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第9話

今日から新学期!




元々対立してた魔族と魔法族だけど、私と春稀があり付き合っていることも仲良くなっている。




私は女王。春稀は王。




なんかよくわかんない状態になってるけど仕方ない。




まぁそれで私の従者と春稀の側近も協力するようになった。




だから夏休みはみんな仲良くなろうってことで春稀と計画を立てて、8人で遊ぶことが多かったんだけど、それがほんとに楽しかった!




少し前なら魔族と遊ぶなんて有り得なかったこと。




でも今仲良くなってることが嬉しすぎる。




「凛、おはよ」




(かなで)、おはよ!」




奏って言うのはいつも魔法族に嫌味言ってきてた奴のことね。




あの頃のことが嘘みたいに今はこうやって仲がいい。




「奏、凛、おはよう」




そしていつものように3人が待っている。




「おはよう!」




とその時




「文化祭の売り上げ1位のクラス、“肉キング”の食事券もらえるらしいぞ!」




「うおおおおおお!」




「っしゃああああ!」




朝からうるさいです。




“肉キング”って言うのはちょっとお高めな焼肉のお店。




もうなんか店名からして変だと思う。




味はおいしいけど、そこまで嬉しくもない。




だったらケーキ買ってほしかったのに。




「よし!凛ちゃん!」




「へ?」




「今からメイドの特訓だ!」




「はぁ?」




「焼肉は君にかかっている!」





なんで私なの!?





「がんば、凛」





後ろから同情の視線が送られる。




おい、お前ら...。




「あ、そこの3人もだよ?篠崎吏人、篠崎斗真、本橋楓ちゃん」




一気に顔から血の気が引く3人。




いい気味よ。




「じゃあ今日の文化祭準備は、自分たちの担当の制作などが一段落したらメイドと執事の練習に付き合うということにします。いいですか?」




「いいでーす!」




ちょっと学級委員長。




オブラートに包んで勝手に話をまとめるなー!




そんな訳で今私はメイドの特訓中です。




「違うよ凛ちゃん!もっと顎引いて!そう、そのまま目あげて!上目遣いだよ上目遣い!違う違う!目だけあげるの!顔はあげない!」




私の周りにはたくさんの男子たち。




なんか目を光らせてて怖い。




「はい、じゃあいいよ。セリフ言ってみて」




「おかえりなさいませ、ご主人様...」





「もうちょっと高めの声で!自分は可愛いって思ってやってみて」




私を殺す気ですか?




可愛くないのに可愛いなんて思えないし。





「おかえりなさいませ、ご主人様...!」





「語尾にハートを付けるんだよ!」




どういうこと?




全く意味がわからない。




もう、いいや。




恥を捨ててメイドっぽくやればいいんだよね?




早く終わらせたいから頑張ろう...。




「おかえりなさいませ、ご主人様っ♡」




ついでにウインクもしてみた。




やっぱりきもかったよね?




場がシラケちゃったもん。




どうしよう...。





「やばい、俺。死ねる」





なんか意味不明なことを呟いたあと鼻血を出して倒れていく男子たち。




え、なになに!?





「うんいいよ。それをちゃんとやれば大丈夫!」





「あ、はい」




中心になって指導してくれてた男子にOK出して貰えた。




こんなの1日に何回もやんないといけないなんて...。




「凛ちゃん!俺と結婚してください!」





「俺を殺してください!」





起きた男子がまた意味不なことを言い始めた。





頭おかしくなっちゃったのかな...。





よくわからないお願いは丁重にお断りしました。




「凛~おつかれさま」




「づかれだ...」




「見えたわよ。最後のは破壊力抜群だった。さすが凛ね」




「あ゛あ゛あ゛もうやだ...」





「あ、見て見て。男子2人がしごかれてるよ」




「え?」




楓の指差す方向を見ると吏人と斗真が群がる女子に鍛えられていた。




「斗真様っ!もっと笑顔で!」




斗真は特に指導が飛んでる。




まぁ元々こんなことできるやつじゃないからね...。




そんな感じでそれからというもの地獄の毎日を送ることになってしまったのは言うまでもない。




やっと訪れた文化祭の日。




嬉しくてたまらないのは文化祭が楽しみなんじゃなくて、地獄の特訓から逃れられるから!




まぁ文化祭も楽しみではあるよ?




文化祭は今日と明日の2日間。




この熱気に包まれた学校意外と嫌いじゃないかも。




「凛ちゃん!がんばろうね!」




朝からあんまり話したことない人も含めていろんな人に声をかけられた。




こういうのもなんか嬉しい。




「1年3組、ファイアー!」




「「ファイアー!」」




みなさんノリノリです。




さて、働くとしますか!




私のシフトは今日の午前と明日の午前。




だから早速シフトが入っている。




「凛ちゃん、指名入りました!」




はやっ!




うぅ...緊張してきた...。




「おかえりなさいませ、ご主人様っ♡」




うん、出だしはいい感じだと思う。




「ご注文はいかがいたしますか?」




「ん~迷うな...」




「凛のおすすめはいちごパフェとハーブティーです♡」




「じゃあそれで」




「ありがとうございますっ♡」




お客さんが迷ってたら、1番高いのを頼ませるように指示されていた。




焼肉そんな食べたいの?




だんだん疲れてきた...。




でも今のところいい感じにはできてると思う。




「おかえりなさいませ、ご主人様っ♡」




「なにその格好。だめって言ったよな?しかもなにがおかえりなさいませ、ご主人様っ♡だよ」




「ひぃっ」




お怒りの春稀様、登場でございます。




どうしよう...。




「だって...」




「あとでお仕置きな」




「凛、ご愁傷さま」




お仕置き...!?




絶対やらかしたよ私...。




後ろから現れた春稀の側近蓮斗(れんと)には同情の視線を送られた。




だったら助けてよ...。




「ご、ご注文は何に...」




「ちゃんとやって。俺たちは客だから」





怖くて出来ないんだってば...。





「ご注文はいかがいたしますか?」




「凛」




「は?」




「ご注文は凛です」




「すみませんが、お客様。こちら非売品となっております」




救世主楓登場。




「本橋。お前か、凛にこんなことやらせたのは」




「違うわよ。見ればわかるでしょ?私だってやりたくないのにやらされてるの。魔族と魔法族は全員メイドか執事。怒るなら人間に怒って」




「しばいてやる」




「営業妨害よ。殺るなら終わったあとにして」




「わかった」




ねぇ、怖いよ2人とも...。




「終わったあとでもだめだから!ちょっと2人とも落ち着いて」





「うるさい蓮斗。私は落ち着いてるわ」




ちょっと私そろそろ他の接客しないと...。




ってことで逃げます!




「おい、凛!逃げたなあいつ...」




春稀の声は無視する。




あとが怖いけど...。




やっと午前中のシフトが終わった。




今から楓たちと文化祭を堪能しますっ!




「私、お腹空いた...。死にそう...」




「僕も!なんか食べたい」




「あ、私あれ食べる!クレープ!」




「バカ。ちゃんとご飯食べろ」




斗真に怒られた。




食べたかったのに。




「はい、クレープは後で。私焼きそば買ってこよーっと」




「あ、私も焼きそば食べる!」




結局は楓と同じ焼きそばになった。




「いらっしゃいませ〜!あ、女王様っ。お疲れ様でーす。何にしますか?」




「お疲れ様。焼きそば2個もらえる?」




「400円です。ありがとうございました!」




接客してたのは2年1組の魔族の女の子。




名前知らないけど...。




でもやっぱり魔族と仲良くなれた実感が湧いて嬉しいな。




「お待たせっ。あ、吏人と斗真たこ焼き買ったの?」




「そうだよ」




「ちょーだい」




「はい、あーん」




ぱくっ




「おいしい!」




「見て見て。あの人たち。カップルかな?」




「そうじゃない?いいな。美男美女じゃん」




「ね〜。お似合いだよね」




コソコソっと近くにいた女子が私たちのこと話しているのが聞こえてしまった。




「え、えぇ〜!なんで私たちがカップルだと思われたの?」




「そりゃあーんなんてしてたらそう思われるに決まってるでしょ。凛にとっちゃ普通なんだろうけど」




「なにそれ。そんなん知らないし」




「そんな慌てなくてもいいじゃん。僕たちお似合いだってよ?」




そ、そんなこと言われても困るよぉ...。





「吏人。あんま凛いじめんなよ。彼氏もちだぞ」




「わかってるって。いつも1番凛のこといじめてる人が何言ってんだか」





「あーもうあんたたちうっさいわね。そろそろ凛のおやつの時間だから付き合ってくるわ」




「出ましたおやつの時間。凛ちゃんなんちゃいでちゅか?」




「凛、3ちゃいでちゅ」




言った先から男子2人していじめてくんなぁ!





「もう凛で遊ぶのやめて。凛がおこちゃまなのは昔からでしょ?今更何言ってんのよ」




「凛ちゃんごめんねぇ...よしよし」




注意してる風に地味に1番酷いこと言ってくるのやめて楓。




あと吏人、いい加減うざい。




「3人ともうるさい!いいもん1人で買いに行くもん」




「大丈夫?着いていこうか?」





「いい加減にしろやぁ!」




私、ブチ切れ。




今糖分不足でイライラしてんだよ。




ちょっといけない魔法使っちゃったっ。




そのおかげでみんな怖がっちゃってクレープ奢ってもらいました♪




何したかって?




秘密に決まってるでしょ。




「おいひぃ~!」




「...」




「ねぇ何どうしたの」




「いやまさかここであれ使うなんて思わなかったから」




「もう別に良くない?魔族にも知られてるし人間にバレるわけでもないし」




「あの魔法久しぶりすぎていまだに寒気が止まらない...」




「恐るべし月華様...」




「3人が悪いんだから仕方ないでしょ」




「...」




また疲れきった顔で下向いちゃった。




そうそう、反省しなさい!




「みなさん、お疲れ様です!」




そこへ通りすがりの私の護衛3人組。




「龍と爽も執事だっけ?」




「うん。午前中でシフト終わったから真と合流したんだ」




「じゃあ私たちと同じシフトだったんだ」




「うん。ところでなんでそこの御三方は死んでいらっしゃるの?」




敬語とタメ語が混ざってよくわからないことになってる龍。




「あ、えーっとね私のこといじめたからだよ」




「うーわっ!月華様怖い!まさかあれやったんですか?」




「仕方ないでしょうるさい、真」





「俺もやられたらたまらないから黙っときまーす」




私は軽く真を睨んだ。




そのころ




「治癒」




「大丈夫ですか!?」




「治りましたか?」




「大丈夫よ。ありがとう」




2人はしっかり上司を救済していた。




そのおかげで3人はすっかり元気になったらしい。




「凛っ!」




あ...やばい、怒りのオーラを感じるような...。




逃げろ〜!




「あ、言い忘れてましたけどチョコ、口の周りについてますよー!」




真の最低な言葉を背に私は口周りを舐めながら3人から逃げる。




なんてデリカシーのないやつ...。




他の人だって誰か言ってくれれば良かったのに...。




「...く...」





ん?なんか後ろから聞こえたような気がする...。




「きゃっ!」




体が動かない...。




「おぉ!効いてる!」




魔法かけられたか...。




「不意打ちはずるい...。しかも3人でやってくるとかタチ悪すぎ!」




「さっきの凛の魔法はこんなもんじゃなかったでしょ?仕返しにもなってないわ」




「いいから解いて」




「解」




「ふぅ...。なんか久しぶりにちゃんと魔法使って疲れた...」




「なら使うなよ」




「私休憩してくる」




「話を聞け!」




斗真がなにやらうるさいけど私は近くのベンチへ向かう。




3人もなんだかんだ着いてきてる。



ピロロン




「誰の携帯?」




「音からして凛じゃない?」




「あ、私か」




早く休憩したかったのに。




「げっ」




「どうせ永野からでしょ?」




「うん...」




めんどくさい事になりそうな予感...。




〔春稀‥1年2組の出し物見に来て〕




「春稀のクラス見に来てだって」




「いいよ行こ」




〔凛..わかった。今行くね〕




どうせすぐ終わるだろうし、休憩はその後でもいっか。




「永野のクラスってなんだっけ?」




「わかんない」




「じゃあ探すしかないわね」




探すこと10分。




「あ、これだ」




「う、うそだ...」




入り口に看板が立てかけてある。




〖1年2組お化け屋敷〗




入れるわけないじゃん...。




「お化け屋敷だって。凛無理じゃん」





「大丈夫じゃない?所詮高校の文化祭だよ?」




「やだよぉ...」




「でも入んないと永野に怒られるわよ。さっきもやらかしちゃってるじゃない?」




「そうだった...」




「僕早く入りたーい!」




「凛、入れるの?」




「...入る」




「そう来なくっちゃ!しゅっぱーつ!」




ってわけでその後お金を払い、今お化け屋敷の中にいます。




「...ぅ...ふ...ぇ」




「何もう泣いてんのよ。まだなにも出てきてないよ?」




「暗いんだもん...」




なんか似たような会話こないだ遊園地でもした気がする...。




いやきっと気のせいだ。




「っ!?」




急に足を掴まれた。




「いやぁぁぁぁ!放してぇぇぇぇ!」




おばけさん、全然足放してくれません。




「ねぇ、お願い進めないんだけど」





おばけさんに懇願する私。




「やだ」




「は?」




まさかこの声は...。





「ほんとに放して春稀!」




「珍しく気づいたんだな」




「声でわかるもん。ねぇお願い無理早く出たいから放して」




「やだ」




「怖いんだってば...。っていうかなんでこんな暗いところで仕事してるの?春稀のかっこよさを出さないと意味ないじゃん!」




「可愛いこと言うなバカ。もう絶対放してやんねぇ」




「そこの2人。こんなところでイチャイチャすんのやめて。後ろの人来ちゃうから」




「チッ。凛、あとでな」





「がんばってね春稀!」





「ほんとに見てるだけでイライラする。この2人のイチャイチャを見せつけられるの」




「わかるわ、吏人」




「イチャイチャじゃなーいもん。ぎゃぁぁぁぁぁ!」





ここがお化け屋敷だってこと忘れてた。




私は大泣きでゴール。





「所詮高校の文化祭とか言ってたのに怖いじゃん!全然話が違う!」




「そんなん知らないわよ。もう終わったんだから良いでしょ?」




「...」




「ふくれっ面するなよ。フグみたいだぞ」




「斗真うるさい...」




今日は一段とうるさいことばかり言う3人。




文化祭でテンションが上がってるのかな。




「残り30分で本日の光葉高校文化祭は終了となります。ぜひ明日もお越しくださいませ」




そのとき突然の校内放送が流れた。




「もうそんな時間?早いね」




「そろそろクラスに帰ろっか」




文化祭1日目、いろいろあったけどあっという間に終わっちゃったな。




クラスに帰ると、もう明日の仕込みを始めていた。




バタバタッ




「今日の売り上げ、うちのクラスが1位だぞ!この調子で伸ばせ!」





そして担任が持ってきたいい知らせで歓喜に湧く私のクラス。




気がつけば明日も頑張ろうって思ってる自分がいた。




苦痛で仕方なかったはずなのに。




青春っていいな...。




前世はこんな生活考えられなかったから。




いつも私は1番上。




みんな慕ってくれるけどこうやって対等に接してくれる人なんていなかった。




だからこうやってみんなと一緒にがんばるのってすごく楽しい。




「私人間に生まれ変われて良かった」




「どうしたのよ急に」




「大好きだよ、ずっと一緒にいてね」




そう言ってらしくない笑顔で微笑んだ私を見て戸惑っていた3人。




わかってくれなくていいもん。




ただ言いたくなっただけだから。




戸惑い顔の3人に別れを告げ、私は春稀の元へ向かう。




送り迎えはぜーんぶ春稀の家がしてくれてるから。




「はる...きゃっ」




突然近くの木陰に連れ込まれた。




「おかえり、悪い子ちゃん」




「え、いや、あの...」




ドンッ




「っ!?」




目の前には春稀の顔。




後ろには校舎の壁、横には春稀の手があって逃げられない。




これって言わゆる壁ドンってやつ...?




「悪い子にはお仕置きが必要だな」




「何するの...?」




「凛からちゃんとしたキスして」




「む、無理...!」




「俺の言うこと聞かなかったのに?」




「あれはやらされたんだもん!」




「でもやったことには変わりないよね?」




その笑顔、怖いよぉ...。




「じゃ、じゃあ目瞑って」




「はい」




私は春稀の制服を掴み、顔を近づけていく。




胸がドクンドクンと音を立てるのをすごく感じる。




そして私は春稀の唇に口付けた。




そっと唇を離すと疲れがどっと押し寄せてきた。




「ま、前よりは長く出来たでしょ?」




「でも全然ちゃんとしたキスじゃないよ?」




「え!?」




「ほらもう1回」




一生懸命首を横に振った。




「しょうがないな」




そう言って今度は自分から顔を近づけてきた春稀。




反射的に目をつぶる。




え...?




何も起きない。




恐る恐る目を開けるとニヤッと笑った春稀。




「キスして欲しかったんだ?して欲しいならちゃんとお願いしないと。ね?」




最悪...。




「してほしいわけないでしょ!」




「素直じゃないなぁ...。ちゃんとお願いしたらしてあげるよ?」




「違うって言ってるでしょ!もういい私今日1人で帰るもん」




「そんな怒るなよ。ほら、送ってやるから」




「むぅ...」




結局送ってもらう私。




だって疲れたんだもん。




「凛?りーん?りーんちゃん?りー?あ、りーって可愛い。これからりーって呼ぼっと。りー拗ねないで」




むにむに




車の中でずっと私のほっぺを触りながら、名前を呼んでくる春稀。




ほんとにうるさい。




「りー」




「あーもううるさい!なんでも好きなように呼べば?」




「じゃありーも俺にあだ名つけて」




「はる」




「はる...はる...。りーとはるか...。うん、いい」




春稀はご満悦の様子。




「あ、ついた。じゃあね春稀」




「春稀じゃないだろ」




「うっ。はる...じゃあね」




自分で決めたけどやっぱり恥ずかしい...。




「じゃあな、りー」




呼ばれるのも今更恥ずかしくなってきた...。




そのうち慣れるかな...。




文化祭2日目です!




今日は午後から実行委員会がいろんなコンテストとかを開催するからメイド執事喫茶は午前中で終わりなんだって。




それで今私はメイド服に着替え中。




午前中にシフトが入ってるからね。




よし、着替え終わった。




みんなのところに行こっと。




「凛ちゃん入りまーす」




ここはドラマの撮影現場かっ!




あえてつっこまない。




だってみんなバタバタ忙しそうだし。




「あ、凛ちゃん!」




駆け寄ってきたのは同じくメイド姿の姉妹。




「お願いがあるんだけど」




「なに?」




「今日の午後のミスコンとファッションショー出てくれない?」




「絶対やだ」




「お願い!私実行委員会なんだけど凛ちゃんたちが来たら絶対盛り上がるんだもん。あと徠花様と翅様と朔夜様もなんとかして連れてきて欲しいの!」




「3人は連れて行ってもいいけど私は出ない」




「なんでも奢るから!」




「じゃあいいよ」




「え、いいの?」




「うん」




「やった〜!ありがとう凛ちゃん!」




「月華様って絶対将来詐欺に逢うタイプよね...」




咲希ちゃんが最後なんか言ってたけど聞こえなかった。




ほんとだよ?




き、聞こえてないフリしてるとかじゃないから。




「2人の財布が底をつくまでお菓子食べ尽くしてやるんだから」




「え?やめてやめて!私たちが貧乏になっちゃう...」




「最低な女王ね」




「出てあげるんだからそれくらいしなさい」




「はぁーい...」




これで私の文化祭後の至福は保証された。



ご機嫌な私は順調にお客さんを仕留めていく。




「ど、どうしたの?頭おかしくなったの?」




「んー?なにがー?」




「凛が...壊れたわ...」




って言われるくらい私はご機嫌だった。




かなりのお金を集めたと思う。




そして...




「お疲れ様」




「お疲れ!」




みんなが労いの言葉を掛け合いながら去っていく。




やっと終わった...。




「凛!お昼食べに行こ?」




「あ、吏人。お疲れ様。いいよ」




「あれ?凛が元に戻ってる」




「私、そんなにおかしかった...?」




「うん、相当おかしかった。まぁそれでお金集めたんだしいいじゃない」




「そうだよね、うん。忘れよう」




よし、忘れた。




「お昼ご飯だぁ!」




「わぁぁぁぁぁ!」




私と吏人はご飯目指してまっしぐらに走っていく。




後ろで楓と斗真が顔を見合わせてため息をついてたなんて私たちは知らない。




そして私たちは無事お昼ご飯をGETした。




「生徒のみなさんにお知らせします。各種コンテストに出場予定の方は会議室にお集まりください」




「コンテストだってさ。誰が出るのかな?」




「あ!そうだった。早く3人とも行くよ」




「どこに?」




「コンテスト」




「「はぁ?」」




「早く早く!」




私は強引に3人を引っ張って会議室へ向かう。




「ちょっと!私は行かないわよ」




「俺も行くわけないだろ」




「いいじゃんいいじゃん僕は行く!」




これはめんどくさくなりそう...。




ここは手っ取り早くいきましょ。




「転送」




小さい声で呪文を囁く。




誰もいないからバレてないはず。




「りーと、早く行こっ」




「あれ?2人は?」




「先行ったんじゃない?」




「そっか」




吏人...不審にも思わないの?




好都合だからいいけど。




2人にはあとで怒られそうだけど仕方ない。




スイーツを満喫するためだっ!




会議室に着くと2人は逃げられないようにがっちり捕まえられていた。




そして私をすごい勢いで睨みつけてくる。




目合わないように逃げよっ!




「城崎凛さんと篠崎吏人さんですね。こちらへどうぞ」




実行委員会の人に案内されてどこかへ行く。




「この中からファッションショーの服選んでください」




「わかりました」




どれにしようかな...。




え...?




えぇぇぇ?





なんでこんなに派手なやつとかしかないの...?




ここれ露出度高すぎる...。




え、着物...?




これは...ウエディングドレス!?




こんなの着せられるなんて聞いてない...。




トントン




「はい、どうぞ」




「凛ちゃん、決まった?」




入ってきたのは咲希ちゃん。




「ねぇ、これどういうこと!?なんでこんなのしかないわけ?」




「知らないわよ。私はこの企画衣装担当じゃないし」




「無理だよ。こんなの!」




「着ちゃえば大丈夫だって。メイド服だって着れたでしょ?」




「そうだけどさ...」




「私が一緒に選んであげる」




「うん...」




「これは?」




「だめ。露出度高すぎ」




「これは?」




「着物は重いからやだ」




「あ、いいのあった!」




「どれ?」




「この黒いドレス。月華様のドレスにちょっと似てる。ティアラとかしたら完璧」





「じゃあそれにする...」




「あとはどれにしようかな...」




「え?1着じゃないの?」




「あと2着くらいかな」




「聞いてないそんなの!」




「今言った」




意地悪...!




「これよくない?ウエディングドレス」




「もうなんでもいいや。勝手に選んで」




選ぶのもめんどくさい。




「決まった!あとのお楽しみね」




「はいはい」




月華っぽい服かぁ...。




昔つけてたティアラとか他の装飾品とかはもうとっくに焼けちゃったから似たような格好できるってちょっと嬉しいかも。




「準備できたよ。来て」




咲希ちゃんに着いていくと美男美女たちが集まっていた。




私、こんな人たちの中でやるの...?




まぁ引き立て役ってことでいっか...。




その後実行委員会から説明を受けた。




なんか歩いていって決めポーズもしないといけないんだって。




そんなのできるわけない。




みんなの真似すればいいのかな?




「りー」




「わぁっ!」




「なに驚いてんだよ。お前も出んの?」




現れたのは私の彼氏さん。




「うん。春稀も?」




「春稀じゃないだろ」




「は、はる...も?」




「おう」




「絶対ミスターコン優勝じゃん...」




「当たり前だろ」




「ナ、ナルシ...」




「んぁ?なんか言ったか?」




その笑顔...やめて...。




「い、いやなんも言ってないよ...!楽しみにしてるっ!じゃあね」




言いたいことは言ってそそくさと逃げた。




はるのファッションショーはほんとに楽しみ。




だってかっこいいもん。




「凛」




また誰かに呼ばれた。




うぅ...ちょっと寒気がする...。




恐る恐る振り向くと怒りのオーラを纏った2人。




「や、あの、お、おはようございます」




「いい加減にしろ。なんで俺がこんなのに出ないといけねえんだよ」




「私も。こんなの出る気ないから」




「お願いしますお願いします!私だって本当はあんな衣装着たくないもん」




「凛どんな衣装着るの?」





「月華みたいな衣装とあとはおまかせ。変なの選ばれてたらどうしよう...」




「あ、俺いいこと考えた。楓」




「いいわね。仕返しよ」




2人が何やら小さな声で話している。




なんだか嫌な予感が...。




「女子の控え室はこっち。行くわよ」




「う、うん」




何も起こりませんように...。




控え室に行くと楓は咲希ちゃんのところへ。




また耳元でこしょこしょと何かを話している。




「奇遇ですね徠花様。私も同じこと考えてました。もう用意してあります」




「さすが栞菜。あとはよろしくね」




「はい!」




何かが起こることはもう決定事項らしい。




「楓。なにする気なの?」




「内緒」




れっきとしたいじめだよこれ!




先生に言いつけてやる!




「プログラムNo.1篠崎吏人さん」




「あ、吏人だ!見に行こ!」




「いいわよ」




ファッションショー用に作られたロードを慣れた様子で歩いていく吏人。




最後はピースでウインク。




当然女子からの悲鳴はすさまじい。




「うわぁ...。吏人さすがって感じ...」




「ほんとにそうね。これならモデル顔負けだわ」




「プログラムNo.2...」




どんどんミスターコンが進んでいく。




きっとほとんどスカウトされた人しか出ていないんだと思う。




本物のファッションショーにしか見えないもん。




大体は魔族か魔法族だけどね...。




「プログラムNo.5篠崎斗真さん」




名前が呼ばれただけなのに女子から悲鳴が上がる。




「あいつほんとに出てくるのかな」




「あ、出てきたわよ」




「え!?」




気だるそうに歩いてくる斗真。




一応適当に決めて帰っていった。




「これでも様になるってすごいわ...」




「イケメンって何しても許される気がする」




「プログラムNo.6永野春稀さん」




「愛しの彼氏よ」




「うるさい」




楓を軽くあしらいつつも私はロードに目が釘付け。




そしてはるはいつものキラキラスマイルを貼り付けて入場。




投げキッスを落として帰っていった。




あんのくそ野郎!




女子に愛想振りまきやがって...!




「凛、イライラしてないで準備しに行くわよ」




「はーい...」




そして控え室で1着目を渡された。




「う、嘘でしょ...」




1着目はかなり肌がむき出しになったオフショルとほぼパンツ状態のショーパン。




あとは大きめなイヤリング。




あのメイド服よりも露出度高め。




「凛ちゃんがいいって言ったんだからね」




咲希ちゃんに爆弾を落とされ何も言えず、着替える羽目に。




「ちょっと楓見て。ひどくない?」




「...」




楓、私を見て絶句。





「ほらやっぱり変だよね!?なんでこんなの...」




「いや、さすが凛だなって。こんなのを着こなすなんてすごいわよ」




珍しく褒められた。




お世辞だろうけど少しは自信がついたかも...?





「凛1番らしいから早く行ってきなよ」





「1番!?あぁぁぁ!緊張してきた...」




「プログラムNo.1城崎凛さん」




「あ、やばい!呼ばれてる!」




急いでロードの入口に向かう。




!?




こんなに人に見られるの...?




だめだめ。




こういうときは見ないのが1番。





そうだ、決めポーズどうしよう...。




もう少しでついちゃう!




あ、前なんかで見たあのポーズにしよう...。




そして私は直前で思い浮かんだポーズをとった。




手で銃の形を作ってバキューン。




これ何で見たんだっけ...?




まぁいいや。




終わったし。




観客席からは歓声がうるさい。




どうせ私の次の人に向けたものでしょ。




私がまだここにいるうちにあげるのやめてほしい。




「お疲れ様。最高だった!」




戻るといろんな人に褒められた。




意外とちゃんとできてたのかも...。




「プログラムNo.3本橋楓さん」




お、楓だ!




大人っぽい格好の楓は目的地に着くとかけていたサングラスを取り、小さく微笑む。




これぞモデルって感じ。




嫌がってたくせに乗り気じゃん。




「楓!良かったよ!」




「ありがと。思ったより楽しかったわ」




「連れてきてあげて良かったでしょ?」




「でも許しはしてないよ?」




で、ですよね...。




「そういえば最後に1着目の衣装で全員並ぶんだって。その後2着目」




「そうなんだ。じゃあまだ着替えちゃいけないんだね」




「うん」




「最後のエントリーとなりますプログラムNo.10...」




「そろそろだね」




今私たちはロードに1列に並んで決めポーズ。




私はバキューンの姿勢のまま静止。




「こちらにいる全20名がミスター・ミスコン参加者となります。続いて2着目になりますので皆様もうしばらくお待ちください」




2着目...なんだろう...。




「凛ちゃん、はい」




渡されたのはあの月華のころと似た服。




「ほんとに似てるわね...。凛、よかったね」




「うん!」




張り切ってあの服に着替え、ティアラやマントや他の装飾品をつけていく。




あのころのものとは違うけど、全体的にすごく似ている。




あ、カラコン取っちゃおっと。




着替え室から出て控え室に向かう。




「ほんとに月華様だわ...」




「徠花!?」




そう言う楓も徠花の格好をしていた。




周りを見ると他の魔族や魔法族も昔の格好をしている。




多分着たんじゃなくてあのときの姿に自分で変えたんだろうけど。




私はいくら魔力があっても人間だからあの姿を取り戻すことは出来ないの。




あぁ...なんだか懐かしい。




魔族...あの姿だった頃は敵対していたのよね。




感慨に耽っていると歓声が聞こえてきた。




次はアナウンスなしでやってるのかな?




「月華様、見に行きましょう」




「そうね」




1番の翅もやっぱり昔の衣装に身を包んでいる。




緑がかった派手な軍服。




対して朔夜は青がかった軍服。




2人とも黒のマントをしている。




我が従者ながらかっこいいわ...。




そしてはる...魔王は黒い王子服のような格好に王冠、大きなマントをつけてご入場。




今までのキラキラスマイルを崩し、あのころの面影を纏っている。




反射的に1番前に陣取っていた魔族たちが跪いている。




他の人にとっちゃ異様だろうな。




男子が終わり、次は女子。




「月華様、いってらっしゃいませ」




「行ってくるわね」




ただ前を向いて目的地に向かって歩いていく。




黒に赤と白が混ざったふわふわの派手なロングドレスに大きなマント、ティアラやネックレスをつけている私。




こんなドレス今なら絶対着ないけどあの頃はこれが普通だった。




懐かしくてたまらない。




そして私は目的地に着くと真っ黒の長い髪を肩にサラッと流し、腰に手を当て、薄く微笑んだ。




凛のこと知ってる人にとって私らしくない姿だと思うけど、月華を知ってる人にとったらすごく私らしいんじゃないかな。




魔法族たちが涙を流し、私に跪いている。




近くにいた人がギョッとした表情になっているけど、今日はもういいや。




そして私はマントで身を翻し、去っていく。




「月華様!行かないでください!」




私の背中を見てあのときのことがフラッシュバックしたんだろう。




歓声に混じって悲痛な叫び声が聞こえてくる。




「告伝」




「(私はどこも行かないわよ?落ち着いて)」




小さな声で呪文を呟き、みんなを落ち着かせる。




それによって次第に収まっていった。




ごめんね、みんな。




ずっと辛い思いさせちゃってたよね...。




大丈夫よ、私はここにいる。




「徠花。頑張ってね」




「はい」




3番の徠花がロードへ出ていく。




反射でキラキラ光るレース生地のシンプルなエメラルドグリーンのドレスにマントという姿の徠花。




美しいという言葉以外思いつかないと思う。




徠花は会場を睨みつけるように見ると、踵を返して帰ってきた。




あれぞ魔法族にとって恐怖の徠花様。




わざとやったのね。




魔法族たちの顔が少し引きつった感じがした。




全てのプログラムが終わり、なぜか呼ばれた。




なんかグループで出ていくらしい。




最初のグループは魔王、奏、蓮斗。




魔王グループ。




きっと栞菜たちの策略だろうけど。




魔王を引き立てるように奏と蓮斗が立ち、ポーズをとる。




次は私たち。




私、徠花、翅、朔夜の4人。




さっきの3人の隣に並ぶ。




私は普通に片足体重で立つだけにしようとしたのに、徠花は私に向かって跪き、翅は私に抱きつき、朔夜は私の手にキス。




なんでこの格好!?




隣から視線を感じ、見るとはるが私のことを睨みつけてきていた。




いや私のせいじゃないし!




しかもさっきはるだって女子に愛想振りまいてたくせに...。




その気持ちを込めてはるを睨み返す。




この光景...。




あの頃をそのまま表していると思う。




つられて魔族や魔法族たちもそれぞれの王に向かって跪く。




他の人からの歓声は止まないものの不思議そうな顔している人も多い。




こんなことして大丈夫なの...?




全員がステージに並び終わり、やっとあの姿勢から解放された。




次で終わりだ...!




「これが3着目ね」




渡されたのはウエディングドレス。




「なんで私がウエディングドレス......?」




「さぁなんでだろうね?」




意味がわからない。




でもウエディングドレスなら露出度も高くないし、意外と楽かも。




着替え終わり、楓の所へ行くと私を見て意味深にニヤッと笑われた。




「え、なになに!?」




「なんでもないわよ」




さっきからみんな絶対何か隠してる...。




「私、疲れたから男子のはもう見なくていいや」




「え?見ないの?」




「うん」




「じゃあ私も見ない」




私も疲れたし...。









3着目は割とスムーズに進んだと思う。




私も無事出番は終わった。




「凛ちゃん、出て」




次は順番に1人ずつ出ていって最終的に全員で並ぶ感じらしい。




私は1番最初。




手にブーケを持ってロードを歩いていく。




1人で立って待っていると後ろから誰かが来た気配がした。




ヒョイッ




「きゃっ!」




突然ウエディングドレスごと誰かにお姫様抱っこされた。




「気分はどう?俺のお姫様」




「は、はる...!」




それはタキシード姿に身を包んだはる。




私、今大勢の前でお姫様抱っこされてる...!?




そして全員が集まるとはるは静かに私を下ろし、甘く口付けをしてきた。




「ん...」




こんなに見られてるのに...!




目で訴えかけると私から唇を離したはる。




「ブーケ投げて」




「え?」




「早く」




促されるがままに会場に向けてブーケを投げた。




一段と歓声は大きくなり、会場が湧く。




魔族、魔法族たちは私たち2人に向けて跪いている。




さっきのがあの頃を表しているならこれが今を表している。




幸せに満ちた今を。




「結婚おめでとう凛」




やっとミスター・ミスコンが全て終わり、今楓にいじめられている。




「結婚じゃないもん」




「まさか永野もあれだけやるとは思わなかった」




「え?知ってたの...?」




「さっきの仕返しよ」




「楓ひどい!ひどすぎる!」




「凛が先にやってきたんでしょ?」




「そ、そうだけど...」




「お互い様ってことでいいじゃない」




「でもさ...これは」




独り言をブツブツ呟いていたら完璧に無視された。




「プログラムNo.1...」




そのときコンテストの司会の声が聞こえてきた。




「あ、今はお笑いのコンテストだっけ?」




「見たい!行こ!」




そして楓と文化祭を思う存分堪能する。




この学校芸能事務所とか来たらスカウトする人たくさんいる気がするって思うくらいコンテストはすごかった。




そしてついに結果発表!




私はウエディングドレスを着て結果発表に向かった。




「コンテスト出場者の皆さんはステージにお上がりください」




実行委員会の人に促されステージへ。




「それでは結果発表をします」




みんなが緊張の面持ちで立っている。




一気に会場が静まりかえる。




「光葉高校文化祭ミスターコン優勝は永野春稀さんです!」




これは普通に予想通り。




さすがはる。




女子はやっぱり楓かな?




「ミスコン優勝は城崎凛さんです!」




しろさきりん...?




だれだろう...。




「城崎さん、前へお願いします」




「凛。早く出て」




「え?」




しろさきりん。




城崎凛。




わ、私!?




何かの手違いじゃないの?





「凛だから。ほら早く行って」




すごく嬉しいけどなんで私が選ばれたのか不思議でたまらない...。




もっと可愛い人いっぱいいたのに。



そのあとも他のコンテストの優勝者が読み上げられていく。




「最後になります。光葉高校文化祭ベストカップル賞は永野春稀さん、城崎凛さんです!」




なになに!?




そんなのあるの!?




「2人はコンテストには参加しませんでしたが、圧倒的な票数により、賞を差し上げます。おめでとうございます」




会場から歓声があがる。




「それでは2つの賞を受賞した2人に一言お願いしたいと思います」




一言...!?




なにそれ聞いてない!




「城崎さんからどうぞ」




しかも先!?




恐る恐るマイクに近づく。




「えーっと、すごく嬉しいです。ありがとうございます」




「終わりですか?」




「あ、はい」




だって言うこと思いつかないんだもん!




「永野さんどうぞ」




「俺もすごく嬉しいです。今日は俺たちの結婚式に立ち会ってくださりありがとうございました」




ちょっと待ってストーップ!




変なこと言わないで!




そしていきなりはるは暴れる私を抱き寄せた。




「1つ言っとくけどこれ俺のなんで絶対触んなよ?」





「きゃぁぁぁ!」




悲鳴と歓声が入りまじる。




恥ずかしいけど...





かっこいい。




恋愛なんてまるっきり興味なかった私。




ただ魔法族を守り、復讐を果たすことに燃えていた。




そんな私に新しい世界を教えてくれたはる。




元々敵対していたからって侮らないで。




私たちは誰よりも幸せになる。




だからまずはちゃんと伝えないとね。




私ははるの腕から抜け出すとマイクを掴み、声を張り上げる。









「はる!大好き!」




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