蝙蝠男による捕食者プレイ
今回のオマージュ作品
・バットマン
・プレデター
名前のみ
・ターミネーター2
・バイオハザード3、4
side:ジョン
僕の名前は『ジョン・コーナン』。十二歳だ。
…ああ、それにしてもついてないなぁ。ホワイトハウスの建物内の観覧に来てテロに遭遇するなんて…あり得ないだろう?
それに、天下のホワイトハウスだって云うのに、あっという間にテロリストに占拠され、僕達人質は銃を向けられたまましゃがみ込むしかないなんて、この国のはもう終わりじゃないか?
ヒュン―
…と、怒りと恐怖がごちゃ混ぜの中、“何か”が窓の外を横切った気がした。
なんだ今のは?風景が動いた?なんだそりゃ?でも、確かに何かが動いた?
ヒュン―
また!?また横切った!今度はちゃんと見てたけど、それでも実像は掴めなかった。ただ、あの大きさではあり得ない程の速さだった。
部屋に人質は僕を含めて十数人。武装したテロリストは四人。とてもじゃないが一般人ではどうしようもない状況だけど、僕の中の不安は、不思議とあの透明な影を見てから小さくなっていった。
そして…
ガシャーン!!
窓を突き破ると共に、その大きな影が侵入してきたのだ。
そこからは一瞬の出来事だった。
姿を現した大きな影は、全身黒のボディースーツに身を包んだ…まるでバット○ンだった。
バッ○マンは着地と同時にテロリストの一人に掌を向けると、テロリストの頭が破裂した。
残りのテロリストは明らかに動揺しながら、バッ○マンに銃口を向けるが、そこには既に誰もいない。
すると、バット○ンはテロリストの一人の背後に現れた。それと同時にそのテロリストは血を吐き出して仰向けに倒れた。
改めて、バッ○マンの姿を見る。
真っ黒なボディースーツにマント。顔も目元が隠れている。ほぼバットマンだ。
テロリスト二人が叫びながらバット○ンにマシンガンを撃ちまくる。…だけど、ああ、僕は夢でも見てるのかな?いや、これは最初から映画の撮影だったんだ!じゃなきゃ説明出来ない!
テロリストから放たれた全ての弾丸を、バッ○マンは高速で手を動かして………掴み取ったのだ。
「ひっ、ひいぃぃぃぃっ!!!」
「バ、化け物だあぁぁっ!!!」
「なんでバット○ンがあぁっ!」
発狂するテロリストに、バッ○マンが指で弾丸を弾くと、テロリスト二人は脳天を撃ち抜かれて絶命した。
テロリストは全滅した。
でも、僕を含めこの場にいる人質は誰も動く事が出来ない。テロに遭遇する事自体があり得ない出来事なのに、それ以上にあり得ない出来事が起きたのだから。
何より、このバット○ンは敵なのか?味方なのか?
バッ○マンは人質全員を見渡し、誰も怪我をしていない事を確認すると、何も言わずに窓から出て行ってしまった。
後日、僕はバット○ンの動きに憧れ、近所のニンジャスクールに通う事になるのだが、そのスクールには本物のニンジャを見た事も無いであろうインチキ講師しかおらず、僕はスクールを三日で辞める事になったんだ…。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
side:テロリスト・ニコライ
「下の階で何があった!?」
激しい銃声が下から聞こえた。下では人質を捕らえていたハズ。まさか、警察か軍が強行突破して来たのか?
…いや、そんな事がある訳が無い。この国の世論は人質の人命第一だからな。強行突破なんぞしようものならメディアに袋叩きだ。
俺の名は『ニコライ』。今回のテログループの実質ナンバー2だ。
計画は順調。このまま行けば、あと数分で目的が達成出来るだろう。…なのに、なんで俺は今、こんなに不安なんだ?
「おい、お前ら、様子を見て来い!」
指示を出し、二人程様子を見に行かせる。何にしても、何かがあった事は間違いない。まぁ、馬鹿な人質が暴れたんだろうが。
「……………なんだ?」
二人が階段を降りて行った方からドサッと倒れる音がした。しかも二回。
警戒しながら音がした階段に近寄る。そこには、先程指示を出した二人が倒れていた。
…………死んでる。なんだ?どうなってる?なんで二人同時に死んでる?
銃声は無かった。なら刃物?いや、二人から大きな出血は見られない…が、二人共に口から血反吐を吐いていた。
背筋が凍る…。
俺は、これでも幾多の戦場を経験してきた。その俺が、この得体の知れない出来事に恐怖を覚えている?
この作戦は、大統領直属のシークレットサービスのボス・『マーカス・レイモンド』の手引きで計画されたテロだ。
ここまでは概ね上手く行ってたし、ミッションコンプリートも時間の問題だと思っていた。
なのに、ここに来て急に不安が…いや、恐怖を覚えてる。俺達は、何かとんでもないモノを、敵に回してしまったんじゃないか?
ヒュン―
!?…ふと、頭上を何かが通り過ぎた気がした。
銃を構えて辺りを見渡す。人の気配は無い。…無いのに、なんで不安ばかり大きくなるんだ!?
俺の、第六感が警鐘を鳴らしている。…ヤバイ。俺は今、追い詰められてる?
ヒュン―
また、何かが横切った。…透明な…影?
「何者だ…姿を現せ…」
次の瞬間、俺の脳天に刃物が刺さった。…嘘だろ?誰もいねぇじゃねえかよ?
薄れ行く意識の中で、ぼんやりと、黒い影が姿を表した。真っ黒な衣装に身を包んだ人影…バット○ンか?
まさか、バッ○マンが実在したなんて…。
そして、そのバット○ンは、俺には興味を無くした様に歩き去って行った…。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
side:シークレットサービス、リオン・S・レーガン
「はぁ、はぁ、はぁ…クソッ!」
なんて事だ。今日は久々の休暇だってのに忘れ物をしてホワイトハウス敷地内にある事務所に立ち寄ってみれば、ホワイトハウスでテロが起こるなんて。
俺の仕事は大統領を守る事だ。休暇などと言ってられる場合じゃ無い。
単身ホワイトハウスに潜入した俺は、何人かのテロリストの撃退に成功した。だが、現在俺は絶対絶命のピンチを迎えている。
俺はテーブルの下に身を隠しているんだが、少なくとも三人、俺を探す為テロリストが部屋の中を探している。見付かるのは時間の問題だろう。
俺が持ってるのは、既に弾の切れた拳銃のみ。せめて休暇じゃなければナイフ位持ち歩いていただろうが…クソッ!
「出てこいよ、お前はもう終わ…グハァッ!」
?声と共に、ドサッと人が倒れる音がした。すると、テロリストが驚いた様に叫んでいる。
「ガハァッ!」
「ゴハァッ!」
そしてまた、人が倒れる音が二つ。
何がどうなってるんだ?
俺は訳が分からずテーブルの下で身を潜めていた。
「!?」
いつからいたのか?目の前には、身を屈めて俺を覗き込む、バッ○マンがいた。
声にならない。この感覚は恐怖?驚き?とにかく、目の前にいるバッ○マンには、俺は絶対に勝てないだろう事だけは理解出来た。
「…大統領はどこにいる?」
「…知ってどうする?」
心臓が破裂しそうな程激しく動いている。でも、このバッ○マンが敵なのか味方なのかまだ分からない。だから、俺は聞かれた問いに答えなかった。…涙が出る程ビビってるって云うのに。
「安心しろ。助けに来ただけだ。」
…心の中で、ホッとしている自分がいた。このバット○ンは敵じゃない。それが分かっただけで、俺は死ぬ程安心してしまったのだ。
「…悪いが、俺も探してたんだ。大統領の居場所は分からない」
「…そうか。テロリストは大体片付けた。お前も早く避難しろ」
そう言って、バッ○マンはその場で姿を消した。
俺が見ていたのは幻か?いや、違う。それにしても、バッ○マンって?なんでバット○ン?あまりに現実味が無い。でも、彼がいるなら、もう俺の出番は無いだろう。
休暇返上で死地に乗り込む覚悟だったってのに、結局俺は役立たずか…。
「……泣けるぜ」