急襲・総理大臣官邸
今回のオマージュ作品
・グラップラー刃牙
世界で最も権威のある国と言えば、まぁ殆んどの人がアメリカ合衆国と答えるだろう。勇○郎先生は、そのアメリカと云う“国”と、“個人”で友好条約を結んでいる。
これは、アメリカ合衆国という国でさえ彼の行動には基本的に不可侵だという事だ。弊害として、全ての行動、24時間365日、米軍の偵察衛星によって監視されるって云う難点はあるが、俺もそうなりたい。4km/h以上の速さで動いて衛星の緊急作動によって世界中のカーナビに送られてくる情報を70mずらしてやりたい。そして、大統領が変わる度に、時の大統領に宣誓文を読ませたい!
俺にはその力がある!一国と戦争しても勝ち抜く事が可能な程に磨き上げた力が!広範囲を殲滅するような大規模魔法とかは使えないけどね。
さあ行こう。何物にも縛られない生活を手に入れる為に、勇○郎先生の様な圧倒的な強さと強烈なエゴイズムを以ち、各国に警戒される程の社会的な影響力を手に入れに!
―総理大臣官邸前
やって来ました総理大臣官邸!オーガと云えばやっぱりここだ。…本当はアメリカに行こうと考えていたんだが、やっぱ故郷は日本だし、先ずは日本から地盤を固めようかなと。
で、何をするかと云えば、自分の力を誇示する為だけに国のトップを道具にするのだ!その上、上手く交渉すれば俺の望むもの…誰にも邪魔されない権力を手に入れる事も可能だろう。そう、たった一人の人間でも、その暴力を極めれば国家にすら対抗し得るという事実を、この国のトップに知らしめるのだ!
今、総理大臣が此処に居る事は調べがついている。どうやったかは秘密だがな。
門前には四名のSPらしき人物。まずは彼らに挨拶しておくか。
官邸の入り口に向かって歩く。すると、
「止まれ」
SPが俺を止めた。まあ、明らかに不審者だろうし。さ~て、ここからが勇〇郎タイムのスタートだ!
「いるかい?内閣総理大臣」
「ど…どういったご用件でしょうか…?」
軽い威圧を放っただけなのに、SPは少し怯んだ。
「ああ、ちょっと”ぶち殺し”に来たんだよ」
「…?ちょっとこっち来て…!?」
頭がおかしいのかと、俺に近づいて来て肩を掴んだSPに、足を掛けて転倒させる。頭から地面に突っ込んだSPはあっさりと気絶してしまった。
「アッレ~?ど~うしたのかな~?一人でこけたりして」
「な、何者だ!!」
残り三名のSPが銃を構えるが、銃弾をかわす事など容易な俺は恐れる事無くARWCを用い、全員を気絶させた。
…あれ?全員倒しちゃったな。これじゃ俺の圧倒的暴力を知らしめるには弱いんじゃないか?原作では確か最初から機動隊に囲まれてた気がするんだけど、考えてみたら常時機動隊がスタンバってるなんて訳が無い。
何かが原作とは違うんだろうけど…異世界での時間も踏まえると原作読んだのが昔の事過ぎて覚えてねーや。
仕方ないからそのまま総理官邸に侵入する。中にいたお手伝いさんらしき人は、外で何があったのか知らないものの、サングラスを掛けてタンクトップに軍パンとブーツ姿の俺の事を「誰だこいつ?」みたいな目で見てきたが、特に慌てた素振りを見せない。
「総理大臣の部屋はどこだい?」
「え?いや…、総理は今お休み中…」
言葉を濁しながらも、自然とお手伝いさんの視線は部屋の方向を向く。それだけ分かれば俺の探知能力を誤魔化す事は出来ない。
「ありがとうよ」
まったく、不用心だな。なんだ?この国の危機管理能力の低さは?後ろで助けを呼んでる声が聞こえるが、もう遅い。
探知に引っ掛かった部屋の前にもSPがいたが、有無を言わせず鳩尾にムーブパンチを食らわせて気絶させる。そしてドアをノックもせずに蹴破った。
「よう、邪魔するぜ………って、えええー!?」
そこには、美人秘書に跨って、汚いケツをこちらに向けて腰を振っているオッサンがいた…。
……………
目の前には下真っ裸のオッサンと美女が正座している。因みに、俺は体育座りしていた。
「…頼む!今見た事は全て忘れてくれ!」
内閣総理大臣が土下座をして頭を下げている。…まぁ、職務中に情事がバレたら大変な事になるだろうからな。
「オホン…まあ、確かに、こんな事が世間にバレたら、アンタの権威は失墜するだろうな。つーか、クビか。歴史に名を残す退陣劇になる事は必至だな。
…と、その前に、アンタら二人共、服着てくれないかな?」
オッサンの下半身は当然見たくないのだが、何よりもこんな美人が下真っ裸なのだ。おかげで俺の息子が直立不動になってしまい、体育座り以外の体制が取れないじゃないか!これまでの人生、強くなる事にしか興味が無かったのだが、異世界で抑性して来た事もあり、女性には非常に敏感になってしまったんだよ!
服を着終え、身嗜みを整える二人。こうして見ると、普通に総理大臣と秘書って感じだな。
「…ところで、君はこの部屋に何しに来たんだ?」
……おっと、いきなり本題かよ?あまりの事に忘れてたぜ。
すると、部屋の外が騒がしくなり、数人のSPが部屋に入って来た。
その手には銃が握られており、一斉に俺に銃口が向けられた。
「大丈夫ですか総理!貴様、何者だ!?」
「総理から離れろ!?」
…まぁ、そうなるわな。SP四人+二人程ぶっ倒して総理大臣の部屋にいるんだから。
でもなぁ…。あんな総理大臣の姿を見たら、なんかもう暴れる気分じゃ無いんだよなぁ。
「…彼は私の友人だ。今日は頼み事があってワザワザ来てもらったんだが?」
チラッと総理大臣に視線を送ると、意図を察してくれたのか、上手いこと場を治めてくれるようだ
その後、SPは納得して無いみたいだったが流石に総理大臣の言う事には逆らえず、渋々と部屋から出て行った。
「意外だな。俺の事を警察にでも突き出して口封じでもすれば良かったのに」
「それも考えたが、君、かなり強いだろ?下手に逃げられて、今回の事を他所で吹聴されても困るからな」
「ほう…この一瞬で俺が強い事を見抜くとは…アンタ、武道の心得があるのか?」
「…その鍛えられた身体と、この状況でも一切動じない胆力を見れば誰だって分かるだろう?」
ん?そんなもんか?まぁ、俺の身体は鋼の様だからな。つか、多分鋼より硬くなる。
「それで、私に会いに来たんだろう?用件を言いたまえ。出来るだけ便宜を図ろう」
随分物分かりの良い総理大臣だな。でも…この様子だと、このまま目的達成しそうじゃね?
「ああ。アンタが言った通り、俺は強い。でも、アンタが思っている想像の一万倍は強いんだよ。その気になれば、この国を一人で攻め落とせる位にはな」
「ハッハッハッ!面白いなぁ、君は。確かに、本来ならテロリスト認定しても良い程の事を君はしたのかもしれないが、何故か私は君が気に入った。…女馴れしてない所とかもな」
「そ!それは言うな!!」
「まあ良い。さて、君には便宜を図ると言ったが…どうするかな…、そうだ。君、名前は?」
「坂本拓哉だが。」
「漢字は?……なるほど」
そう言うと、総理は自分の名刺を取り出し、何やら書き出した。
「ほら、これを持っていたまえ」
名刺の表面には、“内閣総理大臣 安達晋平”とシンプルに肩書と名前だけが印字されてあり、裏面には手書きで…
“坂本拓哉
右の者の身柄は内閣総理大臣預かりとする”
…身柄って、なんか人質みたいだな。
「それだけ書けば、大抵の者は忖度してくれるだろう。だが、あまり目に余る行為は慎んでくれよ?」
目に余る行為か…。俺が自由に生きる上で弊害になるのなら、別に守る必要は無いんだが…。
当初は《《力》》で総理大臣を屈服させる予定だったが、なんか平和的な友好関係を築けそうだし、事を荒立てる必要も無いか。
「…努力はする。代わりと言っちゃあ何だが、何か困った事があって、俺に出来る事なら助けてやらない事も無い」
「ハッハッハッ、この内閣総理大臣に、君が出来る事があるか分からないがね。」
お?俺の能力を信用してないな?…そういや見せて無いもんな。ただ、見苦しい光景を見ただけだし。
なら…一つ俺の力を教えてやろうか。
「因みに俺はもう、既に一度アンタの命を救ってるんだぜ?」
「ん?ああ、そうだな。君が黙っててくれればスキャンダルにならず、政治生命が…」
「違う。本当に、アンタの命だ」
俺は女を見る。女は表情を変えず、キョトンとしているが…。
「…おい。ポケットの中を見せてみな?」
女の眉がピクッと上がる。ただそれだけでは表情を変えない。やはりこの女、プロだな。
その様子を見ていた総理のオッサンも何かを察した様だ。
「…まさか…」
次の瞬間!女はポケットから注射器を取り出し、オッサンを人質にしようと動いた…が、女の手を俺が掴む。
「暗殺者か…。随分無用心だったな、オッサン。俺が来るのがあと数秒遅かったら、多分アンタはあの世行きだったぜ?」
「…な、なんてことだ…。」
自分が殺し屋と情事に及ぼうとしていた事実に、安達総理の顔は青冷めていた。
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