最近では色々な携帯が発売されているが俺は今更新しくするのもどうかと思いずっとこれを使っていた_

そしたらアイツが――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



『今時そんな携帯持ってんのレオだけだよ』



今のは何だ?_

映像のようなものが頭の中を駆け抜けた_

アイツ?アイツって?携帯?俺は自分の名前しか知らなかったんじゃ?あの頭の中に駆け抜けた映像の女の子は?_

ぐるぐると頭の中に回る疑問_

だけれどこれは俺の…記憶だ_

パズルのピースを一つ埋めたような感覚_


彼女の顔を思い出す_

暖かい真昼の日差しのような笑顔_

いや、?俺は…彼女の顔が―わからない_

見えなかった、_

見えないのだ彼女の顔が靄がかかったように_

どうして俺が彼女が笑ってると思ったのかはわからない_

だけど笑っていたのだ_

そう、笑っていた_

確信と、胸の中に満たされる暖かさ_

右手で携帯を握り締める_


パソコンが起動されたような音が耳に入る_


振り替える_


そこには白い無機質な機械_


これは?_

長方形のような形のものが真ん中に地面にどっかりと埋まっており自分の身長の二倍はある全長_

そこから伸びる無数のチューブ_

チューブには色とりどりの色がついており、チューブの先には大中小の四角い液晶が爛々と光っていた_

こんなものは見た事がない_

いや、忘れているだけなのかもしれないが_

そして一つの液晶画面にと言う文字が浮かぶ_

そして瞬く間に無数の液晶に伝染するかのようにと言う文字が浮かぶ_チカチカ光る液晶画面_

そしてそれが一瞬でプツリと消えた_


疑問に思い、何かわからないものに近づく_

地面の感触を確かめ、近づく_

触れようとした瞬間、液晶画面が真っ赤になりと言う文字が浮かぶ_

いやな予感が胸に過る_

続いてサイレンのような音が辺りに鳴り響く_

思わず目と耳を塞ぐ_


鳴りおわる、俺はそっと目を開ける_


何ら変わらないモノクロの風景_


いや、?違和感_


背中に何かが突き抜ける_


じわり、脂汗が滲み出る_


視界には黒い何か_


冗談じゃない、本当に黒しかないのだ_

例えるならそう自分の影が普通に立っているのだ_

黒い何かはかろうじて人型だとわかる_

その黒い何かは口も鼻も髪も耳も腕も足も全部それが判断できない_

ただ目と思われるものが2つポッカリと開いていた_目と思われるものが爛々と赤色に光っており、俺を捕らえた_

その赤には充分過ぎる程の殺意があった_


初めまして…!相沢識と申します。

初めて書いた(投稿した)小説がこのモノクロセカイであります。

暇つぶしになれたら嬉しいです。

本文だけならまだしも後書きまで読んで頂きありがとうございます。

勿論、本文だけを読んで下さった皆様もありがとうございます。

次回更新は何時になるかわかりませんが、生ぬるい目で見守って下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ